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リーダーシップ・チャレンジ2023開催レポートvol.3 「田植え・ハーブティーワークショップ」

社会人のためのリーダーシップ講座「リーダーシップ・チャレンジ 2023」(LC)第3回のプログラムは、2023年5月6日(土)〜7日(日)に茨城県の秋葉農園にて田植えとハーブティーのワークショップを行いました。

会場は茨城県古河市の秋庭農園。東京から電車でおよそ1時間のところにありますが、水田と畑が目の前いっぱいに広がっている田園の趣きがあり、都心から近くて自然の雰囲気が十分に楽しめる場所にあります。

茨城県古河市の「秋庭農園」は人と食をむすぶ農園として、 お米とハーブの栽培の他、子どもから大人まですべての人が楽しめる農体験や軒下販売会も開催

📖講義内容

今回の目的は……

・五感を取り戻す(特に手の指先の感覚、嗅覚、聴覚、味覚)
・自分が食べるものを自分で作ってみる(「食料自給力」をつける)
・ライフスタイルを見直してみる
・身体を動かす
・チームビルド

◆1日目:田植え&BBQ

13:00、JR古河駅(宇都宮線)に集合。受講生のみなさんはリアルで会うのは初回の講義以来2回目。しかもほぼひと月ぶりということもあって、まだどこか「はじめまして」的な雰囲気もありました。
しかし、秋庭農園での田植え、夕方のBBQのころにはもうみなさん打ち解けて、笑いが絶えなくなりました。

受講生の中には、田植えは初体験という人が多く、食の生産と都市部での消費との間に乖離があることをまず、アタマで理解。
次に、田んぼに足を入れると思ったより温かく「田んぼ=水=冷たい」と思い込んでいたこと、しかも思った以上に泥が柔らかくて足を取られて転びそうになることなどをカラダで体験しました。

恐る恐る田んぼに足を踏み入れた瞬間「わ~!」と歓声が

田植えは4人一組、5チームに分かれて実施。秋庭農園の秋庭覚さんからは植え方の基本のみ示されただけで、「あとはどのように植えていくのか」「前に進むのか後ろに下がりながら植えるのか」「2列植えるか5列植えるか」など、チームごとに決めていきました。
30分ごとに水分補給のための休憩を入れながら、3ラウンド。90分で1反の田んぼ(1000㎡)を植えきりましたが、だんだんと植える技術も上がってきて、なかなか見栄えのいい田んぼに仕上がりました。

パートナーやお子さんと一緒に参加した受講生の方も

身体を動かしてお腹が空いたら、BBQ。火起こし担当と焼き方担当はあらかじめ決めていましたが、元フレンチのシェフでもある秋庭覚さんがお肉や野菜のカットの役割を募ると、さっと分担して作業するようになり、そのほかサラダづくりやちょっとした小料理づくりでほぼ全員がなんらかの仕事に携わることに。

自分たちで考えて動いてもらうことも「リーダーシップ」です
焼くのも自分たちで!

田んぼとBBQでチームビルド、リーダーシップを体感できました。

また、このワークショップを通じて「シェアド・リーダーシップ」についても学びました。

イラスト:ひえじまゆりこ

チームメンバーそれぞれがリーダーシップを発揮し、リーダーの役割を共有している組織の状態を示す言葉です。
リーダーといえばチーム内の一人がその役割を担い、チームを牽引するイメージがありますが、シェアド・リーダーシップではチームメンバーの一人ひとりが影響力を持ち、リーダーシップを発揮します。
※組織のビジョンを示したり、最終決定をしたりするために、シェアド・リーダーシップにも正式なリーダーは必要とされています。

◆2日目:ハーブティーワークショップ

2日目はアキバヒロコさんによるハーブティーワークショップ。栽培している天然のハーブの説明を受けながら収穫し、それを飲んで、自分でオリジナルブレンドのハーブティーをつくります。

講師はハーブティーブレンダーのアキバヒロコさん

田植えが「動」とすれば、ハーブティーWSは「静」。ハーブそれぞれに効果効能があり、その組み合わせによっても効能が違ってきます。まずは、どんな効果が欲しいか、自分を見つめ直す内省から始まります。

