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右肩下がりの出版市場で、小説家(ラノベ作家)はこの先、どうやって生きていく?

ストレートエッジの三木です。
2022年も四半期過ぎましたね! ぽかぽか陽気の春まっただ中ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

今年のストレートエッジは、去年から仕込んできた企画やコンテンツをいよいよみなさまにお披露目できそうでして、ずっと水面下で頑張ってきた甲斐があったな……! と今更ながら実感しております。

さて、少し仰々しい記事タイトルをつけてしまったのですが、今回は『この先、小説家はどうやって生きていくか』について書きたいと思います。

まず相変わらずの出版不況ではありますが、明るい兆しとして近年は年間総売り上げが上向きになってきています。

巣篭もり需要などによる電子書籍(コミック)の伸びが支えた結果なのですが、しかし依然として、1995年のピーク時に比べて3分の2の市場規模にシュリンクしています。

一方で、新刊の刊行点数やレーベル、出版に参入した企業は、1995年に比べて圧倒的に増えています。

これは作家という出版市場内におけるプレイヤー数にも言えることで、一昔前に比べて圧倒的に作家の数も増え続けています。

もちろん引退する方もいらっしゃるでしょうが、昨今の「誰でもすぐ小説や物語を発表できる」ソーシャル文化の台頭もあって増加は自明です。

これは何を指すかと言いますと『買ってくれるお客さんの数や支払ってくれるお金は減っているのに、本を売る人間の数は増え続けている』という状態です。当然、一冊あたり買ってくれる人の数が減っていきます。

それは出版社の利益に直撃することになり(薄利多売に拍車がかかる)、連動して作家さんの初版部数や印税が下がり、打ち切りラインのハードルが上がることを指しています。

そうなってくると「今は厳しい」とか「生活が大変」とか「なかなかシリーズが続かない」といった声が方々で聞こえてくることになります。
その声を聞いた周りのゴシップ好きの人間が、その噂(?)をより一層拡張させて広めていきます。

僕はこれが『出版不況』の正体であると思っています。

上記にある通り「出版業界が厳しい」ということ自体は事実です。繰り返しになりますが、それによって版元から印税料率を下げる相談を持ちかけられたり、初版部数が下がる一方だったり、著作が出せなくなったり、シリーズ展開したくてもすぐ打ち切りになったり、もう明るい話なんてないんじゃないか……。

ここからどうやって生きていけばいいのか、と不安に押しつぶされてしまう小説家さんもいらっしゃるんじゃないかと思います。

ストレートエッジは、そういった小説家さんの不安や悩みに寄り添い、閉塞的な今の状況を打破していきたいと思っています。

これからの小説家の生きる道は?

もちろん大ヒットしている作品を抱え、そのシリーズを今もどんどん展開していっている売れっ子作家さんは、これからも今までのビクトリーロードを突き進む! ということでいいと思いますし、とても大切なことだと思います(それはそれでプロデュースや戦略がかなり重要なのですが)。

しかし、多くの小説家さんラノベ作家さんはそうではなく、数年先はどうなるかわからない、暗中模索の日々だと思います。そんな将来のヒットを目指して挑んでいる、『ヒット作家予備軍』の皆様へ向けてお伝えしたいと思います。

大前提として、
僕は小説家さんが描く物語の創出力、キャラクター創造力を信じています。

世界で一番面白いものを作ることができる職業だと思っています。

しかし、今の状況ではなかなか結果を出すのが難しい。
僕はその理由には、

①面白いものを作っても顧客の数に対してプレイヤーが多すぎて水面の上に上がる前に認識されないままになってしまう。

ことであったり、

②作品自体は面白いのに、見せる手段が時代にマッチしていない。

といったことがあると考えています。

例えばライトノベルが今その問題に直面していると思っています。
プレイヤー多すぎ、本を出しても新刊の海に埋もれて存在を認知されない、ユーザーの時間の奪い合いによってジャンルそのものが衰退基調である……。

この事態を打破するにはどうすればいいのか?

