ネタバレしない文学紹介『永遠の夫』ドストエフスキー
ネタバレしないシリーズ第2回!
今回、紹介する文学は、ロシアを代表する世界的作家ドストエフスキーの中編小説『永遠の夫』です。
そもそも、「永遠の夫」って何でしょうか?
まずは気になるタイトルから見ていきましょう!
『永遠の夫』って何?
「永遠の夫」と聞いてどのようなイメージを持たれますか?
書店の書棚で「永遠の夫」を初めて目にした時、僕はこう思いました。
「永遠の夫かぁ。きっと愛に溢れた夫婦の話で、何かがあって夫が先立ち、妻が夫を想い続ける、まさに永遠の存在となった話、なんだろうなぁ」
ところが、背表紙の紹介文を読んでみると「妻はつぎつぎに愛人を替えていくのに、浮気ひとつできず、その妻にしがみついているしか能のない、生涯ただただ夫であるにすぎない永遠の夫の物語」とあります。
ズコーッ!
思わず昭和な効果音が出ちゃいました(笑)
感動的なイメージを返せと言いたいですね!
しかし、当時の僕には純愛ものより昼ドラのようなドロドロした男女関係を描いた話の方が読みたい気分だったので(きっとわかってもらえますよね?)かえって都合が良かったのです。そんな僕の気持ちをわかってくれた方はぜひ本作を読んでみてください。
と言いたいところですが、実は昼ドラのイメージを持って本作を読むとまた裏切られてしまいます。さて、前置きが長くなりましたが、このへんで本作の紹介といきましょう。
単なる愛憎劇ではなく、不可解な復讐譚
昼ドラのイメージがどう裏切られるかというと、永遠の夫ことトルソーツキーの妻は物語開始時点にはすでに他界しているので、その妻を取り合う愛憎劇という構図にはなっていないことです。
物語はヴェリチャーニノフという一見主人公らしき人物の紹介から始まり、ある日、ヴェリチャーニノフの前に怪しい男があらわれます。しかも夜中の3時。怪しいを通り越して犯罪かホラーの匂いが漂ってきますが、その男こそトルソーツキーなんです。
実はこの怪し過ぎる訪問の前に、トルソーツキーが妻の遺品整理をしている際に見つけてしまった秘密の手紙により、妻の生前の不倫の数々が発覚し、驚くことに不倫相手の一人がヴェリチャーニノフだというのです。
浮気された夫が夜中に妻の浮気相手に訪問…普通なら「ぎゃ〜!!」という展開を予想してしまいますよね!さぁどうなるかはご自分の目で確かめてみましょう(笑)
本作は、一見不可解としか思えないトルソーツキーの復讐譚となっていますが、それがどのように展開されるのか、そして、それに対するヴェリチャーニノフの立ち回りが読みどころとなっています。
ドストエフスキーは読んでみたいけど、代表作『カラマーゾフの兄弟』や『罪と罰』は長すぎる!という方や、前述の「昼ドラドロドロ気分」をお望みの方にはおすすめの一作です!
第1回はこちら↓
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