内省から始まるということが、このワークショップの大きな特徴のひとつ。花粉症偏頭痛夜眠れないなどの具体的な症状、あるいはストレスによる緊張不安などのメンタルなことに向き合い、それらに対処するハーブを探して組み合わせます。
自分でブレンドして飲むと、思っていたより美味しくないことに気が付き、次の段階では、効能もあって味わい深くもある、という商品開発にもチャレンジしたくなります。

ハウスの中でのハーブティー講座
それぞれのカラダの悩みに応じてハーブをブレンドします

農園主の秋庭覚さん、アキバヒロコさんご夫婦は、就農してまだ9年。それまでは、覚さんがフレンチのシェフ、ヒロコさんがハーブティーのブレンダーとして働いていらっしゃいました。
覚さんは、レストランで提供している料理に実家で栽培している野菜を使ったところ、お客さんからの評価が高く、とても喜ばれるようになりました。
しばらく実家の野菜を使って営業をしていくうちに、こうした素材をもっとたくさんのレストラン、ご家庭で使っていただけたら、と思い、帰農を決意。
主力のコメを中心に、試行錯誤の9年を経て、最近ではようやく経営も軌道に乗ってきたそうです。

2日間を通してのグループダイアログ(振り返り)からは、

「当たり前に食べていた食べ物に対する感謝の念がわいてきた」

「果てしなくぼんやりとしていたゴール(田植えの完成)が具体的に見えてきたときの達成感はすばらしかった」

「自然が相手。泥の感触、匂いなど、五感を久しぶりにつかった」

「仕事の(場面の)自分はわかりやすいけど、生身の自分を見つめるいい機会になった」

などたくさんの気づきや感想も受講生みなさんでシェアすることができました。

🖊️受講生の講義レポートより

講義での学び、気づき、感想

【田植えについて】

今回初めての経験でしたが水田に入り、土を触り、匂いを嗅ぎ、まさに五感で自然を知ることができました。その中で学んだことの一つは、「目標に向け、仲間と取組む『チームワーク』の重要性と達成感です。 最初は自由に楽しんでいましたが、楽しみながらもコミュニケーションを取り、気がつけば目標達成に向け皆が自主的に動いていたと思います。終わった時の達成感も大きなものでした。

小売業・男性・30代

息子が長靴で足を取られる様子を見て「素足でやってみれば?」と言ったところ、「まずはお父さんがやって見せて」と言われた。口先で言うだけではなく、自らが手本を見せながらでないと息子にも動いてもらえない、ということを実体験した。

医薬品業・男性・40代

一画で収穫できるお米に対する対価を知り日本の抱える現象を突きつけられました。

食品業・女性・30代

田植えの作業をみなさんと実施したことは、様々な共同作業のヒントがあることを気づかされました。 まず、1反(約1,000㎡)のスペースにそれぞれ違う場所から、5つのグループで分割して配置しました。 次に、田植えのやり方を考える作業です。3つの苗を1つの株にして、土の中にグッとさして、指を細く窄めながら抜く。 そうすることで稲が倒れづらくなる(はず)。前後縦横の動きをしながら工夫する。(やり易さや体にかかる負荷を考えて。でも筋肉痛) 最後に、それぞれのグループがぶつかり合う場所で、再配置して、全体的に俯瞰してみて一部発生している隙間を埋めていく。 このような共同作業をグループ内で会話したり、他のチームの動きを見ながら、誰が指示するわけでもわなく、各々が考えて行動していたように思います。 結果的に、農家の方々がやっているような美しい田んぼにはなりませんでしたが、それでも形にはなったことは非常にうれしく思いました。

小売業・男性・40代

互いのケアを自然とできる関係性ができていると、田植えがスムーズに進んだ実体験から、恐らくどんな仕事においてもチーム・周囲とそういった関係性が築けると物事が前に進みやすいのだと思いました。この関係性を拡げていくためにも、まずは自分が周囲をケアする姿勢(giver)を貫くことを起点として自ら動いていくことが大事だと感じました。

