「心を揺さぶられて仕方がない作品に出会った時のことなんて呼ぶか」

『さよならソルシエ』という漫画作品があります。
19世紀末のパリで、まだ有名でもなく、評価もされていなかった画家フィンセント・ファン・ゴッホを兄に持つ、画商テオドルス・ファン・ゴッホを主人公にした作品です。
なぜ、当時有名ではなかったフィンセントが、現在では世界的に評価される画家になったのか。
それはソルシエ(魔法使い)と呼ばれた弟テオドルスの隠された尽力がありました。

作中でテオドルスがフィンセントに対して、次のセリフを投げかけるシーンがあります。

「心を揺さぶられて仕方がない作品に出会った時のことなんて呼ぶか ――恋だよ」
――テオドルス・ファン・ゴッホ

タイトルに掲げた、無性に心を揺さぶる作品に出会えた感動のことを、テオドルスは「恋」と同じだと言いました。
とても素敵な解釈です。自分のことを揺さぶる作品を、どんなときも思いを馳せてしまう恋人にたとえたのです。

ですが、僕は別の答えを最近見つけました。
それは「加護」です。

心を揺さぶってくる作品は人に生きるエネルギーを届けます。
その作品に出会えたから、元気が出たり、勇気が湧いたり、やる気がわいたり、楽しくなったり、癒されたり、不安じゃなくなったり、悩みが軽くなったりなくなったり、大事なものに気付けたり、助けたいと思えたり、生きようと思うことができます。
その前向きな気持ちは「作品の加護」ではないか、と最近思うようになりました。
作品から感じ取ったメッセージが、まるで自分に備わったよう。
それってまるで作品の加護だなぁと思います。

作品に出会った感動が「加護」なら、作品は「神様」。
たくさんの作品に出会う度に、たくさんの「神様」から「加護」をいただきます。
この考え方も素敵だな、と我ながら思います。


というわけでして、タイトルに掲げたセリフを僕が言うなら、こうなります。

「心を揺さぶられて仕方がない作品に出会った時のことなんて呼ぶか ――加護だよ」
――Ryoma NAKAMURA



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