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希望に満ちた第72回紅白歌合戦

昨年12月31日、私が今か今かと待ち望んでいた紅白歌合戦が放送されました。
第72回を迎えた紅白歌合戦。直近の第70回・第71回と比較すると、ネット上やお茶の間の笑いを掻っ攫った『新世紀エヴァンゲリオン』とのコラボ企画などはあったものの、企画モノやメドレーが少なく久々に『音楽』一筋で勝負を挑んだ印象です。
では、今回の紅白の注目すべき点について語っていきましょう。

ネット文化発祥音楽の大躍進

今回、特筆すべきはネット文化発祥の音楽の大躍進でしょう。
紅組ではYOASOBIさん、白組ではまふまふさんと二組がネット文化発祥のアーティストとなっています。
YOASOBIさんはストリーミング再生三億回を突破した『群青』を披露し、まふまふさんはYouTubeで再生回数一億回を突破しているカンザキイオリさん作詞作曲のボーカロイド曲『命に嫌われている。』のカバーを披露しました。
数年前までは煙たがれていたネット文化が創り出した音楽が、2021年に遂に紅白歌合戦に出場するまで登り詰めました。
近年の音楽業界は、特定の事務所への忖度がよく見える趨勢となっていました。
この御二組の紅白出場によって、それが少しでも軽減されたのではないかと胸をなでおろすばかりです。

見事なパフォーマンスを見せたジャニーズアイドル

さらに特筆すべきはジャニーズアイドルたちでしょう。
まずは2020年デビュー組のSnow Manについて語っています。
2020年度の第71回紅白歌合戦では、その年にデビューしたSixTONES、Snow Man両組のパフォーマンスが予定されていました。
しかし、Snow Manのメンバー・宮舘涼太さんの新型コロナウイルス感染によって紅白歌合戦を辞退せざるをえなくなりました。
そして、昨年の第72回紅白歌合戦。Snow Manは満を持して紅白歌合戦への出場を果たしました。
一昨年披露できなかったデビュー曲『D.D.』をSnow Manは堂々と披露し、激しいダンスの中でも安定した生歌を披露。一昨年の雪辱を完全に果たしました。圧巻の一言でした。

次はSnow Manと同じく2020年デビュー組のSixTONESです。
2021年度を代表する曲と言える、King Gnu・millenium paradeの常田大希氏作詞作曲の『マスカラ』をSixTONESは披露しました。
『マスカラ』は全体的に、多くの楽曲でジャニーズらしさを極力削いだ作曲となっているSixTONESをまさに象徴するような楽曲と言えるでしょう。
今回の紅白歌合戦では、SixTONESは『マスカラ』をSnow Manと同様、生歌で歌い上げました。
ここはやはりSixTONES、生歌でもユニゾンが全員が安定していて隙を見せない。京本大我さんのセクシーな歌い方、ジェシーさんの力強い歌声、田中樹さんの曲の世界観によって使い分けられる歌い方、松村北斗さんのドスが効いた歌声、髙地優吾さんの優しくも猛々しい歌声、森本慎太郎さんの甘い歌声。すべてが高水準で組み合わさった見事なパフォーマンスとなっていました。

最後はKAT-TUNです。
KAT-TUNは2021年にデビュー15周年を迎え、 第72回紅白歌合戦で見事初出場を果たしました。
メンバーの亀梨和也さんはこう語っています。

「抜けたメンバーにも、今こうして紅白のステージに立ったということで、何か感じてもらえるようなステージにしたい」

ORICON NEWSより

KAT-TUNは元々、亀梨和也さん、赤西仁さん、上田竜也さん、中丸雄一さん、 田口淳之介さん、田中聖さんの六人グループでした。
ですが様々な要因により赤西さん、田中さん、田口さんの三人が脱退し、現在は亀梨さん、上田さん、中丸さんの三人グループとなっています。
そして今回の紅白歌合戦で、デビュー曲の『Real Face』を三人体制のKAT-TUNで構築し直した『Real Face#2』 を披露しました。
三人体制ながらも、三人の表情からは15周年の「次」を見据えた覚悟が見え、パフォーマンスは六人体制のときに匹敵するほどのクオリティと熱気を見せていました。

新世代のパフォーマー『藤井風』

さて、最後に特筆すべきアーティストは藤井風さんでしょう。
藤井風さんは2021年度にヒットした新星ヒットアーティストであり、楽曲はR&B、HIPHOP、ポップスに色濃い影響を受けているモダンなサウンドを奏でています。
今回の紅白歌合戦では岡山県里庄町の実家から『きらり』を披露する、と事前にアナウンスされていました。
藤井さんの出番が回ってくると、アナウンス通り岡山県の実家から『きらり』を披露し、遠隔ではあるものの見事なパフォーマンスを披露しました。
『きらり』のパフォーマンスが終了すると、藤井さんがカメラを手で覆い、場所は紅白歌合戦会場の東京国際フォーラムへと移ります。
すると、岡山県の実家にいるはずの藤井さんが東京国際フォーラムのステージに登場し、『燃えよ』を披露しました。
この一部始終はネット上で「正に『エンターテイナ』ーである」と話題になっていました。
藤井さんの生歌での歌声は力強く、歌唱力の高さを見せつけました。

総評

語りたいことは『BiSHの初出場』や、『ドラクエの紅白出場』などまだ山程あるのですが、時間がないのでここまでとします。
さて、第72回紅白歌合戦は例年とは違い、企画ものが少なく『歌』一本で勝負するというNHKの覚悟が見えるものでした。近年ありがちだったジャニーズ事務所所属アイドルへの偏重も控えめになっており、2021年を象徴するような曲が多めでした。

ですが、今回の紅白は課題も見えてきました。それは音楽業界全体の課題でもある、特定事務所への忖度です。
2021年に大きく活躍し話題となったDa-iCEJO1INIBE:FIRSTは紅白はおろか音楽番組にも満足に出してもらえないという状況です。
2021年には『Butter』『Permission to Dance』が大ヒットし、日本国内のみならず世界でもKPOPの金字塔となっているBTSも未だに紅白出場を果たせていません。
今回の紅白では2020年にTHE FIRST TAKEへの出演で大ヒットしたDISH//が初出場を果たし、非ジャニーズ系ボーイズグループへの風当たりは段々改善されてきているように感じますが、ジャニーズアイドルとの直接の競合相手となる『ダンスボーイズグループ』への風当たりはまだまだ強いままです。
特に、ストリーミング再生回数一億回を突破し、若年層の間で大きく話題となり、レコード大賞を受賞したDa-iCEの『CITRUS』が第72回紅白歌合戦の曲目として選ばれなかったことには疑問符がつきます。

そして、2021年に大ヒットした歌い手のAdoさんや、シンガーソングライターの優里さんが出場しなかったのも大きな疑問です。
優里さんに関しては不倫騒動があったものの、それは彼が生み出した楽曲となにか関係があるのでしょうか。彼の代表曲である『ドライフラワー』はストリーミング再生回数四億回を突破しています。
Adoさんに関しては、最早出場しなかった意味がわかりません。彼女の代表曲である『うっせえわ』はストリーミング再生回数二億回を突破しています。


総評としては
「第72回紅白歌合戦は本来の紅白のあるべき姿を取り戻す第一歩となったが、課題も見えてくる」
ということで〆させていただきます。ご清聴ありがとうございました。

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