見出し画像

中国人とのトラブル体験談からわかる、「ルールはルール」をわかってもらう難しさ

日本に住むとある読者さんから、外出先での中国人とのトラブルの体験談をお寄せいただきました。

その話が、いろいろ語りがいがありそうだったので、ご本人の許可を得たうえで(微妙に事実関係をぼかしつつ)紹介してみたいと思います。

無断でバーベキューをしたがる中国人グループ

ある日、読者さんは友達と一緒に、とある公園に併設されているバーベキュー場に行きました。そのバーベキュー場は自治体が管理しており、無料で使えますが、混雑や利用者どうしのトラブルを避けるために事前予約が必要、というシステムをとっていました。

しかし、当日その場に行くと、読者さんが予約したはずの場所でバーベキューを始めようとしているグループがいました。グループは50代くらいの年配女性が1人と、若い女性が3人の計4人。聞こえてくる言葉から、どうやら中国人のグループであることがわかりました。

読者さんは「ここは私たちが予約してるから、出ていってください」と声をかけると、「予約はした」と英語で言い張る年配女性。どうやらこの年配女性がリーダー格のようです。

しかし、読者さんもたしかに予約をしてきたのだから、管理側のミスでもない限り向こうが予約したということはありえません。念のためバーベキュー場の管理人のところに行って確認をすると、やはり間違いなく予約しているのは読者さんのほう。

仕方ないので読者さんは管理人とともに、改めてそのグループに立ち退きを求めに行きます。すると、リーダー格の年配女性がやおらヒートアップし、反論してきました。その主張するところはこんな感じ。

・お金を払う場所でもないのに、どうして予約が必要なのか。

・十分なスペースはあるのに、どうして私たちだけが使ってはいけないのか。ちょっと端を使わせてくれるくらい、いいじゃないか。

・別のグループであることが問題なら、あなたと私のグループが友達だということにすればいい。今年は日中国交正常化50周年だ。

・法律に反しているわけでもないのに、立ち退かないといけない意味がわからない。中国ではこんなことありえない。文句があるなら警察を呼べ。

と、大騒ぎする年配女性。そこから不毛な言い争いが始まってしまいました。いつまでも続く騒ぎは周囲の耳目を引いてしまい、結局は誰かが警察に通報。ほどなくして、本当に警察が来てしまいました。

警察の登場でさすがにきまりが悪くなったのか、最終的には中国人グループのほうが退くことになったのですが、リーダーの年配女性は最後まで納得せず、ずっとわめき散らしていたそうです。

せっかくのバーベキューを始める前に、ものすごく疲れてしまった、と読者さんは当時を振り返ります。

世代による影響

典型的な「自分の都合ばかり言う中国人とのトラブル」という感じがしますが、これをして「やっぱり中国人はわがままで厄介だ」などという話に持っていくのは、少し尚早な考え方です。

というのも、上に書いたようなとても承服できない主張をわめき散らす年配女性の後ろで、他の若い女性たちはそれを諌めながら、比較的冷静に話をしていたそうです(リーダーを止めるほどの力はなかったようですが)。

これまで知られていたような「屁理屈をこねて自分の主張を通そうとする中国人」というステレオタイプは、少しずつ古いものになりつつあります。

ここ数十年で急激な変化を経験した中国では、世代による人々の振る舞いの差が非常に激しく、とくに年配になればなるほどいわゆる「なんとしてでも自分の主張を通そうとする中国人」としての行動をとりがちな部分はたしかにあります。

しかし、いまの比較的豊かで安全な社会に育ってきた世代は、そうしなければたちまち搾取されてしまった上の世代とは異なり、必ずしもそのような自己主張の強い振る舞いをしません。

それこそいまの中国人の若者は、日本の若者と同じようにおとなしく、激烈な自己主張をするということは減ってきています。特に日本に来ているような留学生や若い世代は、周囲と協調することのほうに重きを置く人も多いでしょう(おそらく、僕よりも日本にお住まいで中国人が周囲にいる人のほうがご存知かと思います)。

上のような年配女性の言動のうち、多くの人にとって不快に思うような部分(予約をしたとウソをついたりとか、日中友好を持ち出すところとか)は、中国人全体の特徴としてではなく、世代的な感覚によるもの、または個人の性格に帰結するものということで、ある程度は説明できるのではないかと思います。

本質は「ルールはルール」ということへの理解

この話を聞いた時、僕はこのトラブルの本質とはそうした「一部(特に年配)の中国人による傍若無人な振る舞い」ではなく、別のところにあると思いました。

それは、「ルールはルール」ということを中国の人にわかってもらう難しさです。

ここから先は

1,718字
この記事のみ ¥ 300
期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

いただいたサポートは貴重な日本円収入として、日本経済に還元する所存です。