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 本記事では、エジプトに来た留学生が自宅以外で勉強できる場所、他の留学生との交流の機会がある場所について紹介したいと思う。また、筆者が最初の1ヶ月間泊まっていたホテルについても紹介する。

① 公共図書館(misr pubilic library)

 ドッキ地区南東部、ナイル川沿いにある公共図書館。2011年以前の名前は、当時の大統領の名前からホスニー・ムバーラク図書館だったそう。書類と顔写真、登録料30ポンドほどで入場券を手にいれることができる。館内は、エジプトにしては静かで、割と清潔。中のカフェテリアで食事を取ることも可能。家で勉強できない人、気分転換したい人にはおすすめ。

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将軍様に関する本も…

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イブン・アスィールの『完史』、なお本のタイトルとは裏腹に全巻揃っていなかった

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 また、毎月第一金曜日には除籍本の販売会が行われている。AUC所蔵の研究書なども多数出品されている。

② 国際交流基金(JF)カイロ事務所

 タハリール広場から南に5分ほど歩いたユナイテッド・バンクのビルにある、国際交流基金のカイロ事務所。国際交流基金は、海外において日本の言語・文化の紹介、理解の進展を行うために設立された独立行政法人である。海外には24カ国に拠点を持っており、カイロ事務所は中東・アフリカ地域唯一の事務所である。センターにおいては、日本語の授業や茶道・花道などの文化体験を行なっている。筆者も実際に茶道(裏千家)の授業に参加して、大使館公邸における初釜にも参加した。またJFの日本語授業にはビジターセッションというものがあり、そこに呼ばれる機会もある。

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初釜の様子。エジプトの要人も多数出席しており。彼らにお茶が振る舞われた。

 ビルの5階には、JFの付属図書館があり、日本語の本(特に漫画はかなり充実している)を借りられ、無料で使えるWIFIもあるので勉強はもちろんのこと、留学中の気分転換にもなる。さらに、日本に興味を持っているエジプト人が集う場所ということもあって、日本語を勉強しているエジプト人と友達になることもできる。実際、筆者はこの事務所で知り合ったエジプト人2名と特に仲良くなり、お互いに語学を教え合い、一緒に遊びに行くこともあった。私費留学生にとって、エジプト人の友人を作れる機会はそこまで多くはないと思うので、そのような点においてもおすすめである。(注:エジプトにおける日本語教育は、近年拡大しており、北はアレキサンドリアから南はアスワーンまで主要都市の大学には日本語学科が存在する。日本語能力試験の受験者数も増加傾向にある。)

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バンハー大学の日本語学科に遊びに行った際のナイル川クルーズ。食事代・交通費含めて全額負担してくれた。

③ 日本学術振興会カイロ研究連絡センター

 ザマーレクにある、日本学術振興会(研究者の支援を目的として活動している独立行政法人)がカイロに設置している事務所。現在の所長は、イスラーム地域の建築がご専門の深見奈緒子先生。日本人研究者への便宜提供、現地研究者との研究交流等の活動を行なっている。
 上述の活動に加えて、事務所に所蔵している本の貸し出しも行なっている。中東諸語の語学書、イスラーム、エジプト関連の書籍はかなりあるので、卒論のテーマ探しにも使える。また現在、ほぼ2週間に1度のペースで日本語の研究書を読む読書会が行われている。主な参加者は、深見先生、大学院生、外務省のアラビア語研修生、そして学部生である。読書会後には懇親会(大体前述のハナに行く)もある。学部生にとっては、現地に長期間滞在されている先輩方から色々な情報をもらえる機会なのでぜひとも参加していただきたい。

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歴史関連のアラビア語書籍。マムルーク朝期の史料が多い。

④ ペンションさくら(宿泊していたホテル)

 タハリール広場から南に15分ほどの位置にある、筆者が9月の間滞在していた日本人向けの宿。昔は留学生、バックパッカーが多く泊まり繁盛していたものの、革命以後は客の急激な減少に見舞われ、昨年廃業の瀬戸際まで追い込まれたものの、なんとか持ちこたえた。オーナーのエザット氏は、日本語でのコミュニケーションが不自由なくできる。また、フスハーも喋ってくれる(結構上手い)ので、アラビア語学習者にはおすすめ。またオーナーの兄のアブドゥ氏は料理がとても上手い(彼の鳥料理は本当に美味しかった)。筆者は途中で引っ越してしまったが、何度もお茶をしに、料理を食べに行った。設備は古いものの、清潔である。一層式の洗濯機を使えるというのも美点。
 他のカイロの安宿に比べると、割高感は否めない。ただ、アットホームさや、地区の利便性などはそれを補って余りあると筆者は考える。現在も客足は戻っていないので、ぜひ留学初期の一時滞在や、長期滞在にも使うことを一考していいただけたら幸いである。

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アブドゥ氏の鳥のスープ。本当に美味しかった。

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リビングの様子。

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