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「LINK:ふたりのシンパシー」 - アンダンテなご近所ラブ&サスペンス

★★★★+

ヨ・ジングというのは不思議な俳優だと思います。かっこよさももちろんありながら、絶妙に共感をくすぐる人間味もあり。根は優しいけれど不器用で、ひとたび感情のスイッチが入ると一直線…そんな今回の主人公が実によくハマっている気がしました。物語自体は過去の少女失踪事件に始まるミステリーなのですが、主人公ふたりが「感情を共有できる」SF要素、狭いご近所を舞台にしたラブコメ(コメ?)要素もあり、ヒロインであるムン・ガヨンの圧倒的美人でありながらほんわかした天然さも相まって、トータルでは癒し系とすら言えるハイブリッドテイストな作品。脚本家は「あやしいパートナー」のクォン・ギヨンということで、なるほど納得ではありますが、怖い事件と甘酸っぱいロマンスとシュールな笑いが同じ世界線で同列に並ぶ感じはやっぱりひとつの韓国ドラマっぽさです。

18年前、双子の妹が行方不明になった過去を背負うウン・ゲフン(ヨ・ジング)。有名なシェフになったゲフンはある日、自分以外の誰かの感情が自分に流れ込んでくるのを感じるように。妹がいたころには妹と感情を共有していた彼は、時を経て同じ現象が再び起きていることに驚き、その感情の主らしいノ・ダヒョン(ムン・ガヨン)に出会います。そして妹がいなくなった町・チファ洞でレストランを開くゲフン。そのレストランの向かいにはダヒョンの家族が営む食堂が。

妹の失踪以来、家族の心もバラバラになり哀しみを抱えてきたゲフンと、美人なのにどうにもこうにも不幸なダヒョン。そんな2人の感情がつながった理由は一体なんなのか。登場人物が片っ端からなんだか怪しいチファ洞にはどんな秘密があるのか。そもそも18年前の事件の真相は明かされるのか。そして傷を負った主人公たちの心は癒やされるのか。運命のように出会ったゲフンとダヒョンの恋の行方は…。

数分ごとに雰囲気がスイッチして見どころが移り変わっていくのでとにもかくにも飽きません。さっきまでストーカーにホラー並みに怯えてた直後にはウキウキキラキラの恋愛モードだったり。冷静に考えると、ゲフンの妹が失踪して家族崩壊してたり、ダヒョンも開始早々に結構なピンチに陥ったりするのですが、なぜかなんだかずっとのんびりした空気なので不思議です。というか話自体はあまり進む感じではなく、ダヒョンとゲフンのカップルのやりとりを主に見つめて楽しむような変わった感覚。もちろん物語はしっかりあるのですが、基本ひとつの町内の話だからというのもあるかもしれません。とある日常の繰り返しの中で事件が起こって、でも少し明るい陽が差すようになった日常にまた戻っていく。歩く速度で流れていく16話が心地よくて好きでした。ダヒョンとゲフンがわりとずっと見ていられるツーショットなのも大きいです。好みはもちろんあるでしょうが、とにかく癒やされる。ひたすらに可愛らしく一生懸命で懐の深いダヒョンと、思慮深くて優しくて美味しいごはんを作ってくれるゲフン。とりあえずこのふたりが幸せにラブラブしててくれればそれで充分!と思ってやみませんでした。

ごく普通の設定にちょっとしたファンタジー、どこか夢の世界の香りがする日常。観終わりましたがまだ続きが観れそうな、続きが観たくなる、後からくる味わいが面白いドラマでした。なかなかクセになる一本かもしれません。


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喜怒哀楽ドラマ沼暮らし

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