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共感と逃避と自己中

世の中はゼロとイチに分けられた世界ではなく、さまざまな物事はグラデーションがついてる。

ボクは大きな目で見たら被災者に当たるかもしれないけど、その言葉が持つ道場の力を受けめるだけの受け身が取れていない程度に普通の生活が送れている。同時に全国の友人から安否確認のメッセージが届いて、今回の災害と繋げてボクの名前を思い出してくれたことに感謝しかない。

Leica M10 + Voightlander ULTRON Vintageline 35mm F2 Aspherical TypeⅡ VM

「被災者というほどではないけど通常の生活が送れない状態」
それが今のボクを表す言葉かもしれない。ボクの友人や親戚は奥能登で家屋を失い交通手段もなくしている。
それに比べるとボクが失った財産は地震で転落し壊れた30インチの液晶テレビくらい。無造作にテーブルの上に置かれていたボクのライカは、ボクが外出中にも無事にその場に留まってくれてた。

少しずつ日常に戻る非日常

続いていた断水も近隣地区から少しずつ通水しているみたいで、ボクが住む地域も今日中には通水するんじゃないかと思うから、そうすればかなり日常生活に近づく気がする。(一番大きな変化は娘の成人式が延期になったことくらい)

非日常だったものが少しずつ日常に戻りつつあるけど、ボクが住む場所から北に目を向けると被災の全容もわからない状況だ。SNSで仲良くさせてもらってるおさかな屋さんとも連絡が取れていない。

ここ数日はボクが感じていることを素直に記録しておきたくてSNSにいくつか投稿した。

Twitterに投稿したこの言葉はボクの素直な気持ち、震災翌日の静かな晴天の朝、目が覚めると同時にボクはふとそう思った。
そしてカメラを持って1時間半、ボクは近所をファインダーに納めながら平安を願って参拝して回った。

記事の構成上、写真は厳選したけどこれの何倍もたくさんの写真を撮った。スナップというよりも記録写真のようにボクはいつも以上にシャッターを押して回った。

ボクたちが生きる意味、地震が起こった意味

地震が発生し外出先から家に帰る途中、ボクは「なんでこんなタイミングで」と考え続けていた。正月くらい平和な気分で居させてほしい、というわがままや、ボクの身には起きるはずがないと根拠のない自信で安心し切っていたバカさ加減に苛立ちながら。

震災二日目は拍子抜けするほどのいい天気で、夕方避難先で外を歩いてみると、こんな大変な状況になっているのに景色はいつものきれいな景色でいつまでも見惚れてしまった。

Leica M10 + Voightlander ULTRON Vintageline 35mm F2 Aspherical TypeⅡ VM

ボクたちの世界でどんなに酷いことや辛いことが起こっていても、空の上ではいつもと変わらない日常が起こってる。まるで何を慌ててるんだって嘲笑っているみたいに。

Leica M10 + Voightlander ULTRON Vintageline 35mm F2 Aspherical TypeⅡ VM

そんなマクロな世界でボクたちがせせこましく生きている意味を考えてみる。ちょうど年末に見た役所広司主演映画『PERFECT DAYS』の平山の生き様が目に浮かぶ。毎日のルーティンに沿って生きる平山。時々、大小の波が訪れて多少心が揺さぶられるけど、翌日はいつもと同じ生活に戻る。
そうやって一日一日を感謝を持って過ごす、そんな「生きる意味」なんて考えない生き方がいいんじゃないかとふと思った。

Leica M10 + Voightlander ULTRON Vintageline 35mm F2 Aspherical TypeⅡ VM

地震が起こった原因は科学的に分析はできるだろうけど、ボクはどうしても今起こっていることを自分事に落とし込んでおきたいんだ。
地震が起こった意味なんてそもそもないかもしれないけど、ボクは一人一人が考える必要があると思ってるんだ。なぜこのタイミングでこんなことが起きてしまうのか、ボクにとっては意味があると感じてる。
だからボクはもうしばらく考えてみるよ。

Leica M10 + Voightlander ULTRON Vintageline 35mm F2 Aspherical TypeⅡ VM

そんなボクは今、非日常と日常のグラデーションの中に住んでる。それはどっちつかずの落ち着かない状態でありつつ、ホッとしている状況でもあって、テレビの向こうでインタビューに答えてる被災者に共感する部分もあれば、あえて目を背けてしまう部分もある。
自宅が被災しているけど安易に別の場所へ避難してしまっている後ろめたさもある。

Leica M10 + Voightlander ULTRON Vintageline 35mm F2 Aspherical TypeⅡ VM

でもボクは究極は自己中であればいいと思ってもいる。
共感に耐えられなければ逃避すればいいし、自分自身を中心において生活を構築すればいいと思うんだ。一番大切なのは自分の体と心の健康なんだから。

Leica M10 + Voightlander ULTRON Vintageline 35mm F2 Aspherical TypeⅡ VM

この記事を読んでくれているあなたもいろいろ思うところがあるだろうけど、まずは自身の心と体を第一に楽しい毎日を送ってほしい。そんなあなたが楽しんでいる姿を見るのがボクの唯一の楽しみだから。

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