【獣人処方箋】 Case.21 「獣人大戦:後編」(No.0244)


前編の続き (前編はこちら


 虐殺という事務処理を行うものたちは必ず多人数です。その多くは元々獣人でもなく獣人に従うために生まれたわけでもありません。ですが様々な事情からその姿に身をやつしているのです。
ですからその多人数の組織は『やる気』がありません。


その行為を真に欲する獣人は組織の中にはいません。
その遥か上にいます。
その上部に位置する少数の獣人たちが全てを管理し操作しているわけです。


だからそいつより下の獣人はみんなやる気がありません。
何故なら別にやりたくないからです。
ただ命令でやらされていたり、カネ目当てなだけです。


業務内容すらよく分かっておらず、ただ作業をこなしているだけです。
自分たちのやっている行動の責任や問題なんて何も感じていません。


やっていることは悪であり、それで人の血が流れることであっても、
ただの銭儲けや作業としか考えていないのです。


血も涙も、彼ら獣人には通じないのです。
ただの時給で動く獣です。


ですが、そんな彼らにも通じるものがあります。


それが当人の痛みです。


全くやる気がないということは、全く『覚悟が無い』ということです。


だから彼らは意外にも「反撃」されることを恐れています。


他者に危害を加えている分際で、抵抗され反撃されることを恐れているのです。一体どれだけ都合が良いのでしょうか?


それほど彼らには覚悟が無く、やる気が無いことがよく分かると思います。

後先を何も考えていないのです。


しかし実際そうなのです。
だから反撃された途端に、彼らは恐怖を覚えます。
そしてそれを理由に逃げ出します。


人の命を平気で奪うくせに、自分が奪われそうになると恐怖して逃げるのです。これが汚らしい獣人たちの実態です。
いじめでも嫌がらせでも、どれも同じです。



彼らの行動原理には共通点があります。



それが『無傷の勝利』です。


実は、ここが非常に重要なのです。


覚悟もやる気もない、だが血も涙もない外道な獣人たちは、攻撃を仕掛ける時に必ず相手を値踏みしますが、その時の絶対条件が「無傷で勝てるかどうか」なのです。



少しでも反撃をされそうな相手には絶対に手を出しません。
これは盗人だろうが詐欺師だろうが同じです。


獣人たちは、自分たちの犯した罪で自らの心を疲弊させています。


自分たちのやっていることを、『自分たちがやられるのではないか』という妄想、もしくは心的な傷が彼らにはあるのです。


名作『ミュンヘン』でも、爆弾テロをやっていた主人公は、段々と自分が爆弾を仕掛けられるのではないか?と不安を覚え、遂にはベッドで眠れずクローゼットの中で眠るようになります。まさにあれです。
悪事を働く事で、獣の思考回路が強力に自分たち獣人の人生の視野をロックしてしまうのです。悪に染まり詳しくなった事で恐怖が人一倍強いのです。

彼ら獣人は自らの罪に縛られています。その鎖は強力です。
生きている間は常に身体に心にそれが食い込み続けます。
少しの刺激が彼らには激痛になるのです。


だから彼らは妙に神経質であったりします。
自分が獲物になった時の恐怖が彼らから消えないのです。

そしてその苦しみから脱するために、日々快楽という名の刺激を自分に与え続けて誤魔化すのです。
そしてそれには金が要るために、またしても悪に手を染めるわけです。


中にはその苦しみに耐えられず、自ら自分の神経を壊し、感じないように操作しているものもいます。


そのタイプの獣人はハッキリ言って狂人なので厄介ですが、同時に扱う側からも面倒がられています。所謂ヤクネタという存在です。

だが珍しくはなく、意外にもこのタイプの獣人は数多くいます。

彼らは繊細さが無く、服装や言動に周囲との違和感があるためモロに目立ちますが、その分だけ異常に押しが強いため、押しに弱い女性などは狙われやすいです。


また、攻撃を仕掛ける側は素性を偽ります。
決して本当のことは言いません。
何故なら彼らの武器は「嘘」だからです。


丁寧にナイフを研ぐように、念入りに嘘を準備して仕掛けてきます。


一方で仕掛けられる側は無防備で普通に生活をしています。
だから後手に回ってしまいます。


しかし、前述した手法を実行することで後手はむしろ有利になります。
相手は先手によってカードを一枚こちらに開けて見せるからです。



獣人の武器は『嘘』です。

それは身にまとい、素性を隠すための防具でもあります。

根拠の無い嘘を武器に襲ってきます。
そして自らを嘘で包み込み、身を隠しています。



だからこちらの武器は『真実』です。

『真実』を剣に、盾にして戦うのです。

真実の情報を常に用意するように心がけるのです。


獣人にとって、最大の恐怖は時間です。


獣人たちは必ず行動の中でボロを出しています。
そこを突かれ責任を追求されることを恐れています。
つまり彼らは存在している時点で既に時限爆弾を抱えているのです。
その爆弾が作動する前に自分たちの利益を確定させ、身の安全を確保することが彼らの目的です。


だから獣人にとっては、持久戦や冷静な対処が最も恐ろしいのです。


世の中では、彼らの行動はもちろん存在すら認められていません。
だから時間とともに砂の城のように崩れ落ち風化していくしかありません。その自らの運命を知っている獣人たちは、日々焦って保身と欲望の為にボロを出しながら悪事を懸命に行い続けています。


恥も外聞もなく最短で利益を得るために、効率よく弱いものを見出して悪事を働き続けているのです。


だから獣人の正体を知るものは、それを防ぐために戦うときは戦う必要があります。
真実をぶつけ獣人に一切の正当性が無いことを突きつけるのです。


その闘い、争いによって時間が発生します。
獣人はその時間とともに滅んでいきます。
それが世界の理です。


私達は戦って時間を作り出し、その世界の理が速やかに為されるように働くのです。


彼らの発言も行動も一切の正当性は無いのです。


惑わされず、苦しめられないようにしましょう。


愚かな大人のせいで大人自身が滅ぶならそれは自業自得ですが、実際はまず先に子供や弱い人が死にます。


全く筋の通らない話ですが、それが現実です。


大人が逃げ惑うことは、結果として子供を生贄にすることと同じです。


子供や弱い人達を獣人の生贄に捧げる行いは、弱さと愚かさが原因です。


それを防ぐ為に日々、正しい心と真実の知恵で賢くなった頭を磨いていきましょう。


【獣人処方箋】 Case.21 「獣人大戦」


おわり


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