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価格戦略、何からはじめる?

『価格戦略を知る者が「利益」を制す』DIAMOND ハーバード・ビジネスレビュー編集部 【編・訳】

ダイヤモンド社(2005/03発売)

結論から言うと、『価格戦略を知る者が「利益」を制す』を読むことから始めてほしい。値付けは、正直、誰にでも感覚的にできる。もちろん、確からしさを求めて、原価ベースで計算してもいい。ただ、価格付けを戦略として組み立てるとしたら、何から始めたらいいのか?
価格はマーケティングの4P (Product, Price, Promotion, Place)の中でも、最も顧客が積極的に分析してくれる項目である。そのため、価格戦略は、価格をいかに設定すると収益を最大化できるかはもちろん、企業が中長期的に、商品やサービスの価値をいかに捉えているか、それらを顧客にいかに認識してもらいたいのか、妥当な対価を何と考えるかを問われる戦略である。企業の長期的にコミットしていくべき提供価値はなにかという問いとしても、経済学、行動心理学などを駆使したテクニックとしても研究しがいのある分野である。

マーケター・営業担当者としては、短期売上確保→中期安定化策模索→長期的価値の追求というルートは再現性の高いパタンだと考える。ある程度、社内での信頼を勝ち得た後の方が、より長期的な価値を主張しやすいからである。ただし、短期売上確保する際に、中長期戦略視点からすると避けたい打ち手がいくつかある。落とし穴を正しく回避するには、基本を押さえる、つまりマーケティングや行動心理学の理論が非常に役立つ。とはいえ、習得には学習・仮説・検証を繰り返すことを要し、数年かかる。理論のアップデートも必要だ。私の場合、実務+読書→MBA→実務+読書/理論探求の過程を辿っている。実績としての収益拡大は、初期から感覚的に成し得たものの、中長期視点で失策だったか?と迷う打ち手に、後年に気づいたりした。私がもしキャリアのスタート地点で、この本を理解していたら、また違うルートで成長を模索しただろうと思う良書が『価格戦略を知る者が「利益」を制す』である。この本は、基本的な落とし穴を網羅しつつ、全体像のあるべき論をいくつかの観点で紹介し、発行から20年近く経つのに、宿泊業のイールドマネジメントにおいては、未だに仮説検証をしたいアイディアが詰まっている。読破する頃には、価格戦略で何を目指すのか、そのためにどうありたく、何が必要で、どこから着手したいかが見えてくると思います。…本を読んでいる時間ない!!という時は、全章のポイント要約をしたので、ご活用ください。

価格戦略を知る者が「利益」を制す』ISBN-10 ‏ : ‎ 4478502528
価格戦略を心理学で分析する。適正価格を科学的に導く。過当競争から抜け出す。「プライシング」は利益戦略である。
  第1章 プライシングと消費者心理
  第2章 新贅沢財のポテンシャル
  第3章 価格シグナル戦略
  第4章 価格戦争の正しい闘い方
  第5章 eプライシング:「コストの透明性」に打ち勝つ
  第6章 スマート・プライシングの技術
  第7章 ポケット・プライス:真実の取引価格
  第8章 プライシングの創造知

『価格戦略を知る者が「利益」を制す』ダイヤモンド社(2005/03発売)

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