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神奈川県の犬・猫殺処分ゼロを可能にしたもの

 神奈川県は2013年に犬の殺処分を、翌2014年に猫の殺処分ゼロを達成した。そして殺処分ゼロは、現在まで継続している。その礎となっているのが、長きにわたって犬猫の救出と譲渡を続けてきた動物愛護団体の活動や、保健所の職員の取り組みだ。

 私がそのことを知ったのは、たまたま動物愛護団体からサモエド犬を譲り受けたことがきっかけだった。送られてくるようになった団体の会報誌には、保健所から救出した犬猫のことや保護活動の様子がときにユーモラスに、ときにやるせなさや怒りを込めて綴られていた。

元保護犬、サモエドの「茶太郎」

 譲り受けたサモエド犬が天国へと旅立ち、数年が経過したある時、犬を世話してくれた動物愛護団体の代表が保護活動を引退することを知った。私は彼女が代表として活動した15年間、さらにいえば動物保護活動に関わった30年間を一冊の本にまとめられないだろうかと考えた。渋る元代表を説得して、私の編集・著作として湘南社から出版したのが『小さな命をつないで –殺処分ゼロにするまで- 〜PAK保健所の犬・猫を救う会のある女性活動会員のあゆみ〜』だ。予算の限界で、印刷は150冊、販路はアマゾンのみという小規模な展開がやっとであったが、それでも私は、ボランティアのみなさんの奮闘や、保健所の職員の奮戦をどうしても伝えたかった。

湘南社から出版された「小さないのちをつないで」(Amazon限定販売)

 神奈川県の動物愛護といえば、黒岩祐治県知事と、女優の杉本彩さん、AKB48グループほか豪華著名人による「それが大事~ペットのいのちバージョン~」キャンペーンが有名。動物愛護団体や保健所職員の活動は、それに比べたら決して華々しさはない、ひたすら地道でどちらかといえば泥臭いことばかりだが、それでも命を救う崇高な活動であると私は思う。

 このささやかな本が一人でも多くの方の手に取ってもらえたら幸いです。

森を駆ける茶太郎


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