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ぽっちゃんが教えてくれたこと

数ヶ月前、我が家に子猫がきた。
名前は「ポー」といって、ブルーグレーの毛並みが綺麗な男の子だ。

性格は超がつくほどのビビリで、いたずらっ子で甘えんぼ。
わたしが寝たふりをするとソーッと近づいてきて、顔面に突進、「にゃっ」と言って脅かしてくる。

ぽっちゃんはツンデレが激しい。近づいてきてヘソ天するから撫でてやると、「今じゃない」と言わんばかりに去ってゆく。

かと思えば、忠実な一面も見せる。ぽっちゃんが台所に入れないように柵を設置しているのだけれど、料理している間、柵の前でずっと待っているのだ。ときどき顔を覗かせて様子を見ると、こちらをじーっと見つめてる。

料理ができてリビングに戻ると、「やっときたー!」と足にまとわりついてくる。踏み潰してしまいそうでうまく歩けず困るけど、まとわりついてくる姿が愛らしくてこの時間が大好きだ。

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ぽっちゃんは、夫の新たな一面を見せてくれた。夫とは6年ほど一緒にいるけど、ポーカーフェイスであまり感情を表に出さない。号泣必至の映画を見て、私が顔面をぐちゃぐちゃにしている横で、表情ひとつ変えない人だ。

そんな夫がぽっちゃんにデレデレしている。ぽっちゃんを迎えて数日後、やっと我が家に慣れてヘソ天したときなんて、動画を撮りながら涙ぐんでいた。さらに、撮った動画を見返しては涙ぐんでいるのだ。

「おれ、動物好きみたい」

夫がポツンとつぶやいた。知らなかった。夫がこんなに愛情深い人だなんて初めて知った。

今では、ぽっちゃんに長生きして欲しいからと、猫の料理本を買って、健康に良いご飯づくりに励んでいる。カメラのメモリーカードも、ぽっちゃんの写真と動画でいっぱいだ。

なんと、あんなに敬遠していたSNSも始めた。「まさか自分がSNSやるときがくるとは...」とつぶやきながら、楽しそうにハッシュタグを見せてくる。

サムネイルつくってよ、なんて言ってくるから、わたしもiPadでぽっちゃんのとっておきの写真を加工して、ふたりであーでもない、こーでもないと言いながら楽しんだ。

ぽっちゃんを真ん中にはさんで、ふたりでなにかをつくる、かけがえのない時間だ。

数年一緒にいても気づかなかった夫の一面を、ぽっちゃんが教えてくれた。

今日も、出張から帰ってきた夫がぽっちゃんに頬擦りする。

猫がいる生活は豊かだ。

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