恋よりも難しい出逢い
制服が夏服になって
半袖の白いシャツから伸びる君の日焼けした細い首筋や筋張った長い指をよく見ていた
毎日毎日
まるで永遠のように続く長い午後
クラスメイトたちの似顔絵や
教科書に描いた下らない落書きを
まるで秘密みたいに
隣りに座る君とこっそり見せ合っては授業中に笑いを堪えふざけ合っていた
R&Bやハウスミュージックの良さをもろにサブカル好きだった私に教えてくれたのも君で
当時まだCDウォークマンを愛用していた私におすすめの洋楽をMixしたオリジナルのCDを焼いてよくプレゼントしてくれたね
あの沢山のCDたちはもうボロボロになって再生は出来ないかも知れないけど、
今もちゃんと私の実家で息をひそめて眠っている
ジュースの回し飲みや、イヤホンを片耳ずつ分けて2人で音楽を聴くなんてことも
奥手で恥ずかしがり屋な私が何故か君となら当たり前のように出来たことが不思議で
そして心地良かった
あの頃の私は、毎日が必死だった気がする
何気なく見つめた君の瞳の奥に
孤独が隠れていないかと
この世界で君を独りぼっちみたいな気持ちには絶対させないと
恋人でもなく
片想いという感情すら芽生えていない君に
私は密かに、けれど堅い決意で誓っていた
それは多分、世間一般で言えば「幸せ」というものを手にしている現在の君に対しても
有効な決意なんだよ
いつの間にか、もう出会って20年近く経ったなんて信じられないね
あれからたくさん、
君にも私にも大切なものが出来て
2人の間の距離は遠く離れてしまったけれど
私はずっと君が大好きなまま死ぬと思うよ
去年の私の誕生日、
「お互い爺さんと婆さんになったらまた2人で旅に出たいね。まだ少し先になるけど、今度はゆっくりあの頃行った場所を見てまわろう。」
と君はメッセージをくれた
その言葉が、
今の私をどれほど鼓舞し続けているか
生かしてくれているか
支えてくれているか
When my life is through and the angels ask me to recall
The thrill of them all,
Then I shall tell them, “I remember you!”
(人生の終わりに、いつが最高だった?
と天使に訊かれたら
私は「あなたと一緒だったとき!」と答えるわ)
君と私の友情について誰かに訊かれたら
“恋よりも難しい出逢いだったんだよ”って、
私は胸を張って言える
ありがとう
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