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ウィルス陰謀論なら『インフェルノ』が面白い

ダン・ブラウンのラングドン教授シリーズが好きです。『天使と悪魔』『ダ・ヴィンチ・コード』は何回か読み返し、映画もそれぞれ3回以上は見ています。

舞台となった場所も、米国が舞台の『ロスト・シンボル』以外はほぼ制覇しています。

『天使と悪魔』に出てきたベルニーニ作の「聖テレジアの法悦」や、

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『ダ・ヴィンチ・コード』のロスリン礼拝堂も訪れました。

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ロスリン礼拝堂はスコットランドのエジンバラからバスで30分ほど。ローマやパリと違ってなかなか訪れづらい場所です。『ダ・ヴィンチ・コード』で一躍有名になったようで、私が行った時も観光客がたくさんいました。実際に行ってみた感想としては、小説や映画の方がミステリアスでエキゾチックかな…スコットランドの田園風景は良いんですけどね。

そして映画化3作目の『インフェルノ』。本ももちろん読んだうえで、映画は公開初日の朝イチに見に行きました。相変わらずの荒唐無稽な陰謀論が満載ですが、今回はウィルスに関する話なので、現在の状況からシリアスに感じられるかも。以下、映画を見た私の感想です。(ややネタバレありかも)

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前半は面白いが、後半はやや退屈

ラングドン・シリーズの面白さって、「差し迫った状況=スリル」と「謎解き=ミステリ」だと思うんです。「天使と悪魔」も「ダ・ヴィンチ・コード」も、「制限時間内」とか「追いかけられて逃げる」というスリル満点な状況下で、芸術作品からヒントを読み取って答えを探し出す、というプロットです。そこに、登場人物のなかで誰が「真犯人・黒幕」なのか、という要素が絡んで、読者/観客はハラハラ・ドキドキしながら最後まで魅せられる。

ところが今回の「インフェルノ」は、物語の途中でラングドンが全て解明してしまいます。謎も、真犯人も。

前半部分はとても面白いんです。特に最初のラングドンの幻覚シーンなんかは、映像ならではという感じで、「地獄」のホラー感がよくでています。謎解きは原作に比べるとかなり端折られているシーンがあるのであっけない感じはしますが。

問題は謎解きが終わってからの後半です。アクション・シーンやラブ・ストーリーがやたら長く、ハリウッド的には必要なのかもしれないけれど、これまでのラングドン・ファンからするとちょっと退屈に感じました。やっぱりミステリの山場は「謎はすべて解けた!」と「犯人はお前だ!」ですからね。映画としては最後に派手なアクションをもってきた方が盛り上がるのは分かるのですが、個人的にはもう少し謎解き部分に尺を使って、最後のアクションは簡略化してもいいかなと思いました。


原作とはかなり違う

これまでのシリーズでは映画は原作に忠実に作られていましたが、今回はかなり脚色があります。特に、登場人物の役割や行動が原作とかなり違います。

謎が解けていくにしたがって登場人物の行動が「説明的に」明らかにされていくのですが、見ていて設定に無理があるように感じました。原作ではもっと自然に登場人物の素性が明らかになっていった気がしますが、映画版は唐突にそれぞれの人物のエピソードが挟まれます。それぞれの立ち位置について、いちいち頭を整理しなおす必要があり、そのことが登場人物の魅力を減らしているように感じました。ストーリーが複雑なんだから、登場人物についてはもうちょっとシンプルでもいいような。

逆に言えば、原作と違う話を楽しめる、という点はあるかもしれません。


「旅行ガイドブック」としては素晴らしい

よく言われることですが、ラングドン・シリーズは「観光ガイド」としてはベストセラーの部類なんではないでしょうか。「天使と悪魔」も「ダ・ヴィンチ・コード」も、膨大な観光需要を生んでいます。ハリウッド映画化されたことで、小説を読まない層にも届きましたし。現に私も舞台となった場所をわざわざ訪れていますし、訪れたロケ地はいずれも大盛況でした。

そして今回の「インフェルノ」。やっぱり映像には力がありますね。フィレンツェには2回行きましたが、映画を見てまた行きたくなりました。今回の謎を解く鍵となっている「ダンテ」をメインに観光したい。もちろん、物語ラストの舞台となっている都市にはいつか絶対行きます。

これだけの観光需要を作れる物語って、今は他にはないような。ダン・ブラウンの新作では是非とも日本の、京都あたりを舞台にしてくれると面白いのにな。陰陽道の五芒星を何かの陰謀説とからめたりして…


以上、映画「インフェルノ」の感想でした。新型コロナウィルスが収束したら是非ともまたヨーロッパの美しい建築を見に出かけたいと思います。

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