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チェックリストを活用しても間違う人は永遠に間違うし、間違わない人は常に間違わない、というジレンマ。

こんにちは、きくちきよみと申します。
元・舞台照明家→事業会社の経理→税理士です。

今日は、ミスを防ぐためにチェックリストを更新しても、間違う人は何度でも様々な間違い方をするので、チェックリストは万能ではない、という話をします。


チェックリストを更新するのは、苦手です。

どの会社でもいろいろなチェックリストがあると思いますが、私はこのチェックリストの更新作業が、本当に苦手です。

今は国税庁が提供しているチェックリストをベースに、留意点を追加してチェック項目を増やしたり更新したりしているだけですが、過去に勤務していた会計事務所では独自のチェックリストを作成しており、永らくその更新担当だったときは、本当に大変でした。

そもそも、間違ったチェック項目になってはいけないので、法律や解説を何度も読み込みます。
・旧税制と新税制の適用期間を明確に区分する。
・適用要件を明確にする。(対象法人、前提など)

その上で、所内のスタッフがミスをしそうな項目については、補足を加える必要があります
・用語の意味の解説を加える
・税額を減らすことができる特例など、判定忘れの影響が大きい内容について、項目を追加する

この「所内のスタッフがミスをしそうな項目についての補足」というのがいつも大変で、工夫しても毎回ミスが無くならない、というジレンマがありました。それを未だにひきずっていて、今も苦手意識が残っています。

間違う人も、チェックリストを活用している。

間違えたときに担当者に確認すると「チェックリストは使っている」ということがほとんどです。さらに確認していくと、間違う理由が少しずつ明らかになっていきます。

間違う理由①:各チェック項目の意味を理解していない。

最も多い理由が「各チェック項目の意味を理解していない」パターンです。
そもそもの法令理解が浅いために読み違えをしてしまい、本来はクリアしていない内容をクリアしていることにしてしまうことになります。

間違う理由②:チェック項目を検討したが、エビデンスを残していない。

次に多い理由が「チェック項目を検討したつもりだが、それを頭の中で検討しただけなので、結果的に間違う」パターンです。
本来はお客様から資料のコピーをもらわないと正確に証明できないものを入手していなかったり、正確に比較計算する必要がある計算資料を作成していなかったりするため、間違うことになります。

間違う理由③:勢いでチェックマークを入れてしまう。

また、間違いが多い人によくあるのは「勢いでチェックマークを入れてしまう」パターンです。
上記①・②をやる人に多いのですが、チェック項目を理解できていなかったりエビデンスを残す手間を惜しんでしまうくらいなので、チェックリストにまともに対処しようとすると、時間が足りません。「つい、チェックしてしまった」ということになります。

間違わない人は、本質を理解している。

一方、間違わない人は、常に間違いません。

間違わない理由①:検討時期が早い

間違わない人は、既にチェック項目は頭の中に入っていて、いつでも検討できる状態にあります。そのため、関係しそうな情報が上がってきた段階で検討を進めたり、お客様に資料依頼をします。そのため、最後にまとめて作業をする必要がありません。

間違わない理由②:「チェックリストは、レビュワーのためのもの」と考えている

間違わない人にとっては、「チェックリストは、レビュワーのためのもの」です。レビュワーに対して「自分はこの内容をこのように検討した。エビデンスはこれ。」と示すためにチェックリストをチェックしています。

間違わない理由③:常に関連法律をアップデートしている

間違わない人は、常に関連法律をアップデートしており、それを自由に使える状態にあります。「チェックリストを見て初めて知った」ような項目はほとんどありません。

それでも、今年も更新します。

チェックリストの更新作業は本当に苦手意識がありますが、自分にとっては「改めて法律を読み直す良い機会」であり、「スタッフの特性を理解しようとする良い機会」でもあります。時間をとって、今年もチェックリストの更新を進めたいと思います。

ここまでお読み頂きまして、ありがとうございました。