ローカルタレントへの転向を許されてない男がかつてお笑いの養成所に通っていた頃の話

入学前

１,きっかけ

秋田県にはことごとく激怒しておりました。半年以上かけて準備した仕事が実現を許されなかったとき、長年メンタルヒーローとして戦っている私も憤慨するばかりでした。美味しくもないスターバックスの新作をすすりこみ、数少ない有志も去るほどに無様な様相でございました。

2,転機

幼馴染は数年に一度会っても優しいままでした。お部屋に泊まっても文句ひとつ言わずおもてなししてくれる。趣味や趣向は全く違うのに陰ながら応援してくれてるのかもしれません。不思議な人間がいるものです。
彼女は「喋ってると煩いけど喋らなかったら死ぬでしょ」と言いました。かつて朧げに眺めていた「タレント募集」のコマーシャル、小さな記憶を掘り起こすことでもう一度私をたたき起こしてくれました。

３,謝罪

その人が見るかなと思いまたかっこつけてしまった。ここまで笑いひとつない人間は実に無力、17まで子供のでき方も知らなかった珍竹林はエンタメ虎の巻をジュンク堂で買うような無能野郎でございました。
善は急げと言う割に、29にして申し込みを進めている秋口の空でした。

入学直前

たまげ時代の到来か。お迎えはペストを更新する気概により世の中全体を封鎖にかかるのです。オーディションで小さな高揚感を感じていたドラ息子は、直前に政府の緊急事態宣言を受け田舎にこもることになります。
ラブストーリーよろしく、突然に半年間人生はストップいたしました。

入学後

１,笑っちゃうんすよね

見ての通りスカす芸風の田舎育ちは歴史のオーパーツであります。ゆかりあって某スクールに通うわけですが、世間の風向きとともにオンラインと状況を併用する形となりました。
しかしそれを言い訳にはできません。同期の中で突出することができず、イロモノとして枠外の立ち位置へと追いやられる形となりました。
驚きですね。かつてはじきにされた中2の夏のようでした。

２,笑えないのよね

スプラッシュバブルの崩壊により成績は5教科220点程度に成り下がったのです。正直1年間のうち最初の4か月くらいはやる気を維持できていましたが、批判や距離感を覚えるうちに少しづつ熱が冷めていくように思えました。
「また環境が邪魔しとる…」。壁ドンしてフられたショッピングモールでの記憶がフラッシュバックし、機会に恵まれない己の算段を恥じるのです。

3,淡き作戦を嗤う

養成所に通ったら面白さがアップして、所属するしないは後回しで無視し、凱旋することで地元での仕事を増やしたるんよと思ってたんよ。
でも理想高く学年イチの美女を狙うように、田舎へのラブレターは破られる結果となりました。秋田に恋してるのはまた俺だけでした。
うまくいきませんね世の中の摂理は。

結語

少しは面白くなれたんでしょうか…。この経歴を生かしてお笑い仕事ができるので案件待ってます！をやって10年経ったので切れる緒がありません。炙り斬れてでも這いつくカントリーゾンビの爆誕であります。まともな人間の皆さんに好かれずとも俺は生きながらえています。うれしいですね。これを見る人がまだ生きてるのなら。好きです。付き合ってください。デートは映画館以外で。飯行きましょう。半分残すけど嫌いにならないでください。嫌いですか。すみません働きます。