見出し画像

【経理】作業をラベリングして、業務の全体像を見る。(前編)

こんにちは、きくちきよみと申します。
税理士です。

今日は、「経理作業をカテゴリー分けできるようになると、社内スタッフや外部専門家に信頼されやすいので、仕事を進めやすくなる」ということについて書きます。

書いているうちに長くなってしまいましたので、2回に分けて書きます。
今回は前編です。


「それは〇〇さんに相談すると良いですよ」とよく言われませんか?

①適切でない相手に質問・相談してしまう場合

新人経理さんによくあることですが、質問をした相手に「それは〇〇さんに相談すると良いですよ」と言われる方がいらっしゃいます。

質問を受けた相手は「自分よりも〇〇さんに聞くべき内容だ」と考えるため、そのように伝えてくれます。説明が丁寧な先輩や同僚であれば、「△△は〇〇さんが担当だから」「△△は××さんと〇〇さんが担当だけれど、〇〇さんの方が計算内容の方に詳しいから」と理由まで説明してくれることもあります。

ただ、相手の説明の意図に気づかなかったり、誰に質問すべきか考えなかったりして、毎回適切でない人に質問・相談をし続けてしまう方がいらっしゃいます。

毎回適切でない人に質問をし続けてしまっても、周りに聞きまわった末に最終的には回答を得られるのは間違いありません。ただ、「この人はまだ業務の全体像や流れを理解していない」と思われやすくなり、人に信頼されにくくなってしまいます

5年以上の経理経験がある方でも、意外とこのタイプの方がいらっしゃいます。ご本人の業務上の実績とは関係なしに過小評価されやすくなりますので、自覚のある方は、ご留意頂いた方が良いと思います。

②誰にも相談せずに、仕事がなかなか進まない場合

ベテラン・中堅スタッフの方に多いのですが、誰にも相談せずに自分で業務を進めようとしても順調に進まず、見かねた上司・同僚から「それは〇〇さんに相談すると良いですよ」と声をかけられる方がいらっしゃいます。

職場の雰囲気にもよると思いますが、進め方がわからない仕事の進め方は、2パターンの選択肢しかないでしょう。

A)自分で調べる。
B)誰か知っている人に聞く。

この2パターンのバランスにもよりますが、「A)自分で調べる」に時間をかけすぎたり、「B)誰か知っている人に聞く」で誰に聞くかわからなかったりして、周囲から心配されてしまうことになります。

AとBの違いですが、違うように見えて、実質は同じです。

その作業のカテゴリー分けがわからないので自分でも調べられず、誰に聞いたら良いかもわからない、ということになります。

~自分の話~
自分の話をすると、過去の自分の勤務先(企業の経理部や税理士法人など)の多くは「自分で徹底的に調べてから質問しに来い」という雰囲気の勤務先の割合が多かったです。確かに、その厳しい環境下で鍛えられたという自覚はありますが、ウェブ検索すれば大抵のことは調べられる時代に、その昔の方法を継続する意味はないと思っています。

また、「自分個人に蓄積されたノウハウを共有せず、独り占めする」ような方も昔はいらっしゃいましたが、今は見かけません。情報が大量にあふれている今、余程の希少価値のあるノウハウでない限り、価値などないからでしょう。

「最低限のことだけ覚えて必要に応じて情報の海から情報を拾い、進め方・調べ方がわからないことは知っている人に聞いて身に着ける」というのが、わからないことへの向き合い方かなと、今は思っています。(もちろん、相談相手の信頼は失いたくないので、質問する前に自分で考えることは怠らないように注意しています。)

作業をカテゴリー分けすることが重要な理由。

どのような理由であれ、「それは〇〇さんに相談すると良いですよ」と言われることが多い方は、作業をカテゴリー分けできるようになると良いと思います。

作業をカテゴリー分けできれば、誰に質問・相談すれば良いかがわかります。誰に質問すれば良いかがわかれば、的確にその相手に質問・相談することができるようになります。

また、中小企業のひとり経理さんの場合は相談相手が少ないことが多いかもしれませんが、作業をカテゴリー分けできれば、どのようなキーワードでウェブ検索すれば良いかがわかります。

ひとり経理さんに限らず、何か調べものをする際に「ウェブ検索したけれど全く方向性がわからない」という場合は、カテゴリー分けできていないなど、調べ方が良くないことがほとんどです。今はうまくウェブ検索できれば何かしらの解決方法が示されます。(ただし、その内容が正確・適切かどうかは、その情報ソースや更新日時などから判断する必要があります。)

↓↓↓(参考)税務の情報ソースの選び方。


【大前提】経理、会計(開示)、財務、税務を区別する。

割とごっちゃになりやすいのですが、新人経理さんはまず、経理・会計(開示)・財務・税務の4つを区別できるようにしましょう。この区別ができていないと、何をやっても理解が次に進まなくなってしまうからです。

中小企業では、それぞれの意味は下記のようなことになると思います。(わかりやすさ重視なので、正確な表現ではないことをご了承ください。)

・経理:支払業務、入金管理、会計記帳、試算表の作成など
・会計:決算書など開示書類の作成(法律上のルールがあるもの)
・財務:資金調達、経営企画、予算管理など
・税務:税金の計算が関わるもの(「会計」のルールとは一致しないものがある)

例えば税理士としてよく受ける質問に「この取引の仕訳はどうしたら良いですか?」というものがあります。この質問は「経理」「会計(開示)」「税務」の3つが影響しますので、自分がどの観点の質問をしたいのか、そして、相手の回答がどの観点からの回答なのか、ということは整理できるようになった方が良いでしょう。

★次回(後編)、具体的な分類方法について整理していきたいと思います。


ここまでお読み頂きまして、ありがとうございました。