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「過去と現在を知って未来を想像する」

「今まで繋がってきた現在というものは、過去から現在、過去を調べて現在を見、それから未来......。今現在というものは何で必要だと。それから、過去というものは何で必要だと。過去と現在をよく知って、未来はどうであろうという想像をすることが、私は企業の上の方の役目だと思うんです。この想像ができない人は、コンピューターに頼っていて、今現在の立場で、いつでも人間はこうである、こうであるといったら、これは機械に振り回されているんじゃないかと思う。そうじゃないんです。やっぱり人間というのはあらゆる欲望があるということなんです」

本田宗一郎氏の遺した言葉です。流石に天才の言う事というか、よく意味が分からないところがあります。しかし、私は最初にこの言葉を目にしたときに鳥肌が立ちました。ポイントは「過去、現在、未来」という時系列で物事を見るということと、その根底には「欲望」があると言っているところです。

実は、この考え方こそが、「独創的な新製品」を発想するときのセオリーそのものだからです。

下図はスーパーカブなどの画期的新商品の発想のモデルです。

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スーパーカブを例にとると「過去」に「手軽に楽に移動したい」という「強いニーズ」がありました。その結果、「現在」(その当時)には原付自転車やスクーター、モペットといった「充足手段」が登場しています。ところが、当時の日本には「道路事情が良くない」という「生活上の問題」がありました。その結論として「道路が悪くても、手軽に楽に移動したい」という「未充足の強い」ニーズが新たに発生しています。そして世の中はそのニーズを満たす方向に変化します。つまり、「未来」はそのニーズが満たされている世の中になるということになります。ならば、その手段として高馬力、高耐久性の「スーパーカブ」という商品を開発すればよいのではないかということになります。

この発想のモデルは、ウォークマンにも、チキンラーメンにも、iPhoneにも共通しています。

このモデルを一般化すると下図のようになります。

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① 過去に「生活ニーズ」(行動を駆り立てる心理)があり
② それを満たす「ニーズの充足手段」が生まれ、
③ 現在その手段に伴って発生している「生活上の問題」(生活行動に伴う困りごと)があるので
④ その「生活上の問題」なく、①の「生活ニーズ」を満たすことが「未充足ニーズ」となっている。
⑤ その未充足ニーズに応える新商品アイデアを考える。

これが、本田氏の言うところの「未来を想像する」ということになります。根底には「欲望」すなわち「ニーズ」があるわけです。

この思考モデルを彼ら天才たちは自然に身に着けていたわけです。

ところが、努力、試行錯誤の結果このモデルにたどり着いた人がいます。私のマーケティングの師匠、梅澤伸嘉先生です。梅澤先生はこの思考法で幾多のヒット商品を開発されました。先生が開発にかかわられた商品については以下のようなものがあり、「伝説のマーケター」の称号をほしいままにされました。

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この思考モデルを先生は可視化され、CAS(Concept Assessment Study)と名付けられています。本田氏の言葉を見て鳥肌が立ったというのは、まさにこのCASの通りの考え方をされているからです。

これらのCASを見るとわかりますのは、本田氏たちにしても梅澤先生にしてもその発想の元は当時の誰もが目にしていた一般の生活シーンであったということです。何か特殊な情報を知っていたわけではないのです。しかし、何かを目にしたときの考え方が違っていたわけです。

その考え方を身に着ければ、彼ら天才たちと同じことができるようになるわけです。その考え方こそがCASであるわけです。

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