ポイントは『電子書籍やコミックの盛り上がりによって出版市場全体の数字は上向きつつある』こと、前述②で言及した『作品自体は面白いのに、見せる手段が時代にマッチしていない』ことにあります。

つまり作家さんが作品を作ったときに、
『面白いものを作れてはいるんだけど、時代とニーズにマッチしていない』。

なら、時代とニーズにマッチする媒体を選ぶのも手なのではないのか、ということです。

例えば、自分は現在進行形でラノベやライト文芸の編集をバリバリとやってまして、今も年間で20〜30冊の編集をおこなっています。

※余談ですが最新の担当編集作は先週発売されました、武田綾乃先生の『バブル』(映画ノベライズ)です。ぜひよろしくお願いします(笑)。


その小説の編集はバリバリやりつつも、ラノベ作家さんの『新たな生きる道』を模索しています。
具体的には彼らの物語創出力、キャラクター創造力を活かして、小説以外のさまざまな媒体にその才能を生かそうとする取り組みです。

もちろん、今現在の小説家さんが戦っている場所での模索をやることも大前提です。もともと活躍している今の場所で、これからどのようにさらにステップアップしていくか……その改善や打開法については本稿では取り扱いません。このトピックはまた別の機会に書かせていただこうと思います。

本稿の趣旨は『小説を執筆する』という本業をフルに頑張って頂きつつ、それとは別に新たな道を模索するということです。

投資用語で言うなら『才能のリスクヘッジ』ということになるでしょう(小説以外とは書きましたが、小説そのものでもリスクヘッジもしています。詳しくは後述します)。

とにかく一本足打法は、コケた時のダメージが大きすぎますので、二の矢、三の矢を僕たちストレートエッジが企画し、小説家さんの才能と掛け合わせて進めていっています。

ただし、小説家による『小説としての面白さ』をそのまま、別媒体に持っていっても絶対に失敗します。自分の能力を、ルールとセオリーの違う畑で活かすということを意識できない小説家さんはどの業界にいっても成功しません。

その業界、媒体ならではの特性を理解し、謙虚に受け止めきちんと研究し、お作法を学ぶ。

その上で『自分の武器』である、小説執筆で培った物語力、キャラクター力を発揮することが最低必要条件です。

しかし、これは元々長編で勝負している小説家にとってはなかなかに厳しい要求です。ですが、やり切らねば未来はない……かもしれません。ですから僕はこの洗礼に対応するために、作家さんへ『心のジョブチェンジ』を促しています。

能力や才能はそのままに、発露させる手段(職業)を変えることを意識しないといけません。

『心のジョブチェンジ』の必要がある例えばの例を挙げます。

長編小説ではセオリーであった「最後まで読んでもらえると面白さが伝わる』という魅力ですが、例えばこれはYouTubeで公開されるようなシナリオでは通用しません。
『見た瞬間に魅力を伝える努力』が必須です。

同じ面白い作品を仕上げるとしても、その見せ方や伝え方の工夫が必要になってくるのです。これが『時代のニーズにマッチさせる』ことです。

自分のポリシーや矜持を変えてほしい、ということではないのです。

それは、シンプルに見た目や媒体を変えることであったり、物語のスピード感や構成を変えたり、ニーズに合わせて面白さの演出を変化させるということです。

長距離打者でも打率重視の打者でもどちらでもいいから、投手や球場によってバッティングフォームを変えなければならない、ということなのです。

小説家の才能を、新たな切り口で、新たな魅力を見せるためのアップデートをするのです。

ーーというような大義を描いた旗を掲げながら、ストレートエッジは日々仕事をしています。まだまだその大義を履行できているとは言い難い現状ではあるのですが、少しずつ邁進している日々です。

では次に『小説家の魅力をアップデートする』ストレートエッジの具体的な業務例を紹介したいと思います。

◆小説家の才能を、また別の小説界へ

ストレートエッジがエージェントとなり、作家さんが作り上げた作品を、今までその作家さんがリーチしていなかった(できていなかった)市場での出版を目指します。

作家さんの作風や作品の良さを分析し、潜在的な顧客が存在しそうな最も相応しい市場に送り届けます。これによって新規ファンの獲得や、作家の良さの掘り起こしに繋げます。そのために初取引となる出版社やレーベルとの交渉や、協力体制の構築などを行い、作品をリリースします。

【最近の実績】
(元々のレーベルではないところでの作家さんの作品発表の一部です)

◆『春夏秋冬代行者』暁 佳奈(電撃文庫)

◆『どうか、彼女が死にますように』喜友名トト(メディアワークス文庫)

◆『幽世の薬剤師』紺野天龍(新潮文庫nex)

◆『推しの認知欲しいの?←あげない』虎虎(電撃文庫)

◆『この恋が壊れるまで夏が終わらない』杉井 光(新潮文庫nex)


