「治してください」と言う人はなぜ治りにくいのか
それを今回は私なりの観点から皆さんにお伝えをできたらと思います。
果たして皆さんが描いているこのイメージはどうなんやろう?
仕事の経験、そして他競技のサポートの経験を含めたお話にはなりますが、施術などのケアやトレーニングの要望は確実にあります。
メディカル系のトレーナーの場合はまずここができないと話にならないレベルになります。
選手の方の中にはその上手い下手でトレーナーのレベルを瞬時に判断されている方もいたりすると思います。
なのでトレーナー側は、初回に選手に与える印象はかなり大事になります!
いい選手は、自分の身体を客観的に理解している
これは私の個人的な意見にもなりますが、プロの選手の中でも施術を受けなれている選手とそうでない選手がいますが、受けなれている選手の方が競技能力や成績が良かったりする印象を持っています。
では、どうして施術を受けなれていると競技力が高いのか・・・?
私が思うに、競技力の高い選手は「今の自分自身の身体」をとてもよく理解しています。
そのため、今日は身体のこのあたりに張りがある、違和感がある、痛みがあるというのをよくわかっています。
またはこの痛みや腫れはプレーにどう影響するのか?というのもわかっています。
そして自分の身体に起きている痛みの3種類を感じ分けます。
例えば
① 休まなければならない痛み
② 軽く動かしながら治していける痛み
③ 試合は無理だが練習ならできる痛み
など、今どの状況なのか身体と対話するのは大事です。
ただ「我慢」をすれば良いわけではないので、そのあたりが本当に難しい・・・。
この部分が自分で判断できてはっきり判断できる選手はチーム全体からも信頼されている傾向にある印象ですね。
これが出来ている選手は自分へのケアを怠らないですね。
自分が「今」何をすべきかが明確です。
やはりこのような身体の感覚を感じられる、そして言語化できる人は
「もし仮に?」「どうすれば?」というのをよくわかっていると思います。
自分の身体の形、自分が出したい力を思い通りに操れる能力が先にあった場合、技術指導にかける時間も短縮できて、身体の疲労と損傷を少なくすることができます。
練習時間も短く、効率的で視野が広い。
スポーツの時だけスポーツの事を考えている人は、上手くなれません。
日常生活のクセや習慣も、集中できる何気ない動作も、悪く作っていると悪い結果になります。
日常生活でもスポーツのように「こう動きたい」と身体を使うことで、スポーツ以外の時間を全集中できます。
施術の最中にも「今日の私の身体はいつもと比べてどう?」と聞かれたりすることも多かったです。
「この辺がいつもと違う感じです」とこちらが答えると、
「実は〇〇の時に少し気になっていた」や「こっちの右だけに張りがあるのも関係してる?」みたいな会話も自然と生まれてきたりもします。
こちらが指摘した事をやっている人は、身体を診たら変化に当然気づきます。
またアプローチによって起きた「身体の変化」にもすぐに気がついたりもします。
そのくらいの変化を感じ取れるからこそ、スポーツ中の状況の変化にもいち早く反応できるのかと思ったりすることもあります。
鈍感な選手は可動域などが大きく変わっても「え・・・変わりました??」みたいな選手もいたりします・・・。
いい選手は、自分自身の身体の会話、コミュニケーションの方法の一つとして、整体の施術を選択しているのではないか、と思います。
自分の体の状態を自分の言葉で伝えられますか?
いい選手は、施術以外の身体へのセルフケアも自宅にて怠らずやっていたりします。
例えば、試合に向けて目標設定する、お風呂にゆっくりつかる、または心のリカバリーとして、休みを使って家族と旅行に出かけたり、買い物に行ったりなどの気分転換の方法が非常に上手です。
このような取り組みを普段から自らの判断でしっかり行っているからこそ、ケガを減らし、安定したパフォーマンスが維持できるのだと思います。
ですが、逆に「施術だけを受けてればなんとかなる」と思っている選手もいます。
そういう選手はもれなくケガが多いです・・・。持病も多いです・・・。
きちんと施術などのケアやリハビリをする施術者に現在の身体の状態をきちんと伝えるために言語化ができないことが多いからです。
いつも同じ話の繰り返しです。
ちなみに、私も鍼灸整骨院で働いていた際に、親御さんが子供さんの代わりにすべてを話してしまうということがよくありましたが、
自発的行動ではないそういう子はそこまで伸びた印象がなかったです。
そもそも私自身も20年ほど施術をしていますが、その人がどのくらい痛いのか?などは外見や触診などでは初めは探り探りです。
結局それらを分かるのは「その人自身」でしかないと思います。
ですので、子供さんがケガをして通院される際は親御さんのかたも極力介入せずにいてあげてもらえると良いかとも思います。
僕は個別にお母さんに尋ねるようにしています。
リハビリ後に再度ケガに悩まされたりする人って、早く治そうと積極的に治療を受けたりはしますが、結局ずっとこちら側に「治してください」という受け身的だったりすることが多いです。
一方で良くなる人は、積極的に情報を取りにきます。
次は何をしたら良いですか?どういう順序がありますか?と「自分でも治す意識」は強いと思います。
自らアクティブにリハビリや施術などのリカバリーを受ける気持ちと、
ただやってもらいたいという気持ちで受けるのでは、それらの処置を行って現れる効果は全く変わってきます。
(すみません、これに関してのエビデンスは全くありません。あくまで私の経験則のお話です)
ですが、体感としては復帰にかかる日数は倍くらい変わる印象を持っています。
結果を残せる人に共通している言葉に、
「もし仮に?」「どうすれば?」
という言葉が自然と出てくると思っています。
一見同じような言葉に感じる「治してください」と「どうすればできると思う?」ですが、その言葉の裏に隠れている本人の意思や気持ちは大きく変わるのだと私は個人的には思っています。
施術などはあくまで選手の変化を促すきっかけを作る「役割」だと思っています。
いくら良い素材があっても元となる材料がダメになっていたら変化も起こらないはずです。
→いくら素材が良くても料理人が上手く調理しないと意味もないのと同じです。
監督と選手の関係にもあると感じています。
ですので、
トレーナー側と選手の取り組みの効果は「足し算」の関係よりも、ある種「掛け算」の関係の方が近いのかもしれないと感じています。
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