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小説版『アヤカシバナシ』天上

都市伝説で『ベッドの下に人が居た』なんて話しがありますよね、それに似た話が知り合いの経験談にありましたのでご紹介。


関東某所で暮らすことになった知人A子。

不動産屋さんに紹介してもらったアパートは4軒入った、割と大きめの物件。1階の2軒は住んでおり、2階の向かって右は大家さんが住んでいると言う、A子にとっても、聞いた私にとっても聞いたことが無いパターン。

不動産屋さんが言うには『逆に隣が大家なんていい事ですよ、直ぐに何かあっても対応してくれますから、とても良いかたですヨ、綺麗に使って欲しいから女性限定なんですけどね』だった。

下見に行くと挨拶に出てきてくれた大家さん。

容姿はやせ形で160cmあるかないかの身長の中年男性で独り暮らし。

終始優しい笑顔と丁寧な言葉づかいで対応してくれた。

『見た目よりがっしりした造りで壁も厚いから冬は暖かいし、何より少しぐらい騒いでも聞こえないから、ね、あんた若いんだし、友達もくるでしょうけど気にすることないから』と言ってくれた。


その言葉が後押しする形となり、A子は入居することにした。


数日何不自由なく過ごすことができ、だんだんと慣れてきたころ、帰宅すると部屋の小物の配置が動いている気がする事が何度かあった。

変だな・・・とは思いつつも特に気にしていなかったのだが、それは突然訪れた・・・・。

お風呂から上がり、洗面所でドライヤーで髪を乾かしていた時、鏡に映る不審な動き・・・天井に黒い線がスー・・・と入った。

それは黒い線が入ったのではなく、天井の一部がズレて行ってるのだ。

え?と思い、ドライヤーを止めて鏡で確認した。

振り向いたら気づかれると言う咄嗟の判断だったらしい。

スススス・・・と動いて行き手がヌッと出てきて

完全に天井の一部を外したようだった、黒い四角が鏡に映る。

その暗闇から出てきたのは男の顔だった。


ゾッ!としたがA子は意外に根性があり、顔を確認するまでドライヤーを付けて気づかないふりをしたそうです。

ぬーっと顔を覗き込ませて来た時、はっきりと確認できた、それは隣の大家さんだった。

下りてこられたらヤバいので『あ!そろそろ行かなくちゃ!』と聞こえるように呟いて急いで着替えて家を出て、不動産屋さんに外で電話をし、直ぐに来てもらった。

幸いなことに担当者が側で営業していたらしく、ものの5分で駆け付けたそうです。

事情を説明すると『あの大家さんが?ないないない・・・』と信じてもらえなかったので、一緒に部屋に入ってもらう事に。

この時間ならまだいるかもしれないと思い、不動産屋さんに静かに鍵を開けてもらい、急いで電気をつけた。

誰も居なかったが、ゴト!と音が風呂場から聞こえた。

不動産屋さんが『失礼します!』と言いながら飛び込むと、天井から下半身が出ており、足をバタバタさせていたので、不動産屋さんが足に飛び付き『降りろ!ダイ・ハードかよ!』とマジで言いながら引きずり下ろすと、浴槽にドン!と尻から落ちた。

その顔はやはり大家さんだったそうです。


人が入るといつも覗くのが趣味で、留守を狙って下りてきて、下着を見たりしていたと自白。

『どうりで女性しか住まわせなかったんですね・・・』

不動産屋さんの言葉に大家さんはうな垂れた。


まもなく不動産屋さんが呼んだ警察が駆けつけて事件扱いに。

A子は不動産屋さんの計らいで次の住まいを責任持って世話してくれ、とことん調べたうえで権利金敷金無しで物件を紹介してくれたそうです。

あなたのアパートのお風呂場の天井は大丈夫ですか?

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