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【経理】月次決算を早期化するには。

こんにちは、きくちきよみと申します。
税理士です。

月次決算は、経営者が自社の現在の状況を把握し、今後の方針を検討するのに必須です。一方で、様々な理由から、月次決算が締まるのが遅いことが悩みの種になってしまっている会社さんは多いと思います。

今日は、月次決算が締まるが遅くなる理由と、月次決算を早期化する方法について、改めて整理したいと思います。


<月次決算が締まるのが遅い理由>

業種や会社の状況により理由は様々だと思いますが、中小企業でよく見る例を挙げてみます。

①売上がなかなか確定しない。

「ルールが決まっていない」「ルールはあるが、ルール通りに実務が進んでいない」ということが理由で、売上が確定しないことがあります。

・営業部が請求金額を確定する期日が決まっていない。
・請求確定期日は決まっているが、営業部が期日を超えて粘る。
・売上計上基準は検収基準だが、先方の検収完了が確認できていない。
・営業部と経理部の連携が悪く、請求書を発行するのが度々遅れる。

例えば、受注情報すべてがもれなく社内で共有されていれば納品時期(=売上計上時期)を経理側でも把握できるのですが、「請求書を発行しないと、今月に売上が立つかどうか経理にはわからない」という会社で、このような状況に陥りやすいです。

②売上原価・費用がなかなか確定しない。

上記①と同様ですが、「請求書をもらわないと経理には金額がわからないし、そもそも費用が発生するかどうかすら経理にはわからない」という会社で、このような状況に陥りやすいです。

請求書をもらって支払をする前に、「(自社の)発注→(先方の)受注→(自社に)納品→(自社で)検収」というプロセスが発生するので、発注以降のプロセスが社内で共有されていれば、このようなことは起きません。大企業の経理に勤めていた方が中小企業に転職すると、この点に驚かれることが多いようです。

③自社で記帳しておらず、外部に記帳代行を委託している。

「自社で記帳代行する人員を雇うよりも、外部に記帳代行を委託した方が安いから」という理由で、記帳を外部に委託している会社も多いと思います。

この場合、特に上記②の問題の影響が大きくなります。費用を容易に見積もれない場合、請求書が揃ってから資料をまとめることになります。1か月分の資料をまとめて外部委託者(記帳代行業者や会計事務所など)に資料を送るため、結果的に、月次決算の締めは遅くなります。例えば、2月の決算資料を3月中旬に送ると、2月の決算締めは早くて3月末、遅いと4月末に締まる、というようなことも、しばしば起こります。

<月次決算を早期化する方法>

月次決算を早期化する方法ですが、近道はありません。一つひとつを着実にクリアしていく必要があります。

①まず、社内のルールを決める。

社内でのルール決めは、とても重要です。

<例>
・売上計上は検収基準とする。検収確認は書面によって行う。
・自社の当月分の請求書は、翌月第3営業日までに発行する。
・当月の受注情報は、翌月第3営業日までに記録し、社内共有する。
・発注情報は、随時記録し、社内共有する。
・当社の支払は、10日締め、翌月末日払いとする。

このルール決めですが、最初のルールは、各部署の2年目社員が無理なく完了できるレベルに設定するのがおすすめです。また、経理部の負担だけが極端に大きくなるようなスケジュールは、絶対に受け入れてはいけません。決算早期化は、会社全体で取り組むべき問題だからです。

②場合によっては、期中は現金主義で記帳する。

発生主義(=収益・費用を、実際の入金時点ではなく、権利・義務が発生した時点で認識する方法)で記帳しようと思うと遅くなるので、期中だけは現金主義(=収益・費用を、実際の入金時点で認識する方法)で記帳してしまう、というやりかたも、会社によっては採用できると思います。

特に、支払に関して現金主義(=支払ったものを支払った時期に費用にする)で記帳するようにすれば、決算早期化のハードルは非常に低くなります。(感覚的には、発生主義の労力を100とすると、20以下の労力になると思います。)

ただし、月次損益が歪んでしまうので、正直なところ、あまりおすすめしません。月次決算をしている意義も薄まってしまいます。

③会計記帳の内製化(=自社で記帳すること)を検討する。

会計記帳を内製化することにより、月次決算は圧倒的に早くなります。記帳のタイミングや記帳方法(会計ソフトにどのように取り込んだら仕訳の労力が少ないか、など)の工夫をいくらでも検討することができるからです。

↓↓↓ 会計記帳の内製化についての過去の記事は、こちらです ↓↓↓


④決算早期化状況を毎月フォローアップし、改善する。

これが一番重要なのですが、月次決算の早期化プロジェクトは、「毎月フォローアップして、できていないところは改善する」ということが欠かせません

決算早期化のために改善案を提案して決定する、というところまでの作業が得意な人は結構多いのですが、その後は続かない or うやむやになる例が多いです。決算早期化を実際に進めていく中でのトライ&エラーは、実務上も心理的にも負担が大きいからです。

各部署での実際の状況を把握し、各部署の不満の声を聞きつつも、どこまで妥協するか、妥協してはいけないことはどのようにやってもらうか、という判断と工夫の負担は大きいので、仲間を作りながら、進めていくことが重要です。

一歩ずつ、着実に。

決算早期化プロジェクトに、近道はありません。どんなに準備しても、最初からスムースに進むことはほとんどありません。各部署との調整ができず、頓挫することも少なくありません。

各部署と協力しながら、決算早期化プロジェクトを進めてみてはいかがでしょうか。

ここまでお読み頂きまして、ありがとうございました。