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新時代の働き方:60代以降も現役で働く新たな潮流

5分で読める、最新の経営ヒントを毎朝お届け。日経新聞の記事の中から、マーケッター視点で「今、知っておくべきデータ」をピックアップ。ビジネスマンの「やりたい」の成功確率をアップしてもらいたい!そのために、必要な視点やマーケティング戦略立案のノウハウを紹介しています。

記事の要約

高齢化が進む日本で、65歳以上が働く人数が増加し続けています。特に九州・沖縄地域の高齢者の就業率が著しく上昇しており、自治体や企業は高齢者が働きやすい環境を整備しています。こうした状況の中で、「九州・山口生涯現役社会推進協議会」が設立され、シニア活躍を後押しする取り組みが行われています。

沖縄の建設会社では、70歳まで働き続けられるようにする取り組みを始め、70歳を超えても一定の条件下で働ける制度を導入しています。また、鹿児島銀行も継続雇用の上限年齢を70歳に引き上げ、シニア層が仕事を続けられるようにしています。

しかし、全国的に見てもシニア層の就業は短時間のパート・アルバイトが中心であり、収入が多いとは言えません。北九州市の介護事業者は、ホームヘルパーの定年制を廃止し、高齢者でも働きやすい環境を提供しています。ニッセイ基礎研究所の前田展弘上席研究員は、高齢者を生かし切れていない面もあり、年齢ではなく能力に応じた仕事と収入が重要と話しています。



定年制度の意義と現代社会

定年制度は、長い間労働者の保護と企業の組織運営を支えてきた制度です。一方で、それは終身雇用が前提だった時代の遺物であり、今や働く意欲も体力も衰えない60歳が増えている現代社会において、その役割は見直されています。

僕自身も、最近、初チャレンジで富士山に登頂することができました。59歳でも全然体力の衰えを感じません。むしろトレーニングジムに通っているので、体も心も健康に。仕事に対するチャレンジ意欲も湧き上がっています。定年になっても僕は働く意欲満々です。

マーケティングという観点からすれば、これは新たなターゲットの存在を示しています。例えば、アウトドア用品ブランド「パタゴニア」は、全年齢層をターゲットにした商品展開を行い、シニア世代がアクティブにアウトドアを楽しむ姿を描いています。これは60歳を超えても活動的な生活を送りたいという人々に対するマーケティング戦略の一例でしょう。

生涯現役社会の課題と可能性

しかし、シニア世代が生涯現役で働きたいという希望と、企業のシニア労働力の活用という観点の間には、まだ大きなギャップが存在します。

例えば、働く意欲があるシニア世代の労働力をただ搾取しようとする企業も見受けられます。これには、企業の社会的責任とエシカルな観点から警鐘を鳴らすべきです。実際、欧米では「年齢差別禁止法」があり、人を年齢で差別することを禁止しています。

反面、アメリカの小売業大手ウォルマートは、シニア層の働く意欲を活用し、彼らの経験やスキルを重視する人事戦略を取り入れています。シニア世代の働く意欲と経験を正当に評価し、活用することで、企業全体のパフォーマンス向上につながるという成功事例も見られます。

定年制度の廃止と新しい働き方

将来的には、定年制を廃止し、賃金を能力や資格、勤続年数などで決める社会が一般的になると予想されます。

「定年再雇用」という形式が一般的になっていますが、これは一旦退職金を支払い、その後で再度雇用するというものです。これにより、一定の社会的セキュリティは確保されますが、その一方で、大きな損失も生じています。

例えば、トヨタ自動車をはじめ多くの企業では、役職定年という制度を導入しています。これは、一定の年齢になった従業員を一旦退かせ、その後別の役職で再雇用するというものです。一見、これは年齢によるキャリアパスの制約を緩和し、新たなチャレンジの機会を提供するように見えますが、一方で、長年培ってきた経験や知識を活かせない場合もあります。

定年制度の廃止と賃金の見直しは、年齢だけでなく、能力や経験に基づく働き方を可能にする一方、新たな働き方の模索や、企業側の人事戦略の再構築を必要とします。これは、ブランディングの観点からも、企業の働き方ブランドを形成する一方、社会全体の働き方文化を変革するきっかけとなり得ます。


今日の問い

  1. あなたの組織では、シニア世代の経験やスキルを十分に活用できていますか?彼らの意欲や能力に対して十分な評価をしていますか?もしそうでないなら、どのように改善できるでしょうか?

  2. シニア世代が働き続けることにより、若い世代へのキャリアパスが閉ざされるという問題が生じる可能性があります。あなたの組織では、これをどのように解決していますか?新たな働き方や組織体制を模索する必要がありますか?

  3. 年齢にとらわれず、能力や経験に基づいて評価・報酬を決めるという新たな働き方が広がりつつあります。あなたの組織では、この流れにどのように対応していますか?また、その取り組みはあなたの組織のブランドイメージや価値観にどのように反映されていますか?


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