《働く人はおさえておきたい》所得税と健康保険の“扶養”の違い
年末調整の書類を会社へ提出する時期になりました。書類を前に、毎年ウンザリされている方も多いのではないでしょうか?特に“扶養”のしくみは混乱しやすく、同じ扶養でも健康保険と所得税では条件が違います。
今回は大まかに4つのポイントから、その違いをご紹介します。
<「年間」の範囲>
まず、年収の1年間はいつからいつまでを指すのでしょうか?
所得税は ➡「その年の1月1日から12月31日」 健康保険は ➡「被扶養者に該当する時点や認定日以降の1年間」
たとえば、扶養に入る日が4月1日とすると… 所得税は、その年の1月1日から3月31日までの過去の実績を見ます。それに対し、健康保険は4月1日から将来の1年間を見ます。過去と未来でそれぞれ見ている方向が違うのです。
このため、所得税は扶養ではないけれど、健康保険は扶養に入るケースが出てきます。
<収入の範囲>
次に、収入の範囲はどうでしょうか?
所得税は ➡ 障害年金・遺族年金・出産手当金・雇用保険の失業給付・育 児休業給付金、一定額以下の通勤手当など非課税のものは対象外
健康保険は ➡ 上記すべて対象 健康保険では、課税・非課税や給付目的等を問わず、継続して得られるすべてのものを指すためです。
<親族・家族の範囲>
親族の範囲はどうでしょうか?
所得税は ➡「6親等内の血族と3親等内の姻族」、「戸籍上の親族」で同居は必ずしも要件とはなっていません。
健康保険は ➡「直系尊属、配偶者、子、孫及び兄弟姉妹とそれ以外の3親等内の親族」、「実態としての扶養関係」、続柄によっては同居が要件となります。
たとえば、いわゆる内縁の妻の場合、「実態として婚姻関係にある」と認められれば、所得税は扶養ではないけれど、健康保険のみ扶養に入るケースが出てきます。
<夫婦共働きの場合>
共働きの夫婦が子ども(長男、次男)を扶養するケースをみてみましょう。
所得税は ➡ 長男は夫の扶養、次男は妻の扶養…というように夫婦それぞれで選択することができます。
健康保険は ➡ 夫婦のうち「どちらか収入の多いほう」が、長男と次男の二人を扶養することになります。選択ではなく、夫婦それぞれの収入額で決まるのです。
詳細は、国税庁や日本年金機構、加入されている健康保険組合のホームページをご参照ください。
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