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魔法使いの手記

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私はページを加筆しない。語られなくなった日記帳は、一人でに物語を紡ぎ出す。それはまるで誰かの独り言が力を持って、ペンを動かしていったかのように。魔法使いは観測者にすぎない。他には…
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2020年11月の記事一覧

魔法を教えてくれた黒猫

夜だった
何ものにも変え難い夜だった
コーヒーの苦味を耐え忍んで僕は
センチメンタルな気分に押し流されないように
強くカーテンを握りしめた
正しく生きるのは難しい
朝起きて、夜眠って、講義に出席し、
課題を出して、やることをやる
それだけのことが
僕にはどうも難しい
「こうあるべき」の理想と
「理想」に沿う正しさと
「普通」という正義の檻で
死を宣告された囚人のように
今日という日にしがみついてい

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