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「飲食店への持ち込み」に関する中国のいろいろ、日本との違い

こんなツイートを見かけました。

ハラール食である蘭州拉麺の店(当然、酒類は提供していない)に、自分で持ち込んだ酒を飲もうとした客が、それを追い出したい(けど注文はすでに受けてしまった)店側と口論になっていた、という話です。文化の違いには気をつけましょう。

このツイートに絡んで、上海在住の日本人インフルエンサーであるKennyさんがこんなリプライをしてくれました。

なるほどです。お酒についてもそうですが、そもそも飲食店への持ち込みという点では日本と中国には大きな差があるかもしれません。ネタ提供ありがとうございます。

というわけで書いていきましょう。

持ち込みに寛容な中国

基本的には、中国においては飲食店への持ち込みについては非常に寛容というか、少なくとも日本に比べればずいぶん受け入れの幅が広いということは言えます。

もちろん店側にとって、持ち込みというのはあまり歓迎すべきことではないというのは中国でも同じのはずですが、だからといって持ち込みがまったく不可能かというとそうでもなく、個人の裁量や交渉によってどうとでもなる、というのが一般的です。

たとえば宴席の際、自分で買ったワインや白酒をお店に持ち込んで飲むのはごく一般的なことです。ただその場合、持ち込み料金を数十元ほど取る店はあります。

その程度なら日本でもありそうな話ですが、そのほか大衆店なら持ち込みを咎められるようなことはまずありません。たまに持ち込み禁止を謳っているところもありますが、そういうところでも事前に断ればけっこうオッケーになったりします。メインの料理自体はその店で注文したものだが、テーブルには外で買ってきたミルクティーなどのドリンクが置かれている、というのは中国において普通の光景です。

もともと中国では「ルールはルールだが、実際にどういう運用をするかはその場の判断で決めていい」「大勢に影響がないのであれば、多少のルール違反でも柔軟に対応すべき」というような考え方が支配的です。

実際、持ち込みをすべて拒否していてはそれはそれで売上が下がってしまう場合もあるでしょうし、テーブルを遊ばせておくよりは使ってもらったほうがいい、というような感じなのでしょう。そもそも、ドリンク程度を飲まれたからといって大きな影響はない、と。理屈よりも現実を見ている、とも言えるかもしれません。

このあたり、実に中国らしいなあと思います。

バーベキュー難民を救った焼肉屋の話

実は僕自身も、この「交渉や雰囲気次第で持ち込みOK」という中国的ルールの恩恵を受けたことがあります。

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