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『三つ子の魂、百まで』vol.8

吾唯知足

移住した2013年に長男が生まれ、その二年後、2015年に長女が誕生した。長女の妊娠を機に古民家を離れ小さな町で団地住まいをしている(現在は中古物件をリノベーションして暮らす)。古民家のある集落とは違い近所にスーパーも薬局もあり、徒歩で買い物に行ける便利な場所だ。

古民家で暮らした三年間で色々な亊に氣付き、自分達に必要な亊とは何かを見直せた。不便で創意工夫なしでは生きられないリアルを経験した記憶は時間が経った今でも身体が覚えている。一生忘れる亊のない貴重な素晴らしい経験だ。

外灯も殆どない集落では満月の明るさで夜散歩が出来る程、月明かりは輝いていた。観たこともない星の数に感動し、冬は眠る前に水を溜めておかないと明くる日、水道が凍結して水が出ない極寒。頭が痛くなる程冷える朝は溜めた水も凍る始末で底冷えってもんを初めて味わった。

自然に寄り添い、利用させてもらって初めて僕たちの生活は成立する。種蒔きもその瞬間を逃すと次に蒔けるのは来年、完全自給自足するのは容易い事ではないと肌で感じた。でも、やる氣さえあれば不可能な亊じゃないって思うのは少しずつでも農ライフをしてきたからだろうか?最近では自分達で出来ないものは人から購入するのもアリだと思うようになった。プロの農家さんが丹精込めて育てた無農薬米をキロ1000円以下で買えるなんてラッキーだし其処へ自分の命の時間を使って稼いだお金を落とす亊は有意義なお金の使い方だとも思う。志の高い農家さんをサポートするのも循環のひとつだろう。

水と空気

山梨に移り住んで一番驚いたのは水と空気の違い。東京から山梨に帰って清々しい空気を身体いっぱいに取り込むと身も心も洗われる。

最初の年に教えてもらった水場の湧き水は容器に入れて一年放置しても腐らないと言われたので物は試しにと一升瓶に入れて一年間冷暗な場所で放置した。一年経って飲んでみたが腐る処かむしろ美味くなったようにすら感じた。生きた微生物たちの棲み家は腐るどころか活性化しているんだと驚いた。

それから我が家では飲料調理水は湧き水を頂いている。毎日頂く御水だから水汲み場もキレイに保ちたいのでゴミがあれば拾うようにしている。タダで清らかな水を頂けるなんてラッキーだし、有り難く感謝して自分の出来る範囲ムリない行為でお還ししたい氣持ちでいっぱいに為る。

自分の体と時間を使い自分達の命になる水を汲みに行く行為が今を生きている実感として湧いてくる。時には濁っていたり土砂浄化装置の掃除で一時止められていたりと難儀する亊もあるけれど八年経った現在は水汲み場を数ヵ所確保しているので臨機応変に違う御水を味わえるのも楽しみのひとつです。

水が美味くて空気も清んでる山梨県、水と空気が良ければ土も良くなり、土が良ければ植物も良く育つ。島国日本は草木が生い茂り家や畑の草刈りが大変だと嘆く人が居る。けれど世界では草が一本も生えない場所もあるのだ、草が生えるって亊は生命活動を続けていく爲の食物が獲られるって亊だ。当たり前の環境は広い世界から見ればとても恵まれた環境だという亊を改めて見直さないとバチが当たる。多様性に富んだ島国日本の環境は素晴らしいし誇らしい、だから大切にしたい。

人も動物も植物も微生物も、宇宙も太陽も月も地球も他の惑星も火も水も、自然環境の何れ一つ欠けても僕の身体、命は成り立たない。全てが自分の一部で自分もそれらの一部と捉えて生きていければ目の前に映る景色はもっと美しく輝いて見えてくるのではないだろうか。

つづく

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