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『三つ子の魂、百まで』vol.5

田舎暮らしの課題

田舎暮らしを始め様々な課題に直面するようになってきたが、幼子抱えて生きていく為の生活資金を稼ぐ亊が一番の課題だった。ノリで勢い良く地元東京を飛び出したものの、仕事面では東京に片足突っ込んだままの状態が暫く続いた。

移住した年に長男が誕生し家族が増えると、東京と山梨を往復するのも億劫になってきたので、山梨で仕事をみつけたかった。地元東京で大工志亊を学び、独学で木工を始め手に職はあった。しかし建築業は繋がりの強い業界、なかなか上手く仕事が回らなかったので、他の仕事を探し始めた。

木こり

移住二年目、タイミング良く林業の仕事があると聞きつけた。こう言う嗅覚には昔から優れていた。興味もあったし、木に関わる仕事だったので即決、造林と呼ばれる森を造っていく仕事を行う、「森林工房 セブリ舎」で志亊させてもらえるようになり林業一年生となった。

木を伐る亊以外に林業というものの実態を知らなかったので、森を育てていく造林の仕事は全てが未知数、知らない世界に足を踏み入れていく前の少しの不安と大きなワクワク感が僕を包んだ。

造林ってなに?

造林の仕事を僕の浅はかな知識で説明すると、植林されたスギ、ヒノキ(針葉樹)など(広葉樹も含む)を山から伐り出し出荷した後のハゲ山に次の植林をする準備の為の地拵え(畑で言えば種蒔く前の耕し作業)をしてから目的に沿った樹木を植え付ける。

その後数年かけて、木が成長しやすいように下草刈り(草刈り)や枝打ち(無節材を作る為の作業)を行い良質な材料になるよう手をかける必要がある。

植林する樹種はスギ、ヒノキばかりだけでなく、クリやミズナラなどの広葉樹を織り交ぜて植え付ける針広混合林で自然な森を復活させる試みもある。植えた木に優劣をつけて間伐を行い密集した空間を広げて光を取り入れ美しい木を育てていく(間伐作業は10年おき位に3回位行う)。

植え付けてから50年以上の歳月を経て、ようやく材料として使用できる大きさに成長していく。つまり、自分が植えた木の行く末を見届ける事は不可能に近い。僕はそこにロマンと魅力を感じている。

木と人

自然の少ない都会で育ち、大工や木工をやっていると、木がどういう場所で育っているかを見ることは難しい、山へ入る様になって点と点が繋がり線になった。なかなか実態の見えにくい職業だけど、木は僕たち人間の生活には欠かすことの出来ない存在だと思うので、林業はとても重要な仕事だと思っている。何より人里離れた自然の中で汗を流すのはとても心地好く景色を眺めながら食べる昼飯と昼寝は格別である

つづく

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