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【経理】経理の仕事の醍醐味は、何か。

こんにちは、きくちきよみと申します。
税理士です。

"経理・会計・税務の仕事" と言うと、どうしても「地味なイメージ」があると思いますファーストキャリアとして率先して目指す業界ではないということは理解しますが、若者にこの仕事の面白さを是非知ってもらいたい、というのは常日頃考えていることです。

今日は、"経理" に限定して、仕事の面白さについて整理してみたいと思います。


経理の仕事には、求めにくいもの。

絶対ということではないのですが、経理の仕事には求めにくい「仕事の醍醐味」がありますので、感じることを書いてみます。

①一瞬で感動が沸き起こるような、ドラマはない。

経理の仕事ですが、一瞬で感動が沸き起こるような、ドラマチックな仕事ではないでしょう。

照明家時代は、仕事中に「現場で観客の歓声が上がる瞬間」、「観客が息を飲む音も聞こえるような静寂に包まれる瞬間」、「観客が涙を流す瞬間」を感じる瞬間があり、得も言われぬ感動の感触がありました。

人によるとは思いますが、そのような "一瞬でMAXになる感動の瞬間" を経理の仕事で感じるのは、なかなか難しいことだと思います。

どちらかというと、そのような急なイベントが起きないように準備するのが、"経理の仕事" になると思います。

②M&Aのような、派手さはない。

会計系の仕事の中でも、"M&A仲介" や "M&Aコンサル" のような仕事は、いつの時代も人気に衰えが見えないように感じています。

公認会計士や税理士の資格を持っていても、監査法人・税理士法人に勤務するよりは、 "M&A関連業務" の方が、派手な魅力があるのでしょう。 

私見ですが、会計関連業務の中では、M&Aは最も "個" の能力と魅力が試される業界です。まさしく "Time is money" の世界で、肉体的にも精神的にも非常にハードですが、その反面、返ってくるリターンも大きいです。

このような派手さは、一般的な経理の仕事にはなかなか求めにくいでしょう。

③"口を出すだけ" はない。自分で "手を動かす"。

会社によるかもしれませんが、どんなに管理能力に優れた経理さんであっても、「自分で手を動かす」ということは避けられないと思います。

管理部のマネージャークラスの方は「手を動かさずに、的確な指示でチームを動かす」のが本来の業務かもしれませんが、「期限順守」と「ノーミス」が最大のプライオリティとなる経理部においては、「今月は間に合いませんでした」ということはあり得ません。(「間に合いませんでした」と宣言できる会社も素晴らしいと思いますが、会社の経営を最優先に考えると、そのようには宣言しにくいのが実情でしょう。)

様々な理由でどうにも間に合わないときは、マネージャー自身が手を動かして、業務を完了させます

是非はあるかもしれませんが、経理部のマネージャークラスの方のエクセルの速さ・正確さ・明瞭さには本当に驚かされることが多いです。本来であれば、マネージャーさんが「自分は全くエクセルできないから、皆よろしくね」と言える経理部が一番強いと信じていますが、リソースがギリギリの中小企業では、なかなかそうもいきません。

"マネージャーでも緊急時には手を動かす" というのが、中小企業の経理です。


"経営" という名の "城" を建築していく面白さがある。

経理の仕事の醍醐味は、その「ダイナミックさ」だと思っています。

土台・基礎から丁寧に固め、時代に合わせて様々な工夫を凝らしながら、着実に組み立てていく仕事です。

経理の仕事は何かを知らない人に「"経理の仕事" はどんな仕事ですか?」と聞かれたときには、「城を建てるような仕事です」とお答えしています

築城には時間がかかり、お金も人も必要です。完成せずに次の築城にとりかかることも、よくあります。そして、完成を急ぎ過ぎて基礎で手を抜くと、見た目は美しい城であっても、あっという間に落ちてしまいます。

一方、城を建てる立地からこだわり、基礎にこだわり、デザインにこだわり、丁寧に建築した城は、余程のことでは揺るぎません。(城主は変わることはあります。)


先に天守閣から建築することはない、だから。

「現存する天守閣が美しい城(=既に経営が評価されている企業)」で働きたい人は、そのような企業で働くことを目指したら良いと思います。

一方、「これから新しい城の築城に関わりたい」人にとっては、自分の力を生かせるような "今はまだ小規模な企業" の経理部で働くことは、本当に楽しいと思います。

経理の仕事が気になる方は、是非、企業のインターンから始めてみてはいかがでしょうか。

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ここまでお読み頂きまして、ありがとうございました。