国内のどんな生物が絶滅危惧種なの? 鳥類編②
前回は、国内の絶滅危惧種の中でも特に、絶滅危機が高い「絶滅危惧種IA類の鳥類」の一部を紹介させていただきました。
今回は、その続きになります。
ご一読いただけたら嬉しいです。
絶滅危惧種 段階
絶滅危惧種は、野生生物により、どのくらい絶滅の危機に陥っているのか異なります。
その中で、最も絶滅の危険性が高いのが、絶滅危惧種IA類に分類されている野生生物です。
絶滅危惧種IA類に選定されているのは、哺乳類12種類・鳥類24種・爬虫類5種・両生類5種の合計46種です。
今回からは、絶滅危惧種IA類の鳥類24種類のうち5種類を紹介をできればと思います。
6. コウノトリ
コウノトリは、1mほどで、翼を広げると2mにもなる巨大な鳥です。
ツル類に似ていますが、コウノトリ目コウノトリ科に分類されています。
コウノトリの一番の特徴は、鳴くことができないことです。
そのかわり「クラッタリング」と呼ばれるくちばしを打ち鳴らす方法で音を出しコミュケーションをとります。
大きな体のため、天敵はほとんどおらず、湿地生態系の食物連鎖の頂点に立つ鳥です。
実は、コウノトリは、残念なことに1971年、日本の空から一度は消えてしまいました。
その理由は、明治時代の乱獲や、強力な農薬の使用により餌が激減したことなどが言われています。
ですが、兵庫県豊岡市は、1963年から野生個体を捕獲して保護増殖に踏み切っていたこともあり、繁殖に成功しています。(ロシアから野生の幼鳥6羽が贈られたこともあります)
そして、2005年には、野生復帰計画として、再び日本の空へ飛ばすことも可能にしたのです。
現在では、兵庫県豊岡市ではよく見られる鳥として有名になっています。
7. チシマウガラス
顔が赤いのと、頭に冠羽が特徴的な鳥で、ウ科に分類されています。
かつて、北海道道東にある根室半島の落石岬や、霧多布島の湯沸岬、ユルリ島・モユルリ島で繁殖していました。
一夫一妻で行動しますが、1990年代には約15組に減少しているようです。
絶滅危機の理由は、明確に分かっていませんが、この地域で個体数の増加した「オオセグロカモメ」や「ハシブトガラス」による卵やひなへの捕食が原因だと言われています。
8. オオヨシゴイ
全長59cmと非常に小さなサギであり、「ホォ、ホォ」と低い声で鳴く鳥です。
夏鳥として北海道や中部地方以北、新潟県の佐渡市に渡来・繁殖しますが、全国的に多くはありません。
実は、2005年から国内では発見されていません。
絶滅危機理由としては、湿地開発や河川改修などによる生息地の破壊や、農薬汚染による繁殖率の低下が考えられています。
9. トキ
真っ赤な顔が特徴的な鳥で、聞いたことが多い人も多いのではないでしょうか。
トキは時代により呼び名は変わりますが、日本では昔から身近な鳥でした。
日本書紀には、トキの桃色の羽の色から「桃花鳥(とうかちょう)」と記されています。
江戸時代には、トキの羽は弓矢の矢羽に使われるなど、資源として重宝されていました。
ですが、明治になってから、水田の害鳥として、また美しい羽を取るために、猟の標的とされ、大きく数を減らしました。
トキとのつながりは深い都道府県は、「石川県」です。
1970年に、石川県穴水町で最後の1羽「能里(のり)」を保護し、新潟県の佐渡島に移されたことで、本州からトキが姿を消しました。
1999年には、中国からやってきた「友友(ヨウヨウ)」「洋洋(ヤンヤン)」ペアの繁殖が成功し、ヒナが誕生し、日本で一番最初に人工繁殖に成功しています。
2008年、佐渡市で初めてのトキの放鳥が行われ、10羽が自然の空に飛び立ちました。
現在は、「いしかわ動物園」でトキの姿を見ることができます。
10. ヤンバルクイナ
胸から腹にかけての白と黒のしま模様と、真っ赤なくちばしが特徴で、主に歩行することが多いとされている鳥です。
日本で唯一飛べない鳥としても、知られています。
世界中で沖縄県やんばるの森にだけ、生息する固有種です。
絶滅危機の理由は、ハブを駆除する目的から持ち込まれた肉食獣であるマングースやノネコが捕食していることが考えられています。
また、歩行も多いことから、交通事故の事例も見つかっています。
人間が介入したことにより、絶滅する恐れがある生物の一種です。
前回と合わせて、10種の紹介をさせていただきました。
鳥類の絶滅危惧種IA類は、24種あり、非常に多くの鳥類が絶滅危機に陥っています。
少しでも知っていただき、考え方や動物に対する見方などについて変えてくれたら嬉しいです。
来週もよろしくお願いします。
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