中国への移住に向いている人(2024年版)
松井博さんが、海外移住するならどこの国がいいのかという読者さんからの質問に答えていました。
もちろん人によって向き不向きはあるとしながら、さまざまな視点からどういう国がいいのか、という基準について書いています。
その中には、実際に海外に住んでいる人からの声も紹介されていました。
僕もせっかく中国に住んでいるので、中国を日本から見た移住先として捉えた場合、どんなことが言えそうかなと思い、書いてみることにしました。海外移住を考えている人の参考になれば幸いです。
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まず、いきなり身も蓋もないことを言ってしまいますと、いまの中国は基本的に移住に向いていません。
まず、物価について。10年前ならいざ知らず、いまの中国は物価が高いです。円安も手伝い、体感的には日々の生活費は日本と変わらないか、むしろ同じ生活費だったらQOLは日本よりも低いかもしれません。
海外生活の動機が生活費を抑えることだとすれば、中国ほど向いていない国はありません(まあいまのえげつない円安で、日本より生活費が割安になる国がどれだけあるのかという話でもありますが)。
ついでにいうとオーストラリアで皿洗いのバイトが時給2,000円! みたいな環境でもなく、給料が高いわけでもないので、ワーホリ的に来て貯金をするのにも向いていないでしょう。
「鎮」と呼ばれるような地方都市の片田舎に住めば家賃は節約でき、たぶん日本より広い家に住めますが、必然的に不便になるし、上海や広州、深圳などの大都市に住んでいる日本人に呪詛を吐くようになるのでおすすめできません。
上海在住の日本人がうまそうなラーメンや刺身の画像をSNSにあげているの見て、「こっちにはマンゴー寿司しかねえよクソが」と毒づく、僕のような人間になってはいけません。
そのほか、現状で言えば景気の落ち込みも感じます。コロナが明けて隠せなくなってきた国としての停滞が、目に見えて始まっています。
いますぐに中国経済が猛スピードで滑落していくことはないとは思うし、たぶんこれから浮き沈みを繰り返して徐々に沈んでいくのだろうと予測していますが、いずれにせよ中国は日本その他の先進国と同じ、長い停滞のフェーズに入ったことは間違いありません。加えてこれからは日本と同じ、少子高齢化問題が大きな足枷となります。
せっかく海外に行くなら、勢いのある国で高度成長や日々変わりゆく街並みのようなものを経験した方がいいと思うのですが、中国はそういうフェーズをとうに過ぎてしまいました。そういう意味でも、わざわざ中国を選ぶ道理はないかな、と思います。
そのほか官民ともにルールの運用が恣意的で外国人にはいろいろとハードルが高い、政治的にも不安定性が増していっているなど、思いつく理由はいろいろあります。
ともあれ目先の状況だけで見れば、中国は日本からの移住先に向いていないと思います。
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と、のっけから全開でいかに中国が移住に向いていないかを書いてしまいましたが、それだけで終わるのも若干忍びないです。タイトルを見て、中国への移住に興味を持って記事を見にきてくれた人もいるでしょう。
というわけで以下は、こういう人は中国に来るといいかも、中国に来るとこんないいことがあるかも、という話も少し書いておこうと思います。中国に興味のある人、あるいは海外移住の選択肢に中国を少しでも考慮に入れている人は参考にしてください。
個人的には、こういう人は中国に来ればいいんじゃないかな、という人物像を3パターン思いつきました。以下に挙げていきます。
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