作家さんの才能を、今までその作家さんを知ることのなかった(知る努力をするユーザーが少なかった)市場に持ってきて作品をアピールする機会を作るのが目的です。もしかしたら、新たなファンを獲得できるかもしれませんし、その市場と作家の才能がうまく相性がハマれば大ヒットも狙えるかもしれません。

ストレートエッジではこれらの作家さん以外にも、今年は講談社さん、小学館さん、KADOKAWAさん(単行本部署)の新規レーベルさんでの刊行を予定しております。

◆小説家の才能をゲームやアニメへ

ストレートエッジがエージェントとなり、作家さんが作り上げる世界観、キャラクター等を、ゲーム分野で活かすことを目指します。

今までの僕のキャリアとして、メディアミックスを何十作品も担当してきた中でたくさんのゲーム会社さんと人脈を培ってきました。

その中で、彼らはゲームシステムのプロであると同時に、そのシステムに組み合わせる『物語』をとても欲していることがわかりました。

だとしたら『物語』のプロである作家の出番です。僕はその両者の橋渡しを担い、長年の経験を活かしたプロデュースやサポートをしています。

【最近の実績】
◆ゲーム『IDOLY PRIDE』

ストレートエッジがトリートメントした作家さん方にシナリオを書いていただいております。コミカライズ版の協力もお願いしています。

◆ゲーム『シャインポスト』
ストレートエッジ所属の作家、駱駝さんに世界観、シナリオ、監修に携わっていただいております。アニメの一部シナリオの執筆も担当していただきました。

◆ゲーム『ソードアート・オンライン』
SAOのゲームは、CS『リコリス』、スマホ『インテグラル・ファクター』『アンリーシュ・ブレイディング』、アーケード『ディープ・エクスプローラー』、そして最近発表された『ヴァリアント・ショウダウン』とかなり多岐にわたるのですが、それら全てにストレートエッジがトリートメントした作家さん方が参加してくださっておりまして、のべ10名以上の方が協力してくださっております。

※余談ですが、ここに参加していただいている作家さん方とはこの募集↓で出会いました。ご応募いただきとてもありがたかったです!!

他にも、まだ未発表のプロジェクトが来年以降控えています。


◆小説家の才能をウェブトゥーンへ

ストレートエッジで最も新しい取り組みであり、最も作家さんと親和性があるのではないか、と思っている『才能を活かすアップデート先』です。

※ウェブトゥーンと小説家の相性については、下記の記事に書きましたのでよろしければどうぞ。

こちらの最近の実績はまだありません。
しかし今もっとも力を入れて鋭意制作中でもあります。

小説家の武器である物語創出力、キャラクター創造力を、これからどんどん規模もユーザー人口も増加していくであろうウェブトゥーンで、原作として活かす道は『時代のニーズにマッチした』有効的な手段です。

ストレートエッジが制作するウェブトゥーンでメインとなっているのは、アカツキさんとフーモアさんと一緒に進めている『Hyke Comic』です。こちらは三社でレーベルもつくって、たくさんの作品を展開していくつもりです。


まだ公式発表はできないのですが、制作途中のものを一部ご紹介させてください。

開発中タイトル①は異世界ファンタジー。②は異世界転生モノ。③は現代ラブコメです!

これら以外にも鋭意開発しておりまして、ストレートエッジが原作を担うウェブトゥーンを現在40作品ほど進行中です。
今年、その半分くらいはお披露目できたらなぁ~!!!と思っています!!

このウェブトゥーンにおいて、小説家は「世界観」「キャラクター」「シナリオ」を担当し、その才能を活かしています。

ウェブトゥーンは世界に向けて発信していますので、『小説家の才能』を小説媒体だけでなく、別媒体でもその面白さを伝えることができる手段の一つだと思っています。

◆というわけで【総括】です。

このまま出版業界の右肩下がりが続けば『小説家の未来は、文字を書いて紙の小説本を発売する』というものではなくなってしまうかもしれません。いや、なくならないかもしれませんが、古典化したりメインの販売網ではなくなってしまうかもしれません。

しかし、だからと言ってそれは小説家が死滅する……というわけではありません。彼らの才能や武器、生み出す力はこれからもあらゆる場所で必要とされ続け、そして活かされ続けていきます。

これからの小説家は、もちろん主軸に『小説を書いて発表する』という生業を置きつつも、『才能のリスクヘッジ』として別メディアでもその実力を発揮し、トータルで成功を収める!! という未来もあるいは最善手かもしれません。

この考え方に賛同いただける作家さんがいらっしゃるならストレートエッジはぜひお手伝いさせていただければと思っております。

以上になります。
長文をお読みいただきありがとうございました!!

