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想念のひと
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呼吸とともに汲み上げられた言葉が
光りを帯びてたなびいている
幾重もの振動によって象られた世界が
視えざる者の想いによって脈動し
名を持たぬ者の言葉が
名を授けられし者の気息として刻印されてゆく
色が渦巻く混沌のなかで
それは静かに編まれて響き合い
どこまでも深い言葉の海の
どこまでも澄んだ香りを宿し
蒼に揺蕩う歌の声音は
太古の記憶の幻影にゆれる
遠い故郷の香りを灯し
名を授けられし者のいのちを歌う
誰聴くともなく言葉はかおり
想念の響きにひとは夢を見る
遠き呼び声に水脈は照らされ
言の葉の色はいま遥かなり
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