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元カレがゲイだった話、たぶん
20代後半の頃、ひょんなことからゲイの友人ができて、よく遊ぶようになりました。
週末はゲイバーで朝まで飲んだり、芋づる式にゲイの知り合いが増えてったり、温泉旅行に行ったり、ウチでオールザッツ漫才を一緒に見たり。
そんなゲイ漬け?の日々を過ごしていたら、ある日突然、思うところがありました。
「高校生の頃の元カレ、ゲイだったんじゃなかろうか?」
なんの前触れもなくこんなこと思うってことは、たぶんそうなんでしょう。
だってそのときわたしは三十路にせまる20代後半で、元カレといえば片手以上両手未満くらいはいたんですよ。
それなのに突然、そんなはるか遠くの元カレを思い出して、そんな疑問を抱くなんておかしい。
思い立ったが吉日で、ゲイ友にメールしました。
すぐに返信。
「いや、あんたに女の魅力がなかっただけやろ」
「なんでもかんでもゲイのせいにしたらあかんで」
そう、その彼とは男女の関係がなかったんです。
でもそう思った理由はそれだけではなく、ただこれといった確証はない。
自分でもなんで急にこんな思いにとらわれるのか不思議に思いながら、その後も日常生活を送っていました。
そうこうしてるうちに、彼氏にふられました。
ひとりでいるのがなかなかツラかったので、ゲイ友の家に泊まり、次の日帰ると、ゲイ友からでんわがありました。(どんだけ!)
「メンズ、紹介しようと思って」
地元の友達の友達に紹介できる独身男子がいるから、会ってみろと言うのです。
正直、失恋したてでそんな気持ちになれなかったのですが、おそらく落ち込んでいるわたしを見て、あれこれ周りに聞いてくれたのでしょう。
その気持ちがうれしかったので、とりあえず1度会うことにしました。
当日。
待ち合わせ場所に行くと、お相手の男性が店を予約してくれたと言います。
「〇〇って店で、創作和食のダイニング。知ってる?」
「ううん、知らない」
「オシャレやし、おいしいところやで」
気を遣ってもらってありがたいなぁと思いながら、その店に着き、足を踏み入れました。
大きなオープンキッチンがあり、たしかにオシャレ。
わたしたちはカウンターに座って、オープンキッチンで料理しているシェフさんたちを前にしながら、初対面の会話を始めました。
…そしたらですよ。
オープンキッチンの中で、例の元カレが働いていたんです。
(てか、シェフになってるとは)
そんなことってあるかね⁉︎⁉︎
最初「似てる人がいるな」と思ったけど、まさかそんなわけあるまいと。
でも、なんとなくわたしたちのことを避けてるような動きをするので「あれ?」と思い…
「マジ?」
「ほんまに〇〇くんちゃう?あれ…」
こんなタイムリーなことってある?
卒業ぶりやし、かれこれもう10年ぶり。
こんな再会の仕方するかね?
でも距離もあるし、声も掛けれない。
なんせ向こうは働いてるし。
うわの空でトイレから戻ると、
「二軒目いこう」と言われ、早々に退店することに。
いや待って‼︎
ミッション終わってないんですけど‼︎
と、もう少し粘ろうとしましたが、すでにお会計を済まされていて…やむなく退店。
二軒目のカラオケも早々に切り上げて、その日はとりあえず帰宅しました。
(というか、家まで付いてこられそうになったので振り切って帰った)
後日。
「どうやった~?」
と言うゲイ友に、
「そんなことよりもスゴイ話がある」
と、一部始終を報告。
でも結論は出ていないので結局オチのない話になり、「その話、オチないやんけ‼︎」とキレられる。
「だから今度、いっしょに行ってくれへん?」とお願いすると、
「それは! いつ、でも、いい!」
とキレたテンションのまま受けてくれました。
ただけっこう人気店らしく、なかなか入れず。
ただ単に飲む約束をしていた日も、
「きょうもでんわしたけど、満席って言われたわー!」
と、ゲイ友のほうがノリノリで張り切っている様子。
そしてついに店に入れた日。
その日が訪れました。
カウンターに座ったわたしたち。
「いる?」
「えーっと…あ!いる!」
こっそり説明して、ゲイ友が元カレを見た瞬間、息を呑むのがわかりました。
すぐにわたしを振り返り、
「ぽいな」
と、ひとこと。
つまり、「ゲイっぽいな」ということです。
ちなみにゲイは、ゲイを見るとすぐにわかるそうです。
だから、彼に確認してもらおうと思いました。
わたしも最初は全〜然わからなかったんだけど、ゲイたちといっしょにいるうちに、徐々に開眼してきて少しわかるようになった。
「あそこで立ってる男の人、ゲイっぽいな」
と思ったら、ごりごりマッチョの男子がやってきて腕組んで歩き始めたり。
ゲイ友と居酒屋に行き、隣のテーブルに座ってる男の2人組が(ぽいな…)と思い、
「ねぇ、隣の2人さ…」
とこっそり耳打ちすると、
「うん、そやな」
と言われたり。
もしかしたらその流れで、元カレのことも思い出したのかもしれません。
わたしの第三の目が開眼してしまい、過去に隠されていたものが見えるようになって、急に思い出したのかも。
「これはね、わたしの青春を揺るがす話なのよ。わかる?」
「たしかに、そやな」
「だから、もっと、ちゃんと確認して」
「わかった」
ゲイ友が確認作業をしてる間(ただ観察してるだけ)、ビールをちびちび飲みながら、そわそわしているわたし。
やがて彼はわたしに向き直り、調査結果を報告してくれました。
「残念な、お知らせです」
「よしわかった‼︎みなまで言わんで」
できれば声を掛けたかったんだけど、なんかムリだったなぁ。
まぁ向こうは働いてるし、もちろん職場で変なことも聞けないし。
短期間で2回も来店したわたしに、おそらく気付いてただろうけどね。
またまた後日。
ゲイ友とお茶をしました。
「ほんまに、ゲイやと思った?」
念押しで確認したわたしに、
「あれ、イカホモやで」
と彼。
「イカホモってなに?」
「いかにもホモ、てこと」
いっしょにお店に行くまでは、
「手出してもらえなかった男を、みんなゲイとか言ってんちゃうで」
と悪態ついてたのに、コロッと態度が変わりました。
「まやこさんさ、なんか、ゲイと仲良くなる波長を持ってるやんか。
それで、当時はお互いそんなことには気付かないまま、仲良くなったんかもな」
リアリティ~。
そんなことしみじみ言われると、もう確定じゃないですか。
別にいいんです。
ほんとにいいんですよ。
元カレがゲイだろうがなんだろうが。
ただわたし、けっこうレアな経験してるかも~…と、ぼんやり思った帰り道でした。
以上!
元カレがゲイだったという、限りなくクロに近いグレーな?わたしの体験談でした。
なかなかレアかと。
でもゲイはたくさんいるので、わたしだけではないかもね。
最後までお読みいただきありがとうございます!もっとがんばります。