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ネタバレしない文学紹介『初恋』ツルゲーネフ

ロシアを代表する文学者の一人、ツルゲーネフの代表的一作です。タイトルから想像するまでもないと思いますが、恋愛小説ということになるでしょう。

作中の時代設定は19世紀前半のロシア。主人公はウラジーミルという40歳前後の男性で、数名の集まりの場にてちょっとした過去の恋愛話を披露し合うことになり、ウラジーミルの回想という形で物語が進んでいきます。回想するのは16歳の頃で、夏に主人公一家が過ごす別荘の隣に越してきたヒロイン、ジナイーダへの初恋の始終が語られています。

読み進めるうちに、回想であることや主人公はホントは既にオジサン、、、であることなどはすっかり忘れて読めるので変な心配はしないでほしいと思います(笑)というかオジサン設定は最初の数ページのみで、作品の97%は初恋の回想になっていますね。

気を取り直して、主人公は思春期真っ只中の16歳、ヒロインは21歳というちょっぴり大人のお姉さん、それもとびきりの美人ときています。さらに初恋話ときているのだから、タマラナイ設定であるのは間違いありません。男性の初恋なので、ドキドキ感を味わえるのは男性だけなのか?と思いきや、訳者の女性(沼野恭子さん)も巻末の訳者あとがきにて、「ドキドキした」旨の話があったので、女性も楽しめるのはお墨付き。

ウブな少年がお姉さんにもてあそばれる(と言ってももちろんR指定な感じではありません)構図がほとんどを占め、くすぐったさ、歯がゆさ、もどかしさ満載で、二人のやりとりや、恋の行く末が見(読み)どころ。

一般的な小説のページ数に比べたら少なめなので、読みやすいですし、ロシア文学にありがちな思想対決みたいな小難しい話もほとんどないので、ロシア文学初挑戦にはもってこいの作品です。

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