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Twitterを賑わしているサブスク問題

シンガーソングライターの川本真琴さんが、「サブスクでの利益がどれだけ少ないかを知ってほしい。」という趣旨でTwitterで発言をしていて、多少過激な表現もあるために物議を醸していますが、今や音楽家にとっての収入を得る道は険しく、その現実を知ってもらうのにはよかったのかなと思っています。

CDを売ることで成り立っていた音楽業界は、2000年あたりを境に売り上げが下降していき、今では瀕死の状態に陥っています。
今やメジャーのレコード会社と契約しても食べていくことは難しく、あえてインディーズでの活動を選択する音楽家も増えています。
あの矢沢永吉さんですらインディーズでCDを出していますからね。

CDが売れなくなったことで、コンサートやグッズ販売に活動の中心が移行していきましたが、ここ2〜3年はコロナで集客どころかイベントの開催もできないという窮地に陥りました。
音楽家は軒並み収入の道を断たれ、廃業やもしくは転職を余儀なくされるという事態も仕方のないことでした。

と同時にエンドユーザーにとってはありがたい時代の到来で、安価でたくさんの音楽を聴き放題なんて、まるで夢のようなことになっていますが、川本真琴さんが言うように、作品の制作者に還元される金額は雀の涙ほどで、その金額では到底食べていくことができないのも事実です。

例えば農家さんが大事に育てた大根が、一本5円とか10円で取引されるなら、破産するしかないのは誰でもわかることですが、音楽ビジネスではそれがまかり通っていると言えばわかりやすいでしょうか。

昔は売れれば巨額の収入を得ることが可能だった音楽ビジネスですが、今現在は音楽家にとって厳しい現実を突きつけられていて、心から音楽が好きだからなんとか活動を続けていますが、ほとんどが自転車操業のような状態で、体を壊したり結婚して子供が生まれたら、音楽の道を諦めなければならない人たちがいるのも現実です。

先日あるアーティストのライブに行ったのですが、ここ1〜2年は本当に大変でしたという話をしながら涙ぐむシーンもあって、そういう現実を目の当たりにしつつ、最近は応援の意味も込めて、ライブに行ったら必ずCDやグッズを購入しています。

僕自身も音楽に助けられてきたし、勇気をもらってきたし、今でも音楽に関わっているのは音楽に恩返しをしたいという気持ちもあるんです。
時代の流れとは言っても、作詞作曲で作品作りに関わった人や、表現者として歌い続けている人に対して還元されないビジネスってどう考えてもおかしいです。

昔話になりますが、僕がレコード会社にいた頃は、才能あふれる若い人たちに投資し育てていくことで、多くのアーティストが育っていったのですが、今は「育てる」という環境も資金もないということは、この先の音楽は先細っていくしかないじゃないですか。

純粋に音楽が好きで表現者として活動している音楽家が、どれだけ作品を世に送り出しても生活もままならないというのは大問題だし、音楽家という職業が魅力的ではなくなってしまうことも残念でなりません。

今は過渡期だということは百も承知ですが、才能ある音楽家がちゃんと食べていける環境づくりは超重要だと思っているし、自分なりに何か方法はないのかといつも考えています。

サブスクが悪者だとは思っていませんが、システムを作った人たちが新しい才能を育てていくことも必要だし、今の売り上げだけ考えるのではなく、将来に向けて投資して欲しいなと心から思っています。


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