【第１１話】希望のリスタート

第11話：人材育成

あいりたちの新たなビジネスアイデアが少しずつ成果を上げる中、あいりは次の課題として、社員のスキルアップと人材育成に取り組むことに決めた。彼女は、会社の成長には社員一人ひとりの成長が不可欠であると確信していた。

そこで、あいりはコーチングを導入することを提案した。コーチングは、社員の潜在能力を引き出し、自己成長を促す効果的な手法だ。特に、拡大質問（オープン/パワフル・クエスチョン）を用いることで、社員の考え方や視点を広げ、自己解決能力を高めることができる。

ある日、あいりはリーダーたちを集め、コーチングの重要性と具体的な方法について説明するためのミーティングを開催した。

「皆さん、今日は人材育成の一環として、コーチングを導入することを提案します。コーチングを通じて、社員一人ひとりのスキルアップを図りたいと考えています。」

リーダーたちは興味深そうに耳を傾けたが、中には懐疑的な表情を浮かべる者もいた。あいりは、コーチングの具体的な方法として、拡大質問を紹介した。

「拡大質問は、オープンな質問やパワフルな質問を通じて、相手の考えを深める手法です。例えば、『このプロジェクトで最も重要な要素は何だと思いますか？』といった質問を使うことで、社員の内面から答えを引き出すことができます。」

あいりは、参考書籍として「マンガでやさしくわかるコーチング/CTIジャパン著」を紹介した。この本は、コーチングの基本概念を分かりやすく解説していると同時に、実際のシナリオを通じて実践的なスキルを学ぶことができる。

「あいりさん、マンガなんて本当に役に立つんですか？」佐藤が疑問を投げかけた。

「あいりは笑顔で答えた。「確かにマンガという形式は軽く見られがちですが、この本は非常に実践的で参考になります。一度読んでみて、実際に試してみる価値はあると思います。」

リーダーたちは少し戸惑いながらも、とりあえず本を読むことに同意した。数日後、リーダーたちは再び集まり、読んだ感想を共有した。

「正直、最初は侮っていましたが、読んでみると非常に分かりやすく、具体的な例がたくさん載っていて参考になりました。」田中が素直に感想を述べた。

「同感です。特に、拡大質問の使い方が具体的に書かれていて、実際に試してみたくなりました。」佐藤も続けた。

あいりは、リーダーたちがコーチングの価値を理解し始めたことに喜びを感じた。「では、早速コーチングを実践してみましょう。各リーダーが自分のチームで拡大質問を使ってみて、どのような反応が得られるかを観察してください。」

リーダーたちはそれぞれのチームに戻り、コーチングを実践することにした。数週間後、再びミーティングを開催し、結果を共有することになった。

「皆さん、コーチングを実践してみた感想を教えてください。」あいりがリーダーたちに尋ねた。

「私のチームでは、拡大質問を使うことで、メンバーの考えが深まり、自主的に解決策を見つける場面が増えました。」佐藤が報告した。

「同じく、私のチームでもメンバーが自分の意見を積極的に出すようになり、チーム全体のコミュニケーションが活性化しました。」田中も同意した。

あいりは、リーダーたちの成功体験を聞いて満足感を覚えた。「素晴らしい成果です。これからもコーチングを続けて、社員一人ひとりの成長を促進していきましょう。」

コーチングの導入は、社員のスキルアップだけでなく、チーム全体の雰囲気やコミュニケーションの質を向上させる効果があることが確認された。あいりは、この成功をもとに、さらなる人材育成の取り組みを進める決意を新たにした。

「皆さん、これからもコーチングを続け、私たちのチームをさらに強くしていきましょう。そして、次なる挑戦にも一緒に立ち向かっていきましょう。」

リーダーたちはあいりの言葉に力強く頷き、彼女のビジョンに共感しながら、さらなる成長に向けて努力を続けることを誓った。