食品業・女性・30代

(今回学んだ)シェアードリーダーシップについて 。答えがない中、全員が自ら考え行動し、役割を共有することで、チーム全体のリーダーシップが分散して良い方向に進んでいくことを体感できました。 こういった組織は一つの理想形だと感じたため、どうしたら自分の組織に持ち込めるかを考え、実践しようと思います。

小売業・男性・30代

私は現在、農業従事者の方を含めたサービス提供を推進していく立場にあり、現場の実態を少なからず体験出来たことは大変有意義であった。また、今回多大なご協力をいただけた生産者の方が喜んでいただけることを思い浮かべながらより良いサービスを考えていきたい。

情報、通信業・男性・30代

【ハーブティーワークショップについて】

ハーブティーが自己分析(自分と向き合う)のキッカケになるとは思わなかった。日頃自分が何に悩んでいるかすらパっと出てこなかったため、自分と向き合う時間が足りてないと気づくことができました。

食品業・女性・30代

ハーブティーに向き合うことは究極の自己分析。3つのハーブを組み合わせ、自分に一番合ったハーブを作ることがお題であったため、そもそも自分には何が足りないのか?何が合ったらいいのかを考えるきっかけになりました。

小売業・男性・30代

ハーブの香り、色、味の多様さ、面白さ ・効果コンセプトと味(飲みやすさ)を両立する難しさを知って、身をもって製品開発者の苦労を感じることができました。

医薬品業・男性・30代

ハーブの知識を学んだうえで試飲をすることにより、体験価値について学ぶきっかけとなった。体験価値を伝えることが商品価値を上げることを学んだが、一方で体験していない人へ感動伝えるにはどうしたらよいかを考えるきっかけとなった。

商社・男性・40代

ブレンド体験に夢中になってしまいました。素晴らしいコンテンツだと思います。 自分の心や身体に向き合うことの大切さ、ビジネスマンとして体調を万全にすることの必要性を改めて感じました。そして、なんといっても秋庭ファミリーのチームワークにも感銘を受けました。ご家族みなさんの表情を見て、本当に豊かな暮らしをしているんだなぁと温かい気持ちになりました。

食品業・女性・30代

ヒロコさんの底抜けな明るさに触れて「元気は人に与えるもの、奪うものではない」と感じた。職場においては自分が元気を与えられる存在であることが大切と再実感。

商社・男性・40代

ハーブティーワークショップ、めちゃめちゃ面白かったです。 自分に向き合って、自分好みにアレンジできる点が非常に好きになりました。

食品業・男性・30代

若手社員と話をする中で、ハーブティーやお香など、私がこれまで手をつけてこなかったことに興味を持っている社員が増えていると感じる。私自身も興味の幅を広げて、良いものは取り入れる意識を持ちたいと思う。

金融業・男性・30代

本講義のGOOD POINT

運営チームの皆様のタイムマネジメントが素晴らしく、ノンストレスで過ごすことが出来ました。ありがとうございます。そしてやはり、オンラインではなく対面て良いなぁと。今後のプログラムもまたみなさんと顔を合わせたい!というのが本音です。

食品業・女性・30代

秋庭さん夫婦とお母さまの人柄がとても良くて、終始穏やかな気持ちで受講することができました。振り返ると、これが一番で何より印象的です。

医薬品業・男性・30代

息子も一緒に参加をさせていただいたところが非常に良かったです。自分の研修に加え、ごはんが大好きな息子が田植えをすることで、食の尊さを経験することができました。

小売業・男性・40代

体感とシェアを濃密に繰り返すこと、色々なチームで交流できたことで、受講者同士の距離が圧倒的に縮まりました。
また、覚さん、ヒロコさんの話から、農業に対する価値観がかわり、すごく魅力的なものであると感じました。

小売業・男性・30代

田植えのやり方を一度チーム内で考えてから着手するなど、チームで意見を出し合うことがいくつかあり、リーダーシップを考える機会になり良かったです。 一泊二日を皆で過ごせたのは、今後リーダーシップの考え方をシェアしていく上で、心の距離が縮まり、より密に気付きを共有できる関係性になれたと感じており良かったです。

