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臨床心理士を名乗れるようになった年*夢の叶え方と受験体験記

2023年4月
長年の夢を叶えて臨床心理士を名乗ることができるようになって,細々とではあるけれど臨床に携わることができるようになった。
私の人生にとって大きな転換点となるだろうこの資格取得の受験体験談をまとめておこうと思う。

受験体験記的なもの

臨床心理士の試験自体は2022年の秋。
院を卒業して,仕事をしながらの勉強だったのだけど,
前年に公認心理師の試験を受験していたこともあって,復習すればまぁ知識はそこそこ残ってるかな,っていう気持ちでいた。
週末にノートを見返したり,仕事と関連することがあれば”よしインプット!”と思ったりする程度で仕事や研究活動に追われててちゃんとした勉強はあまりできなかった。

が,夏に院時代の友達と「一緒に勉強しよう〜」とカフェで勉強した際に,初めて臨床心理士試験の過去問題集を解いて
「なんじゃこりゃ〜〜〜!!」
となった。

「公認心理師」の試験傾向に比べて,「臨床心理士」の試験問題難しい!!と焦ったのだ。
公認心理師の試験問題は,汎用性の高い資格を目指しているためか,範囲が広くて一般的な教養に絡んだ心理の知識も求められる。(と私は感じている)
なので,社会人を経験している(新聞なんかを読んで時事的な傾向を理解している)私にはそのことがむしろ有利に働いたと感じている。
つまり,「試験勉強!!」的なことをしていない範疇の問題が出た場合でも(例えば一般的な医療の知識も求められる),自分の持っている経験的な知を以て解くことができた。(そして私はそういうのが超得意)

ところが,臨床心理士試験は「臨床心理」に関する深い問題が出題される。それはそれで経験知が求められるのだけど,臨床心理の『原則』に従って判断する場合どうすれば良いのか,まず『原則』は知識として暗記しておかなくてはいけないし,それをどう活用するのか,を判断しなくてはいけない問題が結構ある。(と私は感じた)
より心理臨床の現場的な知識が求められる上に,選択肢が2つくらいまで絞れてもどれが正解なのか,実際のケースによってはどっちも正解なんじゃ,,,と思うようなものもあって難しい。もう一度テキストに戻って暗記し直さなければいけないこともたくさんある・・・と思って焦った。(そして私は暗記が超苦手)

そこからは焦って臨床心理士試験の過去問題集だけに絞って傾向を掴むように勉強した。でも,まあまあの点数までは取れても,安心の高得点は受験勉強段階では取れないまま,不安を抱えたまま本番を迎えた。

当日の試験は時間との戦い。噂には聞いていたけれど,問題が分厚い。まずは,迷うような怪しい問題でも飛ばさずにひとまず一気に解答する。なぜなら,飛ばしてしまうと最後に時間がなくなってしまった時に問題に戻れなくて未解答のままになってしまうから。迷う問題にはチェックを入れた上で,あまり時間をかけずに一旦解答して,最後まで解いてからチェックを入れた問題を再考することにした。
ところが,時間が足りずチェックした問題を全て再考することはできず。なんとなくモヤモヤした問題をたくさん残したまま時間終了。。。

ちなみに会場は無機質なだだっ広いホール。薄ら寒いし,机も椅子も環境的には良くない。でも,これ並べるだけでもかなり大変だっただろうなぁと想像する。そのくらいびっしりと机が並んでいた。前の席の受験生が説明を聞きながらカクンカクンと居眠りをしていて,時々倒れそうになり勝手にハラハラする。

臨床心理士試験には論文もある。これも問題を見た途端,対策してきたものとは違う傾向で一瞬フリーズ。
でも,時間がない。迷っている暇はない。
下書き用の紙もついているのだけど,私は本番用の紙に直書きで書き出した。
文章を書くのに苦手意識がないというのもあるし,下書き書いてたら時間がない,というのもある。
これはいつもやっていることで他の人にも勧める方法なのだけど,論文をブロックごとに分けて大まかに書く内容を決め(序論・本論①・本論②・結論),書きながら,そのブロックごとに一旦字数と内容の見直しをする。
序論は全体の20〜30%程度。ここまでで字数の過不足をチェックし,誤字脱字と一文の長さ,主述が呼応しているか,表現が適切かを確認。
本論は①②を合わせて全体の50〜60%程度。これを内容によって2つの段落に分けるので本論は①が少し長くなっても短くなっても気にしない。ちなみに事例(具体例)は本論②に入れ込むのがおすすめ。本論①②全体で50〜60%の分量になるように調整。そしてチェック。
結論は全体の10〜20%。臨床心理士試験では字数がオーバーしてもアウト,と聞いていたので最後は慎重に文字数を確認する。
この書き方で,時間的には割とギリギリで論文を書き終わる。
私にとっては,下書きを書いていては時間内に書き終わらなかったに違いない。。。もはや内容が良かったかどうか,よりも,とりあえず時間内に書いた,という感じだった。
ちなみに”鉛筆”という指定があって,これで論文を書くのもわりと大変だった。筆圧が強いわけではないけれど,芯先が丸くなると書きにくいので,鉛筆交換して,みたいな感じ。

