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バックパスという選択肢

今回は、アーセナルvsトットナム戦の1点目を見て、思ったことを書いていきます。

そのゴールがアーセナルの1点目のトーマスのミドルシュートです。
このゴールに、最近のサッカーでよく見られる相手を押し込むむことにより生まれたフリーの味方にバックパスをすることによって作られる位置的優位が活かされています。

まず、ワイドレーンの選手が高い位置を取ることより、相手のディフェンスラインを押し下げます。
そして、それにより後ろの選手にスペースが生まれます。

そして、バックパスをすることにより、後ろの選手は、時間とスペースがある中でプレーを選択することができます。
アーセナルは、ここからベンホワイトの横パスを受けたトーマスがミドルシュートを決めました。
もうひとつ似たようなシーンを紹介します。
それは、レアルマドリードvsアトレティコマドリーのレアルマドリードの1点目です。

今度は、ワイドレーンのメンディがディフェンスラインを押し下げることにより、ロドリゴとチュアメニにスペースを与えています。
ここから、ロドリゴとチュアメニが3次元のワンツーを決め、そこからゴールが生まれました。
この二つのゴールの共通点は、相手のディフェンスラインを押し下げてからバックパスをしている点です。
そうすることにより、バックパスを受けた選手に時間とスペースができ、より多くの選択肢の中からプレーを選ぶことができます。
守備側としても、バックパスをされた時に、ボールホルダーにプレッシャーが掛かっていない状況だとオフサイドが取れないのでラインを上げるのも簡単ではありません。
しかし、ボールホルダーにプレッシャーを掛けなければミドルシュートで失点する確率が高まります。
それでは、ディフェンス側はどういう対応をすれば良いでしょうか。
実は、トットナムとアトレティコには共通点があります。
それは、守備時に、5バックになる点です。
5バックになることにより最終ラインのスペースを埋めているのです。
しかし、それにより切り捨てていたスペースから失点してしまったのです。
対応策としては、4バックにして中盤を厚くする、FWの選手をプレスバックさせるなどがあります。
しかし、4バックにする場合は5バックに比べて最終ラインにスペースができてしまいますし、FWをプレスバックさせる場合は、カウンターの芽を自ら潰してしまうことになります。
これらはどのリスクを取るかという話ですし、トットナム、アトレティコ両チームともあの位置にスペースができてしまうのは織り込み済みだったと思います。
そのため、あの状況から得点したアーセナル、レアルマドリードの技術を誉めるべき得点ではあります。
しかし、仮にアーセナルの得点のベンホワイトが受ける位置で、デ・ブライネがボールを受けたと仮定した場合、中で待っているのはバーランドです。
そして、シティは流れの中で、デ・ブライネがサイドバックの位置に降りることがよくあります。
そう考えると相当怖い攻撃に感じます。
また、受けるのがデ・ブライネで無くとも、ボールホルダーはプレッシャーの無い中、時間と視野を確保することができます。
そのため、一度相手を押し込み、そこからのバックパスを受けた選手のクロスやミドルシュートなどの得点は増えていくのではないかと感じました。


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