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「隠し砦の三悪人」(1958)ネタバレあり

基本情報

1958年公開の日本の時代劇映画である。監督は黒澤明、主演は三船敏郎。モノクロ、東宝スコープ、139分。戦国時代を舞台に、敗国の侍大将が世継ぎの姫と軍用金を擁し、2人の百姓を従えて敵中突破する姿を描いた冒険活劇である。黒澤作品初のシネマスコープ作品で、ワイド画面を活かした迫力ある映像とアクションが中心の娯楽大作となった。製作日数の大幅な遅滞と、それによる製作費の増大を引き起こしたが、興行的に大ヒットし、第9回ベルリン国際映画祭で監督賞と国際映画批評家連盟賞を受賞した。


ログライン
戦に敗れた百姓の太平と又七は逃亡中、偶然、薪に隠された金を発見し、落城した秋月家の侍大将、真壁六郎太と雪姫と共に、同盟国の早川領へ逃げなければならないが、関所が立ちはだかっている。

ストーリー
関所を越えるという共通のゴールがありつつ、太平と又七は金が欲しく、真壁六郎太と雪姫は身分を隠して生き延びなければならないという内なるゴールの食い違いがグループのまとまりのなさをうまく出している。
スターウォーズエピソード4の発想の元になったということだったが、共通点として以下が考えられる。
・太平と又七が喧嘩別れをするが結局お互いトラブルに巻き込まれ、合流する(C-3POとR2-D2)
・六郎太と田所兵衛が敵地のど真ん中で一騎打ちをするところ(オビワンとダースベイダー)
・お転婆なプリンセス(レイア姫)
・六郎太が敵と鉢合わせて馬で追いかけて敵を切りつけるところ。(敵と鉢合わせるハンソロ)
・一家の存亡をかけた二人に構わず金と自分たちの命だけを心配している太平と又七(銀河の存亡はあまり関心がないドロイド二人)

その他、以下のブログではプリンセスを本来守るべきだったオビワンと六郎田の繋がり、気まぐれで仲間になるハンソロと田所兵衛、最後にプリンセスからもらうメダルと金塊などの繋がりが考察されている。
http://movieandtv.blog85.fc2.com/blog-entry-560.html

脚本を書くにあたり、黒澤監督がストーリー上、立ちはだかる難題を設定し、他の脚本家がその解決策を考えたらしい。

演技・演出
・雪姫はオーディションで選ばれたが、演技があまりできないため、おし(喋れない)を装うという設定になったらしい。
・太平と又七のやりとりはドリフにも似ている。影響を与えているのかも。
・地面に地図を書くというのはとてもわかりやすい。
・秋月家の模様が月で、櫛や地図などいろいろなところでビジュアル的にわかりやすくなっている。
・冒頭の百姓二人の六郎太へのビビりながらの話し方がよい。
・六郎太に質問しているにも関わらず、同じ質問を返されて先に答えてしまうところがうまくパワーバランスを表している。
・百姓二人が仲良くしような、といった次の瞬間には金を取り合って喧嘩してるのが終始変わらないのがよい。
・七人の侍ではムードメーカーの千秋実が意地汚い百姓になってるのがまた面白い。ソン・ガンホみたいな味わいがある俳優さん。

撮影
広大な山や、金を探す人々、祭りをする村の人々など、大人数の動きがとても気持ちがよい。

好きだったところ
・六郎太の顔が嫌いだと繰り返す雪姫が、敵に囲まれて囮になろうとした六郎太の顔を最後にしっかりみるところ
・武士たちが通り過ぎた後に枝に隠れている百姓二人

自分だったらどう撮るか/盗めるポイント
・壮大すぎて盗めるところがない。
・地図を書くのはとてもわかりやすい。

画像引用元:https://www.amazon.co.jp/

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