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【雑談】経理の仕事では、もう電卓は使わないのかもしれない。

こんにちは、きくちきよみと申します。
税理士です。

先日、お客様と話をしていたときに「経理の仕事をする限り電卓は使い続けるものだと思っていたが、年々使わなくなってきて、今や電卓に埃がかぶりつつある」という話を伺いました。

経理さんのお話でしたが、税務に関わる自分も実感していることだったので、今日は「電卓は経理・税務の仕事では使わなくなるのかも」ということについて書いてみたいと思います。


電卓は便利だけれど、計算過程が残らない。

私は簿記の勉強を始めたときに、初めて自分の電卓を買いました。私はSHARP派です。

「電卓の使い方」「電卓名人になるには」系の本を買い込み、利き手でない左手で、かつ、ノールックで電卓を打てるようになれるまで毎日練習を積んだ時代を今でも覚えています。

最初はひとり経理だったので気づかなかったのですが、転職してチーム経理部員になると、自分の電卓の遅さと不正確さに打ちのめされます。その企業は全国展開する古着屋で、売上伝票がPOSレジであったものの、売上の証憑書類の一部が紙でした。そのため、その紙の証憑書類の金額を集計するために電卓を使っていました。

毎日のように電卓を打つ音が鳴り続ける職場で、「ああ、これが経理の職場なんだ」と、実感します。

ところが、転職して別の職場に行くと、電卓の音を聞くことが少なくなります。電卓は各人の机に置いてありますが、それを使う人はあまりいません。

先輩に聞いてみると、「計算をしていないのではなく、単にExcelで代用しているだけ」ということでした。

電卓は非常に便利なツールですが、その計算過程をレビュワーにそのまま見せることはできません。Excelであればその計算過程をすべて示すことができ、数字や数式が誤っていない限り、計算結果を誤ることはありません。

つまり、レビューを必要とする業務では、電卓は避けられるツールでもあるということです。

数字は「人の手で入力しない」のが大事。

またさらに転職すると、新しい職場では「Excelを使わずにシステム連携できるのが良い。やむを得ずExcelを使っても良いが、その使い方にも工夫が必要」という指導を受けるようになります。

<当時の優先順位>
①基礎数値は、完全にシステム上で連携取り込みするのが望ましい。
②Excelを介しても良いが、基礎数値のデータをもらって、そのまま値貼り付けをすること。(基礎数値データもレビューに回す。)
③PDFで基礎数値データをもらってもよいが、テキスト読み込みできるファイル形式が望ましい。
④画像スキャン or 手書きの紙。

経理の仕事を始めて以降、どんどん電卓から離れていき、今では「自分の手で数字を入力するなんて信用ならない。万一自分で入力した場合には、すべて間違っていると思って見直さなくてはならない。」と思うようになりました。

若い頃は、「先輩が "電卓は怖くて使えない" なんて言っているが、電卓作業をしなくて良い役職に就いている人だけが言えることで、ヒラの社員には無理」と思ったこともありました。今は「あの先輩の言葉は本気だったんだな」ということがよくわかります。

書類・証憑のデータ化が進むと、自分の手で数字を打つことはなくなる?

また、経理書類のデータ化が進んでいる企業ほど、電卓を使わない経理部員が増えている印象があります。PC内ですべてが完結させるように仕事をした方が時短で、かつ、間違いが少ないからです。

ミスや不必要な工数を減らすためにも、書類・証憑の電子化・データ化は大事なんだな、と思う今日この頃です。

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ここまでお読み頂きまして、ありがとうございました。