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Storyville 岩田奎トークイベント「蒸発する季語」イベントレポート

こんにちは、京都芸術大学文芸表現学科の「Storyville」です!
2024年1月26日、「人間中心主義以降のクマたち」と題した連続トークイベントの第一弾となる、岩田奎さんトークイベント「蒸発する季語」が、恵文社一乗寺店COTTAGEで開催されました。
このイベントでは、古の時代から季節とともにあり続けてきた俳句のこれまでとこれからについて、気鋭の俳人である岩田奎さんにお話ししていただきました。

岩田奎さん

俳句がテーマと聞くと、来場者の年齢層が高く、とっつきにくそうというイメージを持たれるかもしれませんが、じっさいには本学のみならず近隣の大学生のかたはもちろん、高校生の姿もあり、幅広い客層のたくさんのお客様にきていただくことができました。これも近年の俳句ブームの影響かもしれません。

ご講演は、現在東京在住の岩田さんが京都市左京区の出身であるといった自己紹介からスタート。つづいて、自選、諸家、あわせて6句の京都にまつわる俳句の紹介と解説がありました。なかには、2022年12月に刊行された岩田さんの句集『膚』からの句もあり、ご自身による解説は、俳句を学ぶ人にとって貴重な体験になったのではないでしょうか。

恵文社一乗寺店COTTAGEでのイベント風景

そして、話題はいよいよ今回のトークテーマ「蒸発する季語」に移っていきました。
俳句は、“理想”と“現実”、文芸的(歳時記)な美しさと自然そのまま、どちらを求めて詠まれてきたのかという概論があり、それらの“理想”と“現実”を、季語に当てはめるとどうなるかという観点から、お話が進みます。
そもそも「季節」という制度が中国大陸由来である以上、日本書紀や万葉集の時代から、人々にとって実際に感じる季節(=現実)と暦の上での季節(=理想)は、ずれていたとのこと。岩田さんはそのような季語にまつわる「ずれ」について、高橋睦郎さんはじめとする多くの引用とともに例示し、さらには、平常時とコロナ禍の非常時を経験した私たちだから感じる「ずれ」も含む、4つのポイントをあげてくださいました。

詳細はぜひ、岩田さんの動画でご覧ください。
既成のものと現在、現在と未来との「ずれ」も照射する岩田さんのご講演は、「これからも面白いといいですね」という言葉で締めくくられました。来場者のみなさんからの質疑応答も含め、熱く、深く、俳句について考えることのできた時間となりました。

私たち「Storyville」では、今後も文芸イベントの開催を予定しています。詳細はこのnoteなどで発信していきます。以降の「Storyville」にもぜひご注目ください。

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