こうして無事に1次試験が終了。会場が広かったので院の同期とは帰りに会場の外で待ち合わせる。
私は「(色んな意味で)終わった・・・」と思って割とブルーだったのだけど,若い同期たちは「結構いけた」的な感じだったので,めちゃくちゃ焦ったのを覚えている。
ダメなら来年,とは思うけれど,40過ぎの脳みそと体力で仕事をしながら試験を受けるのは過酷だったから,できれば受かりたい一心だった。

臨床心理士試験は問題は持ち帰れない。模範解答の提示もない。なので自己採点ができない。なので,1次試験の結果がくるまでは,心のなかが忙しかった。「まぁなんとかなるだろう」と「ダメだったらどうしよう」の妄想が交互に現れた。
毎日郵便受けを見ていたけれど,ネット上で「結果がきた」の投稿を発見して焦って帰宅したが,未着ってこともあった。地域的なこともあると思うけど,ちょっと遅かったように思う。
けど,無事に合格。

次の二次試験は面接で,時間が指定される。同じ大学院出身者は同日同時刻。
面接に関しては,社会人経験者はなぜ心理なのかという点について厳しく突っ込まれる,という噂を聞いていた。想定質問にどう答えるか書き出したり,脳内シミュレーションしたり,声に出してみたり,対策は取っていた。
けれども,細々ながら臨床に携われている,といえども,現時点で本職として心理職ではない私はどんな質問がくるか戦々恐々としていた。

結果的には,穏やかな面接官で(もちろん多少の突っ込みはあったものの)恐れすぎるほどではなかった。
私は学会に所属したり,勉強会や体験グループに所属したりしていたので,臨床経験は少なくても心理臨床に対する姿勢を示すことができたのだと思う。(考えてみれば,新卒の同期の子たちも社会人半年で臨床経験はみんな浅い)
それでも,面接が終わった後は不安だった。
いつもなら面接で何を聞かれたか覚えているのだけど,この面接で何を聞かれたか,断片的にしか覚えていない。人生経験がそこそこある私も,20年間歩んできた職域とは異なる専門領域に足を踏み入れ,その専門家の面接を受ける,というシチュエーションは今にして思えば想像以上にプレッシャーだったのだと思う。

11月中旬に2次試験を受けて,結果がくるまでがまためちゃくちゃ長く感じた。
1ヶ月すぎたあたりから,毎日帰宅後に緊張しながら郵便受けを開けるのが習慣になっていた。
12月クリスマス前頃に郵便受けに通知が届いていて,”合格”の文字が見えた時には,安心のあまり,リアルに膝から崩れ落ちた。
実はこの時,私のふたりの子どもたちは受験生。
嬉しさもあったのだけど,実際この時に真っ先に感じたのは,これで,子どもたちの受験ケアができる!!ということ。

長い道のりをかけてようやく夢を叶えた,という実感を持てたのは,登録の手続きが終わり,3月末に登録証が送られてきてから。
「ああ,ようやく臨床心理士を名乗れるんだ」
としみじみと嬉しかった。

夢の叶え方のひとつ

高校生の頃から心理の道に関心を持ちながら,”大学院にいかないとなれない”というところに大きなハードルがあって,社会人になってからも何度もチャレンジしたい,と漠然と思いながら,ただ,結婚して子どもを持った時にはさすがにこれから大学院に行くのはもう無理だな,と諦めていた。

それが,叶った。

最初は通信制で2度目の大学生になるところから始まった。その時ですら,経済的にも状況的にも大学院に行くことは難しいと思っていた。まずは認定心理士の資格を取れたらいいな,が始まりだった。
目の前,ちょっとだけできそうなことを積み重ねていたら,夢が叶った。

目の前のできることから”動く”こと。
大きな壁に挫けそうになっている人たちもたくさんいると思うし,私も泣いてばかりいたけれど,
私は
『ゴールを目指して努力する』
という考え方はあまり好みではなくて
『目の前一所懸命やってたら辿り着く先がある』
と考える方が好みで。

そうしていたら2023年が自分の目指していた大きな夢を叶える節目の年になれた。

そんな風になれた自分と周囲の人たちに心から感謝しようと思う。





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