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忘却と舌先現象。

新しく建てられたマンション一帯を見て思う。

「マンションが建てられる前はどんなところだったけ。」



マンションが何戸も建つ前に確かにそこには他の建物が存在していたはずだった。それともそもそも存在なんてしていなかったのか。いや、存在していたはず。



古い記憶など消し去られて新しい記憶に書き換えられる。



毎日毎日そこを通るたびに思う。

「ここってどんなところだったけ」



きっとこんなに思い出せないということは、僕の人生とは無関係で、自分自身の記憶にも残らないような地だったのだろう。何かがあったはずなのに、少しでも関わりがあったはずなのに、新しい記憶に負けてしまう自分の脳に腹が立つ。


あ!!!!!思い出した。古い建物があった。古いお店が建ち並んでいた。経営していたことなんて何十年も前の話のように、錆びて茶色になったシャッターばかりが閉まっていた。どんなお店だったのだろうか。



日々開発されていく道路、建物を見て「あれ、ここどんなところだったけ」なんて思うようになって、いつも思い出せずに家に着く。

一車線だった道路もいつの間にか二車線になり、時代を感じるような建物はいつの間にか現代的で綺麗な建物になる。



記憶を無意識に書き換え、綺麗に忘却し、思い出そうとすれば舌先現象(思い出そうとしても「喉まで出かかっているのに思い出せない」現象)に陥る。



今だからしか感じられない雰囲気を記憶に残しておくためにも、写真や文字にして残す。今日と明日では感じられる雰囲気が全く違うし、昨日と今日でも感じる雰囲気が違うことなんて分かっていた。


一日一日で変わっていく景色を少しでも記憶に残しておくために、僕は、スマホを取り出しカメラを開いて、その景色や一瞬一瞬違う空、雰囲気を写真に収める。



今の僕にできることはそれだけ。



一日の振り返りを、感じたことを、Campusのノートを開いて殴り書きで文字に起こす。一日の記憶をできるだけ鮮明に詳しく。その日に収めた写真を見ながら、そして書き終えたらその写真をコンビニのコピー機でコピーして貼り付ける。



そうしてしまえば、舌先現象が起きても思い出せる最強ノートの完成だ。


いつまで続けられるだろう。三日坊主な僕がちゃんと続けられるのだろうか。いや、続けないといけない。例え、感じたことや振り返りが5行で終わっても、写真をコピーしなくても、どんなことが起こっても記憶に残すためにはそうするしかない。続けろ、僕。



ここまで読んでくださりありがとうございます。

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