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健康維持増進・運動療法関連

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健康経営や企業内における健康維持増進活動に関する考察、高齢者に対するロコモティブシンドロームの予防を目的とする運動療法などに関する考察をしています。
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記事一覧

Never too late...

筑波大学大学院在学中の恩師の言葉です。 「高齢者になってから運動を始めても必ず効果は出るため、年齢を理由に運動に取り組むことを諦めないで欲しい」という意味が込められています。 私が年甲斐もなく、さまざまなことに取り組んでいるのは、この恩師の言葉が礎になっているといっても過言ではありません。 しかし、大学院を修了し運動指導者として高齢者に対する運動指導を行う経験が増えるにつれ、また、自身が加齢に抗いながらさまざまな取り組みを重ねるにつれて感じることは「運動を始めるにおいて

運動指導者が健康経営を支援する上で留意すべきこと・・・

今後、運動指導者が取り組むべき課題の1つに「健康経営」の支援があげられると私は考えています。 *運動指導者が取り組むべき健康経営の支援に関しては以下の記事を参照ください。 ただし、企業が健康経営を導入する上では、さまざまな課題や障壁があると考えます。 そこで、今回は企業が健康経営を導入する上での課題などについて考察してみたいと思います。 1.健康経営は費用対効果がみえにくい 健康経営は、現代社会の企業活動において不可欠な活動であることに疑いの余地はありません。 し

ロコモを予防して健康長寿を目指そう!(有料)

みなさま、充実した日常生活をお過ごしですか? 今回は、新型感染症の影響で運動不足の人が増加していると言われている現状を踏まえ、運動不足が健康に及ぼす影響について解説し、健康を維持するために何をすべきかについて解説、アドバイスしていきたいと思います。 「ロコモ」とは?「健康長寿」とは?という人はもちろん、ロコモや健康長寿に関して十分に理解しているという人も、改めて「ロコモ」と「健康長寿」について知識を深めましょう。 ​1.現代社会で重視したい健康長寿とは?近年、科学や技術

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SDGsの達成に向けて運動指導者ができることについて考える-SDGsと健康経営を中心に-

日常生活の中で当たり前のように浸透しつつある「サステナブル」や「SDGs」という言葉。 今回は、サステナブルな社会の実現に向けて、運動指導者が貢献できることについて考えてみたいと思います。 1.サステナブルとは?サステナブルやSDGsに対して運動指導者が貢献できることについて考えるために、まずは改めてサステナブルとSDGsについて簡単に整理をしておきましょう。 サステナブルと聞くと、「エコ」や「リサイクル」を発想してしまう人が多いと推察されます。 しかし、サステナブル

ポモドーロテクニックを活用した健康維持増進活動について

さまざまな業界や企業で推し進められている働き方改革。 かつては特殊な働き方であったともいえるリモートワークや在宅ワークは、もはや一般的な働き方になりつつあります。 そして、働き方の変化に伴い注目されているのが「時間管理術」 現在、多くの時間管理アプリなどが提供、販売されていることから時間管理術への注目の高さが伺えます。 そこで、今回は時間管理術を活用した健康維持増進活動を提案したいと思います。 1.新型感染症予防対策としての働き方改革 新型感染症の予防対策の一環と

糖尿病患者のロコモティブシンドローム予防について(有料)

これまで糖尿病の予防や治療にはウォーキング等の有酸素運動が効果的であるとされていました。 有酸素運動は確かに糖尿病の予防、改善効果が高く、日常生活における身体活動量が減り糖の処理量が減ってきている現代社会においては積極的な有酸素運動を行って、摂取した糖の処理に努めなければならないといえますが、近年では、ウエイトトレーニングも糖尿病の予防、改善に有効な運動であることが明らかにされています。 糖尿病とウエイトトレーニングに関しては以下の記事も参照下さい。 また、最近ではロコ

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高齢者の体力レベルについて考える

これまで多くの先行研究によって高齢者の体力に関する報告がなされていますが、その多くが寝たきり予防、転倒及び転倒に伴う骨折予防という視点に基づくものであるといっても過言ではなく、そこで捉えられている体力はLawtonによって報告された「人の活動能力の諸段階(Lawton, 1972)」から考えると「機能的健康度」ならびに「身体的自立」に相当し、人間として必要とすべき最低限の体力であるといっても過言ではありません。 「身体的自立」に必要な体力は、いい換えれば介護を必要としない体

加齢に伴う骨格筋量の減少ならびに筋力の低下と筋細胞内水分量の関係

多くの先行研究によって加齢に伴い骨格筋量ならびに筋力が低下することが明らかにされ、特に加齢に伴う筋力の低下は骨格筋量の減少が要因であるとされていますが、近年、筋力の低下が骨格筋量の減少よりも2倍~5倍大きいことも報告されており、加齢に伴う筋力の低下は「骨格筋量の減少以外の要因」によるところが大きいかもしれないとされ様々な研究が行われています。 ところで、骨格筋は単一の要素から成り立っている訳ではなく、骨格筋細胞、細胞外区画、筋内脂肪の3要素で構成されていると考えられています

高齢者の歩行速度に影響を及ぼす要因について考える・・・

これまで多くの先行研究によって加齢に伴い歩行能力が低下すること、とりわけ歩行速度が低下することが報告されており、歩行速度は寿命にも関連する要因の一つであることが報告(1)されていることから、高齢者にとって歩行速度の低下を防ぐことは重要な健康課題の一つであるといえます。 これらを踏まえ高齢者を含む一般の方々が歩行運動に取り組む上では、「通常歩行(運動)」よりも歩行速度を意識した「速歩(運動)」が望ましいと考えられる訳ですが、加齢に伴う体力の低下がみられる高齢者においては、ただ