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旅行先の朝、1人の時間をつくる

1人でいることが好きだ。

10代の頃はとにかく誰かと一緒に居たかったのに、今は隙あらば1人になれる瞬間を探している。この心境の変化は歳を重ねたからなのか、はたまた時代の変化なのだろうか。

そんなわけで私は、どれだけ仲が良くても丸一日一緒にいるとわずかなストレスを感じてしまう。特に旅行の時。楽しさと同時にほんの少しに心労を感じる。昔はそれが申し訳なくて、そんな心労を振り払うかのようにテンションを上げて振る舞って余計疲れるということを繰り返していた。一緒にいるのが好きで、自らの選択で一緒にいるのに…そんな罪悪感を感じてしまうことも嫌だった。

だったら1人でいればいいじゃないとも思うけれど、人とどこかに出かけていい景色を見て、美味しいものを食べることは楽しい。そんなジレンマを抱えていた。

だから、私は旅行中に1人になる時間を作っている。

みんなより1時間早く起きて、顔を洗い、その日用の服に袖を通す。マスクをして、カメラとルームキーを持って静かにドアを開ける。

朝の観光地は静かだ。ホテルの近くを30分ほど散歩する。昨晩友人と裸足ではしゃいだ海も、人混みの中温泉まんじゅうを頬張りながら歩いた商店街も人がまばらだ。見かけるのは浜辺で犬と歩くおじいちゃんやスーツ姿でせかせかと歩くサラリーマン、船を出す漁師たち。

朝に手ぶらで街を歩くと、昼間の喧騒にかき消されたそこに住んでいる人たちの息遣いが聞こえる気がする。自分もこの街に溶け込んだような気分になれる。

30分歩くとじんわりと汗が滲んでくる。今日着る服が汗を吸う前にホテルに帰り、浴衣姿に戻る。朝の大浴場は人も少なく広々とお湯に浸かることができる。運がいいと貸し切りだ。昨日みんなと喋りながら長湯した暗闇の露天風呂から、実は海が見えることを知る。

心も身体もほくほくした状態で部屋に戻り、やや早く目覚めた友人と話していると徐々に起き出す。私の朝散歩の習慣を知っている、朝弱い勢の友人たちに「相変わらず朝早いな〜」と感心されながら、朝強い勢も弱い勢もみんな一緒に朝ごはんを食べに行く。

朝の1時間を自分のペースで過ごすと気持ちが落ち着く。昨日とは違う視点で街を見ることもできる。

友人と旅行に行った時の1人散歩、最高です。

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