コンビニに誘われたあたしはオオカブトムシ

夜23時をすぎると、訳もなくお腹が空いてきます。気がつかないふりをしていても、お腹が「食べものください」と話しかけてくるのです。

噂によると、夜の飲食というのは肥満に繋がりやすいらしいです。健康のためにもなるべく肥満にはなりたくないので、食べちゃダメだ、食べちゃダメだと必死で暗示をかけるものの、お腹はとうとう「冷蔵庫に作り置きのおかずあるの知ってる♪」と歌い出します。

空にきらきらお星様、みんなすやすや眠る頃。小さい頃はおもちゃが踊っていたけれど、今は夜になるとすっかりお腹のカーニバルです。箱から飛び出して踊り出そうとするのはおもちゃではなく、冷蔵庫という箱の中で眠っていたはずの食べものたちです。

お家にいて冷蔵庫の中に何もないときはまだ我慢できるのですが、帰りが遅くなった日は、コンビニがものすごくアピールしてきます。東京は、コンビニがとても多いような気がします。肌感覚だと、2分歩くごとに遭遇するような気分です。秋田の祖父母の実家のある小学校区域ではコンビニが1つもなかったのに、東京ではこんなによく見るなんて。私はコンビニにストーカーされているのでしょうか?

けれども、私も私です。コンビニのことをストーカーだなんて悪く言ってしまいましたが、コンビニはこちらに寄ってくることはしません。コンビニは「来いよ」と待っているだけです。傲慢な私は、なぜ自分が行かなくてはいけないのか、あなたが来なさいよというスタンスなので、同じく「来いよ」と思っています。しかし、そんな「来いよ」の応酬が続いたかと思えば、気がつけば私がばっちり自分から近づいているのです。

なんなのか。そんなつもりじゃなかったのに、夜のコンビニは私を吸い寄せます。あの自動ドアにはハチミツでも塗ってあるのでしょうか?誘われたあたしはカブトムシです。

そして着実に、カブトムシは肥満化して進化していきます。何になろうとしているのだろうか。大きくなるから、オオカブトなのでしょうか。なんだか強そうでカッコいいなと憧れてしまいそうですが、乙女たるもの、深夜のコンビニ、ダメゼッタイ。特にセブンイレブンのスイーツコーナー、ダメゼッタイ。

ハッピーバレンタイン。

おわり


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