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世界がわかる宗教社会学入門 (ちくま文庫)橋爪 大三郎

この本は、宗教を社会学の研究対象として見るべく、代表的な宗教の成り立ちや社会に影響を与える部分について概説したものです。

読書猿氏ブログがきっかけだったような気がするのですが、該当記事が見つけられませんでした。ですので、なぜ選んだのかは覚えていないのですが、読むと結構おもしろいです。

宗教知りて社会を知る

一番おもしろかったのは、P22 宗教社会学とはなにか

社会学は、社会現象を科学的に解明する学問です。(中略)社会現象のなかの相対的に安定した(変化しにくい)部分、すなわち、社会構造にまず注目するのが普通です。社会構造を説明変数とみなし、それを前提として人びとの行為を説明しよう、と考えるのです。
社会構造の例として、さまざまなものが考えられます。人びとの行動をパターン化する(予測可能にする)ものは、みんな社会構造ですから、法律、制度、役割、文化、規範、組織、慣習などが含まれます。そうして宗教も、社会構造である! 社会構造の中でも、もっとも重要な社会構造であると言えるのです。

正直、「宗教」という言葉に対してアレルギーがあります。

それは、なんとなくの身の回りで聞く温度感であり、親がすがる対象/努力を止める理由にしていたよう見えたからであり、そしてどことなく感じる"強制"の感覚があるからです。

でも、そういったことを一旦脇に置き、一つの「説明変数」として観察・研究をする。そんなことができるようになったという意味で、この出だしの文章はじぶんにとっておもしろかったです。

苦難に共感

P147 初期仏教とはなにか

仏教では、この世の本質は苦であるとしています。生命全体が苦しみであるという、極端なニヒリズムです。こうした考えが、正しい認識として広く支持された背景には何があるでしょうか? ひとつには奴隷制。大多数の人びとが富を得られず、社会的にも経済的にも、自然の中でも苦しい状態におかれている。伝染病が多く、薬も治療法もないので悲惨な末期を迎える。こうした社会実態にもとづいています。

宗教を共感だけで評価するのもいかがなものか、とは思うものの、気にせず抜き書きします。

「四苦八苦」という言葉が、仏教に由来していることは有名ですが、まさか”この世の本質”という広さで「苦」と捉えているとは知りませんでした。

上記文に続いて

苦を苦のまま受け容れる。この世の本質が苦であるなら、それをそのまま認識するしかありません。それを徹底してとことん認識した途端に、苦は苦でなくなる。快楽になる。それを認識した人間は、この世の存在ではなくなっていくわけです。苦から離れる。解脱が唯一その道です。現象学の超越論的エポケーと少し近い。あるいは、精神病理学にいう離人症のようなものかもしれません。この世界のあまりの苦しさに現実感覚が変容していくのです。

それを受け容れる、受け容れることで反って苦が快楽にさえ変わる。

何の事前知識もなくこの文章だけ接したら「ドMか!?」とさえ感じます。傍から見たら、見分けが付きづらいのかもしれません。

少し話は変わりますが、じぶんの好きなワンピースのセリフに、ロロノア・ゾロがエニエスロビー編で言うセリフがあります。

苦難上等
好むものなり 修羅の道

CP9のカクと闘っているシーンで、最後ゾロが技を放つ瞬間に発したセリフです。だいぶ小さなコマなのですが、ずっと頭から離れません。

昔っから修行シーンみたいなものが結構好きで、ナルトが風遁螺旋手裏剣の修行をしているシーンやら、ルフィが頂上戦争後覇気の修行をしているシーンやら、麻倉葉がヨミの穴を歩くシーンやら、幸平創真がSHINO'S TOKYOでスタジエールをするシーンやら、あるいはシロツグが真面目に宇宙飛行士訓練しだすシーンやら。まあそういったシーンたちが好きです。

目的に向かって、覚悟を決め、敢然として修行に励むのが好きです。

先述のはいずれもフィクションの世界ですが、実世界でもそんな瞬間を経験した覚えはあります。それを彷彿とさせるものとして、抜き書した部分(仏教の考え方)が気に留まりました。

あ、このnote書きながら調べた「敢然」という言葉の意が気に入りました。

敢然(カンゼン)とは
[ト・タル][文][形動タリ]困難や危険を伴うことは覚悟のうえで、思い切って行うさま。「敢然と難局に立ち向かう」

敢然と気張っていこう。

終わりに

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