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コミュニティデザインのニューウェーブ

この記事は2020年10月28日に書いてはいたものの、公開していなかった記事をリライトして公開しています。正に熟成下書き!

アルというマンガサービスで、2020年7月~2021年12月までライターをしていました。

アルでは今はライターを抱えての編集部はないので、現在はアルで編集を担当されていた方がつくったネゴトという編プロに所属してます。

今回はライターになるきっかけとなった『図書館戦争』のレビューを通して、『アル』というサービスが作ったライターコミュニティについて、考えてみたいと思います。

ライター採用時に提出するテストライティングはどんなマンガのレビューでもいいんですが、特別に思い入れのあるマンガだったので、この作品にしました。

でも、アルのサイトで紹介されている記事は、どちらかと言えば少女漫画が少なかったし、この作品は連載中ではあったけれど、当時は最終回目前…。

実写映画化、ドラマ化したのは2020年の時点で7年も前で、ブームが去った感は否めなかったので、正直に言って作品チョイスとして変化球だとは思っていました。

そうはいっても、自分が普段読んでいるマンガがどちらかといえば変化球が多いので、「このチョイスが受け入れられるかのかな?」「私の愛は一般的に受け入れられるような方向なのかな?」そんな疑問も解消したかったというのもあり、この作品にしました。

結果的に採用していただいたんですけど、採用の連絡を頂いたたときは、「ヤッター」と同じくらい、「おぉ、大丈夫なんですね?書きますよ?」という承認を得た気持ちが大きかったです。

そこに「マンガ愛」ありますか?

アルって本当にどんなマンガのレビューでもレビューとして提出していいんです。これってすごいことだな、と思うんです。サイトを運営する側とすれば、読者がほとんどいない(かもしれない)、昔の作品や、サイトの利用者の傾向に合わない作品のレビューを掲載するって、メリットがあるのだろうか?と最初は感じていたんです。でもそこは、「マンガ愛があれば、どどーん!と、オールオッケーで、作品の時期やジャンルは問わない」(エロは除く)わけです。すごい!すごすぎる!

そうはいっても、これはちょっと違うな、という作品を無理やりレビューにすることはないんですけど、私以外のライターの方が書かれるレビューも、そのレビューに対するクォリティと方向性ってなんとなく、いえいえ、ガッチリ守られている感じなのが不思議です。なぜ、そうなっていたのか私なり超個人的な考察を少しご紹介します。

ライターの皆さんには、「アルライターとして」どういう記事を書いたらいいのかという「あるべき姿」のイメージがあって、そのイメージに寄せていっている感じを受けました。

イメージって曖昧で、不確かなものですが、それをアルに関わる全ての方が、「アルってこういうサービスだよね」という情報発信をしていて、その発信にブレがない。

その発信を受け取っていると、「ほうほう、そういう方向性なんだ、じゃぁこれは大丈夫かな?」「こういうのはどうかな?」と、境界線が分からない時、なにか疑問が湧いたら答え合わせをする場所もちゃんとある。そういう関わり方をしていると自然と粒が揃っていく、、、そんな感じなんです。

関わりは全てオンラインで、直接お会いすることはないんですけど、コミュニティの中で活動していると、価値観が合致していき、文化が生まれ、倫理観が養われ、ルールが自然と整備されていくんです。

これらに合わない人は自然と離れていくのだと思いますが、同じ方向を向いた人が居心地が良くなって残り、合わなかった人が去っていく。

誰も強制せず、誰も旗振りもせず、空気がそこに漂うように、ごくごく自然な流れでかたちになっていく。

私が当時働いていた会社ではオフラインで毎日何時間も同じ場所で仕事をしていても、共通の価値観を持つことが難しいし、何を始めるにも関係者の思いも方向性もバラバラで、同じ方向を見ることすら大変です。

アルでは私個人的な感覚からすると、超難易度が高いことができていることに、ただただ感動していました。

アル→ネゴトに編集部が移動してからも、アル時代から一緒に活動してきたメンバーに加え、新しくメンバーが増えてはいるものの、なんとなくこのルールや規範が守られている気がするのだから最初に作った土台ってすごい…。

この特別で唯一無二とも言えるコミュニティを作ったけんすうさんが、アル開発室(クローズドのオンラインコミュニティ)でアル編集部のカラクリを話してくれたことがあります。

そこでは何故私みたいなド素人を採用してくれたのか、どんな狙いがあったのかが解説されていました。その解説の中では上記でご紹介した”超難易度の高いことが自然とできる仕組み”についてもなんとなーくうかがい知れます。

実際にあの時間、ライターとして活動していた私は、アルで活動できたことがとにかく特別な時間で、他では決して得られない経験だったんだと噛みしめています。本当に貴重な時間だった!いまもネゴトで継続中だけど!

アル編集部はなくなってしまったけど、私が所属しているネゴトはマンガだけでなく様々なライティングのお仕事ができる編集プロダクションです。

オンラインでは月に一度Xスペースでライターがマンガを語るトークイベントを開催しています。

リアルイベントも不定期で開催されていますので、是非推しマンガを語りにイベント参加してみてくださいね!

突然ですが、推しマンガを紹介します!

アルとネゴトへの愛はトーンダウンさせていただいて、図書館戦争への愛を。今も好きです。

図書館戦争という話を知ったのは実は2020年の5月くらい。やいやい言ってレビューを書いた割には、ニワカファンでした。

図書館戦争への思い入れ、それはズバリ!

「嫌なことは嫌」と、主張していいんだという気づき、そして、時には目的を達成するための強行的な姿勢に憧れた。これに尽きます。

なんだか当時の自分、病んでたんだなー。我慢が多かったのかもしれません(笑)

~図書館戦争レビューより抜粋~
知らず知らずのうちに狩られていく「言葉」や、続きを楽しみにしていた「本」がある日突然読めなくなることへの恐怖は決して空想だけのものではないのかもしれない、この世界のどこかで明日にでも起きることなのかもしれない、という漠然とした不安が心の何処かに芽生えるかもしれません。

作品を通じ、何より本を愛する人々の持つ思いはやがて当初の困惑を越え、本=文化の種を支えるという図書隊の強い思いに同調できるようになるはずです。

誰のための最適化なのか、分からない社会の変化に振り回され、生きやすい人はより生きやすく、生きにくい人はより生きにくくなっていると感じずにはいられない。

そんななか、私にも「書く」ということで、発信するきっかけを作ってくれた、この作品とアルそしてネゴトに感謝しています。

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