マガジンのカバー画像

事例演習刑事訴訟法解答

21
事例演習刑事訴訟法の参考答案です。
運営しているクリエイター

#逮捕

事例演習刑事訴訟法 1.任意捜査と強制捜査

第1 小間1について
1 本件捜査は、写真撮影として五官の作用により対象を認識し、その私的領域に侵入する「検証」(刑事訴訟法(以下、略)218条1項)に該当するものであるが、令状の発付を受けることなく実施している。そこで、本件捜査は令状主義とならないか。「強制の処分」(197条1項但書)の意義が問題となる。
2(1)197条1項但書の趣旨は、国民の重要な基本的権利・自由を制約する処分について、厳格

もっとみる

6 身柄拘束の諸問題(3)

第1 設問(1)
1 本件は殺人の捜査を目的として、別件たる窃盗の令状・勾留状請求をし、逮捕・勾留しているが、これは許されるか。
(1)そもそも、逮捕状の表面から捜査機関の主観を裁判官が見抜くことは困難である。また、逮捕・勾留の要件は被疑事実について判断するものである。したがって、別件の逮捕・勾留の要件を満たしている場合、当該逮捕・勾留は適法である。
 もっとも、捜査官が専ら本件についてのみ取り調

もっとみる
9 令状に基づく無令状捜索・差押え(1)

9 令状に基づく無令状捜索・差押え(1)

1 Kの逮捕に伴う捜索・差押え(刑事訴訟法(以下、略)220条1項2号)は適法か。
(1)まず、無令状捜索差押えについていかに解するべきか問題となる。
 確かに、憲法35条が令状主義を原則と理解するならば、その例外を限定的に理解する緊急処分説の方が令状主義の趣旨に適合的であると言える。
 しかし、憲法35条は、令状による捜索差押えと逮捕に伴う無令状捜索差押えについて、原則例外の関係ではなく、並列の

もっとみる
10 逮捕に伴う無令状捜索・差押え(2)

10 逮捕に伴う無令状捜索・差押え(2)

第1 設問(1)
1 本件捜索は刑事訴訟法(以下、略)220条1項2号より適法か。本件ではGを通常逮捕(199条1項)で「逮捕する場合」(220条1項柱書)の「逮捕の現場」(220条1項2号)である411号室で,そこにたまたま居合わせた第三者であるXに対して身体捜索している。
 かかる捜索場所にたまたま居合わせた第三者に身体捜索することを220条1項2号は許容されるか。
(1)そもそも、220条3

もっとみる