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読書記録の話(2)

8月に読んだ本の感想など、書き連ねたり。
偏見かも分からないですが、女性が選びそうな(男性が選ばなそうな)ラインナップ。こういう本が好きなのです。


4冊目:木洩れ日に泳ぐ魚/恩田陸
2023/08/13 読了

一緒に暮らした男女の最後の夜。疑心暗鬼になった二人が抱える違和感の答え合わせをしていく。二人の関係性とか、男の死の真相とか、起承転結の「転」がずっと続くような展開。点と点が繋がっていく明快さと、違う結末を迎えられたかもしれない歯痒さで混沌とする。各章が男女それぞれの視点で描かれ、男性的/女性的な思考や感情の移り変わりが面白い。どんな夜も朝を迎えることの残酷さ、少し分かる気がする。


5冊目:男ともだち/千早茜
2023/08/21 読了

女性とその恋人/愛人/男ともだちとの間に起こる出来事。主人公の心情に共感する部分が多すぎて、自分の数か月、数年後の姿を読んでいるようでやりきれない気持ちになった。「男ともだち」という非常に狡い響きは、唯一女性が強くない自分を見せられる相手。「男女の友情は成立するか?」という永遠の論議、一線を越えないことで守られる、はたまた一線を越える必要がない男女の友情もある、という自論に至る。


6冊目:あなたの愛人の名前は/島本理生
2023/08/30 読了

人前では話せない、所謂「大人の恋愛」を描いた短編集。「あなたは知らない」と「俺だけが知らない」は、二人の心の機微がやけにリアルに感じられて、刺さった。これもまた男女それぞれの心理描写が面白い。表題作「あなたの愛人の名前は」にある、名前がその人の具体性を生むというのがすごく腑に落ちた。


今回の感想は、知り合いにはあまり深読みしないでほしいなぁ、読んだことがある人がいたら恥ずかしいなぁ、と思ったり。笑

自分の内面に近い作品に出会えている。なんて素敵なことでしょう。