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たたただ、話を受け入れる〜無条件の肯定的関心〜

以前にこの記事を執筆したことを機に、改めてカウンセラー、キャリアコンサルタントとしての話を受け入れることの重要性や意味を考えてみたいと思いました。

私がこのことについて考えるきっかけをくれたのは、キャリアコンサルティングの養成講座を受講した時でした。

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相談支援の手法の一つとして挙げられる、ロジャースの来談者中心療法。(キャリコン資格取得者あるいは養成講座を受講している方にとってはお馴染みですね)

来談者中心療法では、カウンセラーやキャリアコンサルタント等の相談を受ける側が望まれる態度、姿勢として主に以下の3つを大切なこととして挙げています。

・無条件の肯定的関心を持つ
・共感的理解を示す
・カウンセラー、キャリアコンサルタント自身の自己一致

この3つをできるだけ忠実に守ることで、相談支援を行う上で最も大切とされている、相談者との信頼関係の構築に繋がるとされています。

そして他にも多くある支援方法と比べて、カウンセラー初心者でも来談者中心療法は失敗するリスクが低いとされています
(だから養成講座でもこのことが真っ先に教えられているんですね)

今回は1番目に記載した無条件の肯定的関心について、触れていきたいと思います。

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無条件の肯定的関心

よく仲間内では「受容・共感・自己一致」と言っている中の、「受容」にあたります。

この「受容」とは、字の通りこの記事のタイトルにもある「話を受け入れる」ということです。

養成講座時代にこのことを知ったときには「そりゃそうだろ!」という、当たり前のことをなんでわざわざ教えてくるのか?という感じで受け止めていました。

ところが!です。

いざロールプレイを行うと、(相談者役を見立てて、キャリア相談業務さながらに行なってみると)意外や意外。
この、話を受け入れることが全くできていないことがわかりました。

私の場合、話を受け入れること以前に相談者への助言や提案を先に行なってしまっていたのです。
さらには、私自身のこれまでの経験から培われてきた価値観や考えが正しいということを前提として、相手にアドバイスを繰り返していることを先生からは多々指摘されていました。

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私も決して例外ではなく、人にはそれぞれ大切にしたい考えや思い、価値観がきっとありますよね。
相談にくる人たちの考えや意見に、カウンセラーやキャリアコンサルタント自身の価値基準と重なる部分が出てくれば気持ちがいいのかもしれませんが、当然のごとくカウンセラーやキャリアコンサルタント自身の価値基準に相反する人の相談を受けることも十分に有り得ます。
そうした場合でも、全ての相談支援において相手から信頼関係を構築していくことを前提とするならば、どんな話でも受け入れなくてはなりません。

ですがここで言いたかったのは、相手の思いや意見にいつも賛成しなければならない、ということではありません。

つまりは・・・

賛同する≠受容する

ということです。

理屈上、カウンセラーやキャリアコンサルタント自身、相談者の持つ考えや価値観に反対の立場であったとしても、話を受け入れることはできるはずです。

「相手の意見に賛同する→話を受け入れる」
→これはわかりやすいですよね。

「相手の意見に賛同する→話を受け入れない(OR 受け入れられない)」
→これはよく、「あなたの気持ちはわかるんだけど〜現実問題は難しいんだよね・・・」というような会話に当てはまることだと思います。

そして、

「相手の意見に反対する→話を受け入れない」
→これもわかりやすいと言われれば、わかりやすいです。

「相手の意見に反対する→話を受け入れる」
→これだとわかりづらいかもしれませんが、
「相手の話を受け入れる→反対する」
→この方がわかりやすいかもしれません。
あなたの話はわかった、でもね〜というニュアンスです。


賛成しようが反対しまいが、ただただ話を受け入れる。

このことは理屈上は実現できると私は考えており、つまりは無条件の肯定的関心を指していると私は捉えています。


ちなみに・・・
企業内研修の一環で、コミュニケーションに関する研修を受講される方もいらっしゃるのではないでしょうか。
その中で出てくるであろう「アサーションスキル」を身につけましょうという話。
"I'm OK. You're OK”スタンスと、賛同する≠受容するスタンスが何か通ずる部分かあると申しますか、似ているな〜なんて、私は思ったりもしています。

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話を戻しますと、実際の相談支援の場では相談者の意見や価値基準に全面的に反対するということはほぼあり得ません。(反対ばかりを繰り返してしまうと、お互いの信頼構築が築きにくくなるのと、反対を突きつけられた相談者は、もうこの人には話したくない!という風になりますよね)

ただきっとカウンセラーやキャリアコンサルタントの心の中、本音では「この相談者の言っていることや思っていること、自分には理解できないな・・・」なんて思うこともあると思います。

それはおそらく誰にでも起こりうることで、それでいいと私は思っています。

たとえ賛同はできなくとも・・・

どんなこと、考えにも、まずは寛大に受け入れる心を持つこと。

このことがカウンセラーやキャリアコンサルタントにとって大切にされるべき姿勢・態度の一つだと私は考えています。

残る「共感的理解を示す」「カウンセラー、キャリアコンサルタント自身の自己一致」はまた次の機会に。。。


by なっちゃん