情報、通信業・男性・30代

🕰️タイムテーブル

【田植え&BBQ:5月6日(土)】
13:00 JR古河駅東口 集合
13:30 農園到着 着替え
13:50 オリエンテーション、移動
14:20 田植えスタート(途中休憩あり)(2時間)
17:00 手洗いして歓談、BBQ開始
18:30 田植えの振り返り
19:00 BBQ終了、片付け
19:20 秋庭農園発、宿泊するホテルへ
 
【ハーブティーワークショップ:5月7日(日)】
09:00 ホテル発
09:30 秋庭農園ハーブの畑到着、収穫体験
10:00 ハーブティーワークショップ
11:00 ワークショップ終了/2日間の振り返り
11:30 2日間の振り返り終了
12:00 秋庭農園発
12:30 JR古河駅着

👤講師プロフィール

秋庭覚さん(左)アキバヒロコさん(右)

秋庭覚(あきば さとる)
秋庭農園 17代目
小さい頃は農家にはならないと決めていたが、社会人になり、銀座のレストランで料理人をして行く中で「顔が見える生産者の食材を使って料理をしていくと、完成されたお皿の中身は自分だけの力だけじゃなく、美味しさの元は生産者の方がつくる食材そのものにあること」を身をもって知る。母親がつくっていた食材を試しに働いていたお店に持っていき、 お店のスタッフやお客様に出したところ絶賛され、自分の母親、農業をしてきた実家、育ってきた土地などに感謝が溢れ、その後、帰農を決意したという。

アキバヒロコ(あきば ひろこ)
ハーブティーブレンダー
子供時代は農家とは縁なく育ったが、2011年の東日本だ震災をきっかけに「もっと自分らしく生きて行きたい」という想いから農業体験などに参加するようになる。銀座のカフェレストランで、ハーブティーの知識を活かし、ドリンクの開発やサービスなどを経験。採れたての野菜の美しさ・美味しさに感動し、「農家とはクリエイターであり、創造的な素晴らしい仕事だな」という尊敬と憧れが生まれたという。

その後、職場近くのレストランで料理人をしていた覚さんと出会い、結婚。農業を仕事にすることに。

お二人のプロフィール詳細はこちら

❓リーダーシップ・チャレンジとは


リーダーシップ・チャレンジ(LC)は、会社で仕事(社業)を通じて社会に貢献する人材を育てる、ということをミッションにしています。

そのために、ヒューマンスキルを磨き、リーダーシップを身につけ、幅広い見識、判断力、思考力を学びとり、業界業種を超えた人脈を構築するビジネススクールです。

開講から20年目。本研修を学んだ受講生たちが日本国内のみならず、世界の色々な都市で活躍しています。
彼ら彼女らを、LCの教壇に立ったゲスト講師の皆様に後押ししていただきながら、私たち LCはこれからも、有能な人材を育み、社会に貢献していきます。

詳細はパンフレットをご覧ください
第1回講義「会社の中でどう楽しく、面白おかしく生きるか」塾頭・駒井正義(三井物産前・副社長)

第2回講義「仕事に効く身体の整え方〜リモート時代はだれもがビジネスアスリート」

🏢2023年度参加企業 (順不同・敬称略)

受講企業
株式会社セブン-イレブン・ジャパン
株式会社セブンドリーム・ドットコム
株式会社エヌ・ティ・ティ・データ
サントリー株式会社
三井物産株式会社
株式会社三井住友銀行
三井物産スチール株式会社
三井農林株式会社
リテールシステムサービス株式会社
エーザイ株式会社
綿半パートナーズ株式会社
第一生命ホールディングス株式会社
株式会社再春館製薬所
外務省

リーダーシップ・チャレンジ 2023開催レポートvol.3
2023年5月24日発行 
大隈塾事務局(一般社団法人ストーンスープ) 
ひえじまゆりこ yuriko.hiejima@gmail.com 
〒026-0002 岩手県釜石市大平町3-9-1 
TEL:050-3558-7527 
     公式MAIL:ookuma_school@stonesoup.tokyo


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