そして、最後にお知らせがあります!

このストレートエッジの考え方に作家さんだけでなく、心の「いいね!」ボタンを押してくださった編集者さん(志望含む)がおりましたら、今ストレートエッジは編集者を大大々募集中でして!!!

以下の要項にて募集しておりますので、ご興味ある方は何卒エントリーお願いします! 一緒にみんなが笑顔になるエンターテイメント作品をつくっていきましょう!

ストレートエッジの公式サイト(大まかな業務、実績がわかります)

(1)編集者募集要項
<募集職種>

ライト文芸・ライトノベル・一般文芸の編集者。
ウェブトゥーンの編集者。
※今回は中途採用を予定しております。
※新卒及び在学中の方は、今回は対象外とさせていただきます。

<業務一覧>
・弊社所属の小説家、漫画家の担当編集業務(創作打ち合わせ、アテンド等)
・作家が生み出す作品(IP)を二次展開(メディアミックス)する際のプロデュース全般(アニメの脚本会議、宣伝会議出席、ゲームのシナリオ会議やミーティング出席)
・ウェブトゥーン制作の編集者(シナリオ開発業務)
・作家の能力を最大化する新規プロジェクトの立ち上げ(ex.オリジナル劇場アニメの脚本、オリジナルゲームシナリオの執筆etc)

【応募資格】
・年齢、性別不問(経験者優遇)

【雇用形態】
正社員または契約社員
※試用期間(3ヶ月~6ヶ月)がございます。
※試用期間後に面談を行い、正式採用の合否をお伝えします。

【採用予定人数】
2~3名 

【最寄り駅】
各線『御茶ノ水』駅 徒歩30秒

【勤務地】
東京都千代田区神田駿河台

【勤務時間】
11:00~19:00
(残業/月30h程度有)
※月~金の週5日勤務 

【給与】
年収400万~1000万円(技能に応じて決定いたします)

【待遇】
・交通費支給(月額上限2万円)
・社会保険完備

【休日・休暇】
当社規定により決定(土日祝、年末年始休暇)
※撮影・取材などのスケジュールによっては曜日変動あり。

【メッセージ】
契約作家と共に、新しいオリジナルIP(原作)の創出を行う事が編集者の至上命題です。そして生み出されたIPの世界観やブランドを守りながら、さらに広く大きく発展させていくプロデュース力も求められています。与えられた業務をこなすだけでは編集者失格です。あなたのやる気が勝負となる仕事です。

【応募方法】
以下の書類をご準備のうえ、エントリーをお願いします。
■履歴書(写真付き) ※word形式かpdf形式を推奨します。
■職務経歴書(書式自由) ※word形式かpdf形式を推奨します。
※職務経歴書には、
(1)今までの職務経歴
(2)所有している具体的なスキル
(3)自己PR
(4)今まで携わったコンテンツと役割
(5)ストレートエッジでやってみたい業務とアイディアプランなど
を詳細にお書きください。

書類審査の上、追って面接日等ご連絡致します。
※書類選考合格者のみご連絡申し上げますので合否についてのお問い合わせはご遠慮ください。合格者のみ2~3週間程度でご連絡申し上げます。
※履歴書には、弊社からの連絡に適した連絡方法(E-mail、携帯電話など)と連絡先を明記ください。
※応募の秘密は厳守します。なお、応募書類はお返しいたしませんので予めご了承願います。

◆エントリー先
https://forms.gle/ifhAPuEzWXXYNkzJA

【締め切り】
2022年6月30日23時59分まで
※エントリーいただき次第すぐ選考いたします。
※募集人員を満たし次第、終了いたします。

【選考手順】

1)お預かりした「履歴書」「職務経歴書」に基づき、書類審査のうえ、合格者のみ2~3週間程度でご連絡申し上げます。
2)書類選考を通過された方には、面接日程のご案内をいたします。
3)採用担当による面接を行います。相互理解の場となりますので、ご不明点等お気軽にご質問ください。
4)簡単に知識やスキルの確認をさせていただきます。
5)内定者には採用担当者よりご連絡を差し上げます。※入社日につきましては、ご都合に合わせて決